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韓国:米産牛問題でTV局に訂正命令 「歪曲報道、デモ誘発」--ソウル南部地裁

 【ソウル中島哲夫】牛海綿状脳症(BSE)の恐怖を強調し、米国産牛肉輸入再開反対デモのきっかけを作った韓国MBCテレビの報道番組に7月末、ソウル南部地裁が訂正報道を命じる判決を下した。検察は意図的な歪曲(わいきょく)や誇張があったとみて捜査を続けている。聯合ニュースは4日、一部市民団体などがこの番組を相手に巨額の損害賠償請求訴訟を準備中だとも報じた。

 だが背景には政治的な左右対立があり、支援者も少なくないMBCは、誤報部分の一部につき判決前に訂正した以外は、批判に反論。検察への資料提出を拒むなど強気の姿勢だ。

 問題の番組は、調査報道を売り物にする「PD(プロデューサー)手帳」。米牛肉輸入再開の米韓合意を受けて、5月2日に始まった一連のデモに女子中高生や一般市民が多数参加したのは、4月29日の同番組の影響が大きかったとされる。

 これが「国民の声」を旗印に李明博(イミョンバク)政権退陣を叫ぶ左派勢力にとり絶好の条件となり、デモは7月上旬まで連日のように夜のソウル都心を騒然とさせた。5日には、ブッシュ米大統領の訪韓反対を兼ねた「ろうそく集会」が予定されている。

 番組への訂正報道請求訴訟は米牛肉問題を主管する農林水産食品省が提訴。判決では韓国人は遺伝子の性質上、極めてBSEに感染しやすいなどと指摘した点を虚偽とし訂正報道を命じた。一方判決の2日前、検察は中間捜査結果を発表。同地裁が虚偽とした部分を含め19の歪曲、誇張があったとしていた。

 ◇政治的対立も

 MBCは政府系機関が大株主の半官半民の放送局だが、左派傾向があり保守系大手紙と対立。李政権の官業民営化志向に反発する職員も多いとされる。

毎日新聞 2008年8月5日 東京朝刊

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