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新型インフルQ&A:どう備えたらいいの?

 ◇万能ではないマスク、外出避け食料備蓄を

 7月、塚本康浩・京都府立大教授(獣医病理学)は、高病原性鳥インフルエンザウイルス(H5N1)の感染力を奪う抗体を染み込ませたマスクを開発した。ウイルスがマスク通過時に抗体と一緒になるため、たとえ体内に入っても感染を防ぐ仕組みだ。抗体精製にはダチョウの卵を使った。ダチョウの産卵期間は40年以上と長く、安定供給が期待できる。今秋から市販予定で、「H5N1が変異した新型インフルエンザウイルスにも効果が期待できる」と塚本さんは話す。

 新型インフルエンザ対策は、通常のインフルエンザ対策の延長にある。ウイルスを含む唾液(だえき)の飛沫(ひまつ)は5マイクロメートル(マイクロは100万分の1)以上。市販のマスクは5マイクロメートル以上のものを通さないため、マスクが感染拡大防止に有効とされる。

 しかし、インフルエンザウイルスの直径は、マスクの目よりはるかに小さい0・08~0・12マイクロメートル。世界保健機関が医療従事者に推奨している高機能マスク「N95」も捕捉できるのは0・3マイクロメートル以上にとどまる。飛沫が乾燥してウイルスを含む飛沫核が空気中を漂うと、マスクを通過し感染する。外岡立人(とのおかたつひと)・北海道小樽市保健所長は「マスクは万能ではない。人込みを避け、外出時にはこまめにうがいと手洗いをする。発熱など感染したと感じたら外出しないようにしてほしい」と話す。

 一方、新型インフルエンザの脅威は国内発生時だけではない。海外で大流行すれば輸入が止まり、生活必需品が手に入らない恐れがある。政府は、感染を防ぐ工夫に加え、2週間程度の食料や水、日用品の確保と備蓄を勧めている。【関東晋慈】

毎日新聞 2008年8月5日 東京朝刊

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