東京都江東区有明3の東京ビッグサイトの上りエスカレーターが急停止後に逆走し、10人が軽傷を負った事故で、エスカレーターの多くのステップには3~4人が乗っていたことが分かった。このエスカレーターは1ステップ当たりの荷重制限が130キロに設計されており、警視庁東京湾岸署は想定以上の負荷がかかり自動停止した可能性が高いとみて捜査している。
事故があったエスカレーターについて、当初、1ステップ(横102センチ、縦40センチ)当たり2人の計約120人が乗っていたとみられていた。しかし、その後の調べや目撃者の証言によると、多くのステップには3人から4人が乗っていたことが判明、荷重制限を超えていた疑いが強まった。
エスカレーターの製造元「日本オーチス・エレベータ」(中央区)によると、このエスカレーターはステップが84段あり、階段状になっているのは上下部分の3段ずつを除く78段だった。建築基準法上の安全基準の計算式は、1ステップあたりの荷重制限の130キロ×78段×0.74の7503キロで、これは2ステップに大人3人が乗る計算だという。
今回の事故では、この数値を大幅に上回っていた上、このエスカレーターの加重制限も超えたため、電源が切れて自動停止したとみられる。
また、エスカレーターの逆走後、4階にいたイベントスタッフが緊急停止ボタンを押したことも新たに分かった。調べに対し、このスタッフは「ワーッという声が聞こえたので慌ててボタンを押した」と説明しているという。
警視庁はエスカレーターのモーターなどを押収し、電気系統のトラブルについても詳しく調べるとともに、事故当時、エスカレーターに何人を乗せていたのか関係者から聴取を進める。【川上晃弘、佐々木洋、古関俊樹】
毎日新聞 2008年8月4日 15時00分(最終更新 8月4日 15時00分)