市民の立場から健康や医療について考え提言しようと、有識者らが集まり今年4月から本格的に活動している健康医療市民会議(東京都)の地域組織、健康医療市民会議「信濃」が4日、茅野市玉川の特養老ふれあいの里で第1回の懇談会を開いた。今後、学習会などを開き医療にかかわる情報を共有するなど、「自分の健康は自分で守る」を旗印に活動を展開する。
市民会議は、岐阜県知事や全国知事会会長を務めた梶原拓さんが代表。「患者・市民本位で健康医療を考え、行動します」をスローガンに掲げる。
現在、各方面から300人ほどの会員がいるといい、毎月定例会を開いて医療の最先端技術などの報告を聞いている。今後、医療改革について意見をまとめて厚生労働相あてに提言する計画もある。
「信濃」は、梶原代表の別荘が市内にあることから市民会議の趣旨に賛同する仲間が集まって、全国で地域組織第1号として6月に発足。今回の第1回懇談会で具体的な活動をスタートさせた。各地の福祉施設で歌の慰問活動を続けている宮沢信夫さんが会長を務めている。現在、茅野市を中心に会員26人がおり、今後、一般会員も募る予定だという。
懇談会には、梶原代表や宮沢会長のほか、同市の柳平千代一市長、諏訪中央病院の鎌田実名誉院長、浜口実院長らも顔を出した。
梶原代表は席上、日本の医療の将来を憂慮して「市民であるわれわれが立ち上がらないといけない、という思いで市民会議を立ち上げた。東京中心では大きな力にならない。各地域が頑張ってもらわないといけない」と、地方からの活動に期待を寄せた。
自身のがん治療の体験を踏まえ、患者自身が調べて勉強し知ることの大切さを強調して「最適な治療が選べる仕組みを作りたい。医療改革には患者、市民が立ち上がらないとだめだ」として、セカンドオピニオンセンターの設置構想なども語った。
宮沢会長は、これまで20数年続けてきた慰問活動を振り返り、同日にふれあいの里で改めて「第1回ふれあいコンサート」をスタートさせたことを報告して「市民としてできる範囲で頑張ろうと考えている」とした。
懇談会後、梶原代表は取材に「できれば全国の都道府県に一つずつ地域市民会議の組織を作りたい。医療の現場に市民の声が反映されないといけない。考えるだけでなく、行動もしたい」と話した。