赤塚不二夫さんが亡くなりました。小学生時代のアイドルのひとり。とても残念です。「天才バカボン」「もうれつア太郎」「レッツラゴン」はリアルタイムで読んでいました。「まんが NO.1」も創刊号からすべて買ってました。ソノシートもコンプリートしてます。もっとも、いまは実家の何処にあるのか、わからないですけれど。

今年に入って、「天才バカボン」のトリビュート・アルバムという企画に参加してください、というオファーがあって。でも「バカボン」のテーマソングは、あまり好きな曲じゃないので、「おそ松くん」のアニメの最初の方のテーマだったら、と言って引き受けることにしました。ここからは自分の話で恐縮です。

子供の頃に好きだったアニメの中でも、とりわけ「おそ松くん」のファースト・シリーズのテーマ・ソングと、さらに劇中のマイナー・キーのディキシーランドふうBGMが大好きで、ずっと憶えていたのですが、どうせ子供の頃の記憶なんて曖昧なもの。アタマの中で都合よくメロディやアレンジを書き変えているのだろうな、などと考えていました。ところが、仕事場に届いていた「おそ松くん」のテーマは、最高にカッコいいラテン・アレンジ。自分の記憶の中よりもずっと素晴らしいサウンドだったのですね。これには驚き、ちょっと嬉しくなりました。

ぼくはグループ・サウンズやビートルズ、そしていろいろな洋楽ポップスと出会って、そこから少しずつ自分の音楽の好みをつくっていった、と思い込んでいたのですけれど、自分の好きなサウンドとか、案外もっと小さい頃に決まっていたのかもしれないですね。小学生時代の自分の好みで、いま仕事している、というような発言を単行本に載せたら、安田謙一さんに、「ムカシからブレてない」って妙なホメラレかたをしましたけど、たしかに根は深いのかも。安田さん、先日はどうもスミマセンでした、改めて。

ぼくのリミックスは1分しかない曲を2分半に延ばしただけの、いわばエクステンデッド・ミックス。元曲が素晴らしいので、コレでいいや、と仕上げました。その「おそ松くん」リミックスの入ったトリビュート盤、ネットで赤塚先生の訃報のニュースを読んで知ったのですが、ジャケット表1を飾るのはバカボンのパパではなくて、赤塚先生の写真だったのですね。豪華なメンツが参加していて、とてもにぎやかなアルバム。ひとりでも多くの方に聴いていただきたく。赤塚先生のご冥福をお祈りします。

きょうも「レコード手帖。」は夏の大アンケート特集。きのうの堀部篤史さんの回答に、ぼくは大きく頷いてしまいました。人それぞれ、いろんな意見がありますけれども。前園デザイン室もガンバっております。

ところで、きょう、この文章は都内某所のスタジオで書いています。長谷川きよしさんのライヴ・レコーディングのトラックダウンを敢行中。ほんの数十分前、長谷川さんとぼくと、音作りに対する意見が真っ二つに分かれてしまって。さあ、どうなる。まあ、アルバムは発売されます、されるはず、されるだろう、と信じます。では、更新。

(小西康陽)