東京都江東区の東京国際展示場(東京ビッグサイト)で3日起きたエスカレーター事故で、主催者側が入場者を誘導する際、エスカレーターに乗り込む人数を制限していなかったことがわかった。その結果、事故機はステップ1段に3〜4人が乗る過密状態となり、急停止した後、下に動いたとみられる。警視庁は会場の安全管理が適切だったか調べを進める。
調べなどでは、3日午前10時すぎの事故直前、1階のエスカレーター乗り口付近には、4階フロアで開かれたフィギュア展示会の開場を待つ多くの人が詰めかけていた。主催者側の警備員は入場者がエスカレーターを駆け上がるのを防ぐため、同10時の開場と同時にエスカレーターの先頭に立ち、手を広げて先導した。一方、乗り口付近にいた別の警備員は乗る人たちを制限せず、先を急いだ入場者がステップ1段に3〜4人も乗る状態になったという。
建築基準法では、エスカレーターのステップは1平方メートルあたり約260キロ以上の重さがかかっても正常に運転できる設計にするよう定められている。事故機の製造元の日本オーチス・エレベータ(東京都中央区)によると、事故機の場合、1段あたり約96キロとなる計算で、1段に大人3〜4人が乗るのは想定を超える事態という。
同社は、過重量となったために安全装置が働いて停止し、その後ブレーキの能力を超える重量がかかったため下に動いたとみている。事故機の場合、約9.3トンを超える重量がかかるとブレーキが利かなくなって下がるという。
今回の展示会の警備は、主催者から委託を受けた東京都文京区のイベント関連会社が中心となって実施。主催者名の警備計画書は同展示場側に7月28日に提出された。
同展示場は取材に「主催者側と約1カ月前から警備について打ち合わせし、その際にエスカレーターには2段に計3人程度しか乗せないよう伝えた」と言う。これに対し主催者側の会社は「そうした注意は聞いていないし、打ち合わせの記録にも載っていないはず」と説明。「このイベントを過去に十数回担当したが、今回だけ特別にエスカレーターが混雑したという意識はない」と話している。