◆水虫 なかなか治らないけど、どうすればいいの?
■4人に1人が感染
湿度が高く、じめじめした夏は水虫が好む季節。水虫は正式には足白癬(あしはくせん)と言う。カビの一種で真菌類の白癬菌が足の指の間、足の裏、爪(つめ)に取り付き、足の裏の皮膚がむけたり、ひび割れたり、爪が白く濁ったりする病気だ。
皮膚科医師で組織した日本臨床皮膚科医会が昨年、全国の756病院の協力を得て調べたところ、4人に1人が水虫をもっていることが分かった。
なぜ、これほど多いのか。この理由について、「水虫は1ケ月で治せる!」(現代書林)を著した仲弥(なかわたる)・仲皮フ科クリニック院長(埼玉県川越市)は「家族のだれかが水虫をもっていると、風呂のマットなどを通して感染しやすいからだ」と解説する。
水虫の人が素足で室内を歩くと、皮膚のあかと一緒に水虫が床やじゅうたんなどに落ちる。そこを他の人が素足で歩くと足にくっつく。足に傷があったりすると白癬菌は皮膚に入りやすくなる。
たとえ水虫の菌が足についても、足を毎日よく洗えば、できにくい。手にできにくいのは洗う頻度が多いためだ。
■重症には飲み薬
水虫の初期の症状は「足の指の間がじくじくし、かゆい」「足の裏にイボイボの水ぶくれができる」などだ。だが、治さずに慢性化すると水虫菌は皮膚の奥まで侵入し、「足の裏の皮膚が厚くなる」「菌が爪に入り込んで、爪が白濁する」「爪が変形する」など症状は重くなる。
治療は症状に応じて行われる。初期の場合には、市販の外用薬で治る場合が多い。爪の白濁など症状が重くなると塗り薬では爪の中まで浸透しにくく、治すのは難しいため、飲み薬が効果的になる。
飲み薬には、テルビナフィンとイトラコナゾールがある。テルビナフィンは約半年間、毎日飲む連続服用タイプだ。一方のイトラコナゾールは1週間集中的に飲んで、3週間休むことを3回繰り返すパルス療法で、治療期間は約3カ月になる。
渡辺晋一・帝京大学医学部教授(皮膚科)は「パルス療法だと飲み始めて2~3カ月で健康な爪が出てくる。約1年で健康な爪に生え変わる」と飲み薬の効果を話す。
治療は健康保険適用のため、3割負担の場合だと自己負担は初診料や検査費用を含めても、約2万5000~3万円だ。
■勝手な判断は禁物
水虫で気をつけたいのは、勝手に水虫だと思い込んで市販薬を使うこと。足の裏に水ぶくれのようなものができる異汗(いかん)性湿疹(しっしん)の症状は水虫とよく似ている。湿疹のため、ステロイド剤を使うのが正しく、水虫薬の抗真菌薬を塗ると症状は悪化する。
仲さんは「水虫と思って来院する患者の半分くらいが異汗性湿疹などの病気です」と自分勝手に判断するのではなく、まずは皮膚科で受診することを勧める。【小島正美】
==============
■水虫予防対策
(1)1日1回、足を洗う。
(2)室内の掃除をこまめにする。
(3)水虫の人が家族内にいたら、スリッパは共有せず、風呂マットもできれば別にする。
(4)通気性のよい靴をはく。
(5)靴は2~3足を履きまわし、可能なら会社ではサンダルに替える。
(6)勝手に市販薬を使わず、早めに受診する。
毎日新聞 2008年8月5日 東京朝刊