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英米主要16紙誌の論調分析('08/01/11〜'08/02/07)

 この期間、毒入り餃子をめぐる日中関係、日本の対テロ活動再開、日豪捕鯨論争、米国のサブプライム対策など多くの話題が取り上げられている。

 FT(2/7)のデビッド・ピリング東京支局長のコラムは「毒入り餃子をめぐるメディアの騒ぎが、日本と中国の二国間関係を悪化させることはない、ということが明らかになった。同様に、東シナ海ガス田をめぐる問題は、対立ではなく、友好関係への力になるかもしれない」と述べて、最近の日中関係の改善について論じている。
 「中国と日本はここ15カ月間で関係の修復に大きく前進した。現在、関係修復では、これまでで最も重要なブレークスルーと成り得る岐路に立っている。特に注目されるのは、東シナ海のガス田問題で一定の合意に達する可能性があることである。4月に予定されている胡錦濤国家主席の訪日までに何らかの合意がなされれば、これは経済的影響をはるかに超えた大きな政治的影響力を持つ……非常に難しいことだが、両国が歴史を瓶の中に封じ込めておくと決めれば、互いに得るものは大きい」と述べている。
 しかし、これまでの関係改善が日本の譲歩の結果であることを考えると、ことはそれほど甘くはない。
 インド洋での海上自衛隊の給油活動再開についてWSJ(1/14)社説は、「日本の国会は金曜日(1/11)、インド洋で対テロ活動を再開する法案を成立させた。我々はこれを歓迎する。これは、アジアにおける米国の最も忠実な同盟国が、国際的な安全保障、特に自国の地域、アジアにおいて、より大きな役割を果たしたいという意欲を捨てていないことを示すものである」と歓迎している。
 その上で、「小泉、安倍両首相のリーダーシップの下で、日本は自国の防衛についてより大きな責任を受け入れ、国際安全保障問題で一層大きな役割を果たし始めた。福田康夫首相が、前任者たちの『活力ある、強い日本』へのビジョンを全面的に共有するかどうかはまだ分からないが、先週の国会での再議決は、彼が、何が大事なのかを理解していることを示しているようだ」と述べている。

 エコノミスト(1/17号)は「暫定首相」の見出しでねじれ国会の現状と福田首相の対応について報じた記事の中で、「ほとんどの政治家は選挙が4月でなく夏後半にあると予想している。ということは、彼らは福田首相が予算だけでなく、失われた年金記録や防衛省の調達汚職の混乱も乗り切れることを想定しているということである。しかし、夏までには『暫定首相』の福田氏はもっと長く首相の座にしがみついていたいと思うかもしれない。彼は2009年9月まで選挙をする必要はないのである。そうすれば、ある種の安定が続くが、その代償は政治の混沌状態の継続であり、経済をよりしっかりした基盤につけるために必要な思い切った措置を何もできないということである」と危機感を示している。

 エコノミスト(1/26号)は、日本の調査捕鯨に反対しているオーストラリア政府の対応について、「(反捕鯨グループの)抗議の映像がオーストラリア国内で反日感情をたきつけている一方で、衝突はオーストラリア政府にとって、この地域で最も強力な国家間の関係を危うくしている」として次のように述べている。
 「この論争は、オーストラリアが日本との自由貿易交渉をするに当たって雰囲気をまずくしている。そして、ケビン・ラッド首相のオーストラリア政府が、重要性がますます高まる中国と日本とのバランスを取ろうとするのを難しくする。中国語を話す中国専門家のラッド首相は、前政権が昨年調印した日本との安全保障協定に反対している。日本は、鯨の将来に対するオーストラリアの懸念が、より広い政府間の議題の一部にはならないという証しを見つけなければならないだろう」。

 サブプライム問題の対策についてFT(1/12)社説は、「減税であれ財政出動であれ米国経済に対する財政による刺激策は無駄が多く、タイミングがずれ景気低迷には何の効果も生まない可能性が高い。それでも考え方はよい。景気低迷が長引いて深刻になった場合、あるいはFRB(連邦準備制度理事会)の金融政策では手に負えない場合の保険になるからである」と厳しく指摘している。
 「米国のどのような景気対策も、結局は税金の無駄遣いで終わることになるだろう。2008年前半にすでに始まっている景気の後退に対して、何かをしようとするのはすでに手遅れである。しかし、金融政策に関して2つの深刻な問題があることを考えれば、まだやる価値がある。第1に、公定歩合を下げても銀行の低利融資が増えるかどうか……第2に、FRBは、外国人投資家のドル離れや国民のインフレ期待に気を付けなければならない。金利を引き下げる余地はまだあるが、下げ幅には限度がある」。
 WSJA (2/4)で『オリエンタル・エコノミスト・レポート』のリチャード・カッツ編集長は「サブプライム危機が景気低迷へと発展するにつれて、日米両国の新聞などは、米国がバブルから長期のリセッションへ陥った日本がかつて来た道を繰り返していると言い始めた。そのような悲観的見方は正確ではない。確かに、米国がリセッションに陥る可能性は大きくなっている。しかし、ひとつの金融ショックが現代の経済をひどく傷つけるためには、経済が構造的な欠陥を抱えて脆弱になっていなければならない。1980年代後半の日本はまさにこの問題を象徴するものであった。今日の米国のサブプライム危機と日本の『失われた10年』との違いを決定づける要素が3つある。すなわち、危機の原因、問題の程度、政策担当者の(迅速な)対応である」と日米の危機の違いを強調している。


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