定時の運航ひとまず順調 開港1カ月半 神戸空港

   2006/04/05

 開港から1カ月半が過ぎた神戸空港。開港日の混雑や濃霧など、ダイヤが乱れた日もあった一方で、全体的にはほぼ順調な運航状況が続いている。関西国際空港、大阪空港が近いことで懸念されていた空域の狭さも、現在のところは遅延の原因になっていない。一方で一部の路線では機体トラブルが続き、予備機がないため、終日ダイヤが乱れるケースも出ている。(社会部・直江 純)

空域狭さ、影響少なく/整備トラブルに課題も

離着陸を見守る管制塔。空域の狭さが懸念されたが、管制上の遅延は少ない=神戸空港

■目立つANA遅延

 神戸空港には、日本航空(JAL)十往復▽全日本空輸(ANA)十往復▽スカイマークエアラインズ(SKY)七往復の一日計五十四便が就航。二月十六日―三月十五日の開港後一カ月間では、時刻表上の定刻から十五分以内に出発・到着できた「定時運航率」は平均91・8%だった。

 三社の全国での年間平均は92―95%台。神戸空港管理事務所は「天候が崩れやすい冬季としては悪くない。神戸の気象条件の良さが示された」と手ごたえを話す。

 会社別では、ANAに十六分以上の遅延が目立つ。出発が二百七十九便中四十便、到着が二百七十八便中三十八便あった。定時運航率は86%で、JALの95・5%、SKYの94・8%に差を付けられている。

 便ごとでは、ANAの午後四時発の鹿児島行き便(60・7%)▽午後九時十五分着の羽田発便(67・9%)▽午後三時半着の札幌発便(同)と午後便が低調。同社は「午前の遅れが午後に拡大してしまった」と説明。「開港直後はスタッフが不慣れな面もあった。遅れは三月に入って減っている」とする。

■「管制はスムーズ」

 半径二十五キロ以内に三空港が集まる関西の空域。騒音対策で陸上を避けるため、神戸空港の離陸・着陸ルートは明石海峡大橋の上空を通るしかない袋小路状になっている(図の1と2)。一本しかない滑走路を他の機体が使えば、着陸機は海峡西側の上空で旋回待機しなければならない。

 さらに、神戸機は関空の北側からの着陸機(3)と立体交差し、千百フィート(約三百三十五メートル)の高度差に接近する可能性があるため、航空関係者は「衝突防止装置(TCAS)が作動する可能性がある」と指摘していた。

 しかし実際は上空待機するケースは二月末までの十三日間で十回。TCASの作動もなかった。大阪航空局管制課は「上空待機してもわずか数分。ダイヤの乱れにはつながらない。全体的に管制はスムーズ」とする。

 パイロットでつくる日本乗員組合連絡会議の吉村淳副議長も「思ったより管制上の遅延が少ない」と評価した上で「冬は北風が吹くため関空機も3より4を選ぶ。ルートが逆になる夏に過密が生じないか、年間通じて見守る必要がある」と指摘している。

■一部で機体不具合

 一方で、機体のトラブルによる遅延や欠航は目立つ。SKYは羽田線に新鋭ハイテク機のボーイング737―800型を投入。仮修理を放置した他路線のような深刻なトラブルはないものの、予備機がないため、軽微な不具合が欠航や大幅な遅れにつながるケースが多い。

 ANAが新潟線で使用する神戸空港唯一のプロペラ機、ボンバルディアDHC8型も全国で車輪が格納できないなどの故障が続発。三月二十九日にも、神戸便に使う中部空港―新潟便が上空でトラブルを起こして一往復が欠航した。同社は「ご心配をかけ申し訳ない。メーカーに技術者を派遣し、不具合を防ぐ専門チームを設けて対応している」としている。


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