途転の力学

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help リーダーに追加 RSS 「不都合な真実」がもたらした「本当の真実」(「Next石油時代」の主導権争いを読む:その6)

<<   作成日時 : 2008/08/05 08:15  

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ここ数年に渡る原油価格高騰の犯人は、
短期売買を繰り返す「投機筋」であると見なされていた。
しかし、価格変動の本質が示した事実は、
短期売買の繰り返しだけでは、トレンドは作れないというものだった。
トレンド形成のためには、「長期投資家」の存在が必要だった。
「投機筋」は真犯人ではなかったのだ。


その「長期投資家」とは「年金」だった。
運用難に苦しんでいた「年金」が
ムルティのシナリオに乗って、こぞって商品市場に乱入してきたのだ。


しかし、巨額の運用資産を抱える「年金」にとって、
「商品市場」はあまりにもパイが小さすぎた。
そんなパイの小さい市場にこぞって乱入したもんだから、
原油はとんでもない上昇トレンドを描いてしまったのだ。

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年金が商品投資を縮小しない限り、
そして、商品のインデックスファンドに投資し続ける限り、
原油価格は暴落しない。



ロックフェラーはこの仕組みがわかっていた。
だから原油価格は暴落しないと断言できたのだ。

【参考】「石油時代」の終わりを告げる「大御所」の決意
http://keyboo.at.webry.info/200807/article_2.html


しかし、本当に断言していいのだろうか。
万が一、年金が商品投資を縮小して、
原油価格が以前に水準に戻ったりしたら、
また原油に回帰する可能性は考えられないのでしょうか。


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<強烈な反響をもたらした「不都合な真実」>


ムルティの100ドル予測に乗っかって
年金が商品市場に乱入を始めた2006年。
その年は、一編のドキュメンタリー映画が
世界にセンセーショナルを巻き起こした年でもありました。


その映画の名は「不都合な真実」

【参考】不都合な真実(wiki)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%8D%E9%83%BD%E5%90%88%E3%81%AA%E7%9C%9F%E5%AE%9F

『不都合な真実』(ふつごうなしんじつ、原題: An Inconvenient Truth)は2006年のアメリカ映画(正確には2006/5/24公開 http://en.wikipedia.org/wiki/An_Inconvenient_Truth)。主演はアル・ゴア元アメリカ合衆国副大統領。日本では2007年1月20日公開。


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もはや説明不要のこの映画が
世界にもたらした反響は、ことのほか大きかった。
日本はもとより、米国に与えた影響は強烈だった。

【参考】不都合な真実(wiki)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%8D%E9%83%BD%E5%90%88%E3%81%AA%E7%9C%9F%E5%AE%9F

特にアメリカ合衆国内では、ブッシュ政権が「地球温暖化など単なる学問上の仮説で、現実にはそんなことは全く起きていない!」という公式見解を出して温暖化を否定し続け、国内のメディアもほとんどがそれに追従してきたため、日本人には信じられないことだが、この映画を見て地球温暖化問題について初めて知ったアメリカ人は非常に多く、合衆国内に強い影響を与えた。



そして、その衝撃的な反響は、
この一介のドキュメンタリーにアカデミー賞をもたらし、
モデルとなったアル・ゴアには、ノーベル平和賞まで贈られた。

【参考】不都合な真実(wiki)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%8D%E9%83%BD%E5%90%88%E3%81%AA%E7%9C%9F%E5%AE%9F

第79回アカデミー賞において長編ドキュメンタリー映画賞・アカデミー歌曲賞を受賞した。またこの映画が契機となり、環境問題の啓蒙に貢献したとしてゴア氏へのノーベル平和賞授与が決定した。



「地球環境問題」が市民レベルにまで浸透したのは、
この「不都合な真実」に拠るところが大きかった。



しかし、この「多大な」功績とは裏腹に、
一方で、別の影響を世界にもたらしていたのですが、
それは一体何だったのでしょうか。


最近本読んでますか?







<「不都合な真実」によって槍玉に挙げられたもの>


「不都合な真実」は
「環境問題全般」を描いたものではなかった。
それはあくまで「地球温暖化問題」にフォーカスしたものだった。


それは、アル・ゴアが長きに渡って研究していたのが、
「環境問題全般」ではなく「地球温暖化問題」だったからだ。

【参考】アル・ゴア(wiki)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%82%B4%E3%82%A2

アル・ゴアは大学生のころ、1970年代からロジャー・レヴェル博士の影響で地球温暖化について関心を持つようになり、この問題には造詣が深い。ここ数年は、世界中で地球温暖化防止についての関心を高める運動に精力的に参加している。彼の地球温暖化についてのスピーチは高く評価されており、ゴアは講演を少なくとも1000回行っている。



しかし、「環境問題」は数あれど、
この「不都合な真実」がもたらした反響によって、
「地球温暖化問題」があたかも「環境問題全般」
であると誤解する気運が生じた。


そこで槍玉に挙げられたのが
「二酸化炭素(CO2)」だった。
この瞬間に「CO2」は一気に悪者と化した。



そして、悪者である「CO2」の
最大の排出源とされたのが「化石燃料」だった。
この瞬間に「化石燃料」も一気に悪者と化したのだ。

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(出処:電気事業連合会)


【参考】地球温暖化(EICネット)
http://www.eic.or.jp/ecoterm/?act=view&ecoword=%92n%8B%85%89%B7%92g%89%BB

温室効果ガスの濃度上昇の最大の原因は、石炭、石油等の化石燃料の燃焼であり、さらに大気中の炭素を吸収貯蔵する森林の減少がそれを助長している。



当然それには「石油」も含まれていた。
これまで世界最大のエネルギー源であり、
「黒いダイヤ」といわれた石油が、一気に悪者と化した。


その演出を行ったのが、
ほかならぬ「不都合な真実」だったのだ。



「不都合な真実」には
学術的におかしな点があると指摘されていた。

【参考】英政府が教員に指導書 「不都合な真実」の誤り受け(産経:07/10/12)
http://sankei.jp.msn.com/world/europe/071012/erp0710122339004-n1.htm

ノーベル平和賞を受賞したゴア前米副大統領のドキュメンタリー映画「不都合な真実」に科学的な誤りが9カ所あると英高等法院が10日に指摘したことを受け、児童・学校・家庭省は12日までに、中学校で上映する際、子供たちに注意する事項をまとめた指導書を全教員に通達した。


【参考】地球温暖化Co2説以外の学説(るいネット)
http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=400&m=15902


【参考】地球温暖化詐欺(wiki)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9C%B0%E7%90%83%E6%B8%A9%E6%9A%96%E5%8C%96%E8%A9%90%E6%AC%BA_%28%E6%98%A0%E7%94%BB%29

この映画の基本的な前提は、地球温暖化の人為的な原因についての現在の科学的なコンセンサスには多くの科学的な欠陥があるということと、市民や科学者のコミュニティがこのことについて知ったり議論したりすることを科学者の権威やメディアの既得権益が妨げているということである。映画によれば、公表された科学的なコンセンサスは『温暖化活動家産業』の産物であり、その活動は研究費を求める研究者によって後押しされているということになっている。映画が他に犯人として挙げるのは欧米の環境保護主義者であり、アフリカで安い化石燃料の代わりに高価な太陽光発電や風力発電を宣伝し、アフリカの国々の工業化の足を引っ張っているとされる。



しかし、その科学的真偽が明らかにされる以前に、
どれも「不都合な真実」の勢いを止めることは出来ず、

「CO2を排出することは良くない」

という国際世論が形成された。


では、この「世論形成」がもたらしたものは
一体何だったのでしょうか。


(注)私は「不都合な真実」に端を発した世論形成と
CO2削減の動きを否定するものではまったくありません。
事を起こす目的は一つではなく、時としてそれが発起者とは
違う意図で利用されることも多々あります。



読書はあなたの人生の可能性を飛躍的に広げてくれます。








<「不都合な真実」によって形成された「国際世論」>


ここまで来れば明らかだろう。


それは、「不都合な真実」によって、

「CO2を排出するのは良くない」
=「化石燃料を使うのは良くない」
「原油を使うのは良くない」

という意識が、人々に刷り込まることになったのだ。

【参考】地球温暖化、9割近くが「危機感」 民間調査(日経:08/07/08)
http://www.nikkei.co.jp/news/sangyo/20080708AT3K0700Q07072008.html

「近い将来の話として漠然と危機感を感じている」との回答は57.4%となり、非常に危機感を感じているとした31.0%と合わせて危機感を持つ人は88.4%になった。反対に「それほど危機感を感じていない」は9.8%、「まったく感じていない」は1.7%だった。

期待する温暖化対策を複数回答で聞いたところ、「太陽光発電など自然エネルギーの一般家庭普及」が70.7%でトップ。「水素、燃料電池などの脱ガソリン自動車の開発・普及」(62.8%)が続いた。調査は6月1―5日にかけてインターネットで実施。1万3867人から回答を得た。



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その「意識」が、「原油は枯渇する」という
ムルティのシナリオとは別の観点から、
「クリーンな」代替エネルギーの開発を促しているのだ。



そして、その「意思」は
先の「洞爺湖サミット」ではっきりと示された。

【参考】エネルギー安全保障と気候変動に関する主要経済国首脳会合宣言(洞爺湖サミット公式サイト)
http://www.g8summit.go.jp/doc/doc080709_10_ka.html

我々は、エネルギー安全保障及び気候変動という相互に連関する世界的な挑戦への対処における、技術の極めて重要な役割及び技術の飛躍的な進歩の必要性を確認する。

短期的には、多くの既存の技術の幅広い展開が緩和及び適応の両方に不可欠である。特に、省エネルギー、エネルギー効率、災害抑制、及び水・天然資源管理に関する技術は重要である。

我々は、再生可能エネルギー、よりクリーンで低炭素の技術及び、我々の中で関心を有する国については原子力を含む技術の採用及び利用を促進する。キャパシティ・ビルディングの促進と同様に、途上国との技術協力及び途上国への技術移転もまた、この努力において不可欠である。

より長期的には、革新的技術の研究、開発、実証、展開及び移転は決定的に重要であり、我々はこれらの分野における投資及び協力を強化する必要性について認識する。

我々は、様々な代替エネルギー技術の重要な役割に留意し、特に炭素回収・貯留に関する研究、開発及び大規模な実証並びに関連する協力の必要性を認識する。我々はまた、クリーン・エネルギーの研究、開発、実証及び展開における継続的な投資及び協力の促進のための手段としての技術ロードマップの価値にも留意する。



もう石油の時代に逆戻りすることはないのだ。
間違いなく、代替エネルギー中心の
「Next石油時代」が訪れるのだ。



「不都合な真実」が提起した地球温暖化問題は、
人類に原油との決別を宣言させたのだ。



しかし、人類が原油と縁を切るからと言ったって、
そもそもムルティの予測が正しければ、
原油の方が枯渇してなくなるのだから、
人類の方からわざわざ
原油との縁切りを宣言する必要などないはずだ。


それなのに、
なぜはっきりと原油との決別を
宣言する必要があったのでしょうか。


「知識」を獲得して差をつけますか?それとも回り道しますか?さあ、あなたの可能性を無限に広げる「知」の世界へGO!







<見えてきた「本当の真実」>


それは、「原油は枯渇などしない」からだ。

【参考】今日の石油産業(石油連盟)
http://www.paj.gr.jp/statis/data/2008/2008_all.pdf

石油の埋蔵量について

近年の原油価格高騰やエネルギーを巡る厳しい世界状況を背景として、数年以内に石油生産能力がピークを迎え需要の伸びに追いつかない状態になると説く「ピークオイル論」が一部で話題になりました。かつて、経済的に採掘可能な石油の埋蔵量(=可採埋蔵量)をベースとした可採年数は約30年と言われてきましたが、最近では水平掘削技術、三次元地震探査システム、人工衛星と地上波を複合活用した測位システム、大水深海洋石油開発システムなど、開発技術の発展によって可採埋蔵量は増加しており、今後の新たな油田の発見や採掘技術の更なる進歩による推定増加分を含めた埋蔵量は、約60年分になります。

〜(中略)〜

大規模な開発技術が更なる進歩を遂げ、これらの資源がすべて採掘可能となれば、石油の可採年数はさらに220年増加し、合計で約280年と飛躍的に増加します。このように、最近の開発技術の発達や将来の可能性などを考えれば、当分の間、石油資源が枯渇するといったことは考えられず、今後とも石油供給に問題が発生することはありません。



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原油の潜在埋蔵量は300年近くもあるのだ。
それを証拠に、次々といたるところで
新油田が発見されているではないか。

【参考】北方四島周辺に大規模油田か=ロシアの地質学者グループ(時事:08/07/08)
http://www.jiji.com/jc/c?g=eco_30&k=2008070800817
【参考】相次ぐ大油田発見 サントス沖でグァラー油田(サンパウロ新聞:08/07/02)
http://www.spshimbun.com.br/content.cfm?DO_N_ID=23784
【参考】英BP・丸紅、メキシコ湾で大規模油田発見(日経:08/04/04)
http://www.nikkei.co.jp/news/sangyo/20080404AT1D0309E03042008.html


「枯渇シナリオ」は「年金」を商品市場に呼び込むための
セールストークだったのだ。


【参考】原油価格高騰の謎を解く:中編
http://keyboo.at.webry.info/200807/article_4.html


しかし、「枯渇シナリオ」は必要だった。
なぜなら、これがなければ、
現物の需給が緩んでいるのに、
先物だけが高い状況を説明できないからだ。

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「原油枯渇シナリオ」を浸透させて
運用難の「年金」を、パイの小さい商品市場になだれ込ませ、
さらに、原油が高止まりしている間に
代替エネルギーを普及させて、
生産コストを下げていく。



代替エネルギーが本格的に普及すれば、
「原油枯渇シナリオ」も消える。
「枯渇シナリオ」が消えれば、「年金」は商品投資を縮小する。
原油の本格的な暴落は、そこから始まるのだろう。


しかし、原油の値段が下がっても、
「温暖化」で槍玉に挙げられている化石燃料は、
「使っちゃいけない気運」になっている。


【参考】原油依存からの脱却を始めた米国(FT:08/05/19)
US begins to break foreign oil ‘addiction’
http://www.ft.com/cms/s/0/eda93eea-259f-11dd-b510-000077b07658.html?nclick_check=1
【参考】仏、脱「石油・石炭」を推進 全建物で太陽光と風力発電(日経:08/06/18)
http://www.nikkei.co.jp/news/kaigai/20080618AT2M1700G17062008.html


そのとき、原油の価値が著しく暴落し、
価格弾力性が極めて小さくなる状況がやってくる。
つまり、「安いのに誰も使わない事態」が訪れるのだ。


サウジはこの「流れ」に気づいていたのではないだろうか。
だからこそ、自ら主催してジッダ会合を開いたのだ。

【参考】ジッダ会合を主催した産油国サウジの危機感
http://keyboo.at.webry.info/200807/article_1.html


その「気運」をもたらしたものこそが、
「不都合な真実」に他ならなかった。



ムルティ(GS)の「原油枯渇シナリオ(100ドル予測)」
アル・ゴアの「不都合な真実」

この組み合わせは、本当にただの偶然なのだろうか。


もし、これが偶然でないとするならば、
なぜこのようなシナリオが描かれているのでしょうか。


(この記事は投資を勧誘するものではありませんので、
この記事の内容を元に原油先物をロングにして損失を被られても
責任は負いかねますので予めご了承願いますm( __ __ )m。

次回に続きます。。。)


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