2006年9月27日 (水)

アグロナチュラブランド開発ストーリー15 そして1年が経とうとする今

アグロナチュラが初めて出荷されたのは、2005年11月9日です。

やっと10ヶ月が過ぎようとしています。

無名で発売もしていなかった10ヶ月前とは全く状況が変わりました。

地道なプロモーション活動が実りはじめ、多くの方々のお力添えで、2006年4月ぐらいから売り上げが急拡大したのです。

その後も各雑誌に毎月取り上げてもらい、約300店もの洗練されたお店やホテルに扱っていただいています。

今や自然化粧品ブランドの一つとして認知してもらえるようになりました。

とても嬉しいです。

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そして、売り上げ急上昇と事業化の成功により企業も新たな局面に入りました。

当初売れるかどうかわからなかったこのブランドは、今の時点でも小売価格で年間約10億円弱を売り上げる事業となり、2006年7月よりアグロナチュラ事業開発室はなくなり、株式上場を目指すイデアインターナショナル社本体事業に組み込まれ急拡大されていくこととなりました。

今後は、世界のメガブランドをベンチマークとして商品投入、店舗の拡大を行っていく方向です。

これからも、今までイタリアの田舎の農場のメンバーたちが地道に20年間続けてきた営みを、末永く続けていけるような日本側の事業展開になっていければ素晴らしいことと思います。

ピエモンテの農家にて、土を耕し苗を植え水をやり原料であるハーブから最期のパッケージングまで丁寧に誠実に地道に作り出される製品に対して、鼻息荒くチャネルを拡大し、また次々に入れ物やラベルデザインを変え新商品を繰り出しては売り上げを生み出していく、短期思考のコマーシャルな日本のディストリビューションにならないように。

価格を安くしたら売上げは倍増するという幻想による格安版の大量生産・大量投入による高付加価値原料配合割合の低減、長期保存と大量流通に耐える合成保存料の添加、製品への思い入れの低下などが起きないように。

思慮、戦略思考を欠いた値上げの推進と利益確保による、「本物をリーズナブルな価格で提供」というブランドコンセプトの瓦解や競争優位の源泉の喪失が起きないように。
http://trife.jp/blog/2006/09/post_65.html

安易なコンセプトなきパッケージデザイン変更を繰り返さないように。

マーケティングなきセリング活動にならないように。

などなど、、

不安なことはたくさんありますが、うまくいくように心から願っています。

わけのわからないまま生み出し、多くの方に愛されたこのブランドは、自分にとっては子供のようなものです。

世界を少しずつでも変えていけるようなブランドを夢見てきました。

これからもハンディキャップのある人の雇用や世界の困窮する人たちの現状を少しずつでも変えていけるようなブランドであって欲しい。

永遠に魂が抜けないように、灯火が消えないように、

蔭ながら見守っていきたいと思います。

この場をお借りして皆様にお礼を言いたいと思います。

このブランドがここまでになったのは力を貸していただいたおかげです。

本当にどうもありがとうございました!

アグロナチュラブランド開発ストーリー おわり

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2006年9月12日 (火)

アグロナチュラブランド開発ストーリー14 福祉とビジネスの融合のジレンマ

個人的に当初このアグロナチュラブランドの立ち上げのモチベーションになったのは、何とか得意なビジネス分野でハンディキャップのある人の雇用を生み出していくような営みを作れたら良いなということでした。

日本のヤマト福祉財団のスワンベーカリーや、化粧品ブランドとしては社会的な意義を前面に出していたボディショップなどのイメージです。

具体的に取り組んだことは、東京都で紹介してもらった東京コロニー印刷所に各印刷物を発注したり、その他販促に用いる小分けサンプルなどを福祉作業所に作成依頼する等のことでした。

東京コロニー
http://www.tocolo.or.jp/

東村山市の障害者授産施設「あきつの園」で作成していただいたビオリーブス洗剤のサンプル
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一方、20年間事業を続けてきたイタリア現地のアグロナチュラ農業組合サイドにも、日本ビジネスの急速な展開とスピード・バランスを保ちながら、地域経済の再興、地域での雇用の推進といった、じっくり慎重に進めていくべきの課題がありました。

ブランドが立ち上がり、日本全国の店頭に並び、雑誌に取り上げてもらい、売り上げは順調に伸びていきました。

日本の事業計画上競合と位置づける輸入商社や国際メガブランドの売り上げ規模や店舗数とのベンチマーク。

急速に事業を拡大していくための売上確保施策や製品調達等の販売活動。

日々の活動に追われる中、個人的な課題である「福祉との融合」というテーマや、イタリアの組合の社会的な取り組みが置き去りにされているのではないかという不安とジレンマが常にありました。

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2006年9月 9日 (土)

アグロナチュラブランド開発ストーリー13 チャネルマネジメント

アグロナチュラを新事業としてはじめた、イデアインターナショナル社本体はホームセンターやディスカウントショップに中国・台湾の工場で作った置時計やエスプレッソマシン等を、デザインをお洒落にカスタマイズして輸入、価格面での競争優位性を生かした卸販売を行う雑貨商社として成長してきました。

最近では、フランスのLEXONの日本販売代理店、旧タカラ子会社のプラスマイナスゼロの販売代理店等さまざまなブランドの販売代理業を行い、売り上げを拡大させております。

日本国内の取引先は2000店を超える雑貨店や家具店をはじめ文房具店、コンビニエンスストア、食品スーパーネット販売業者、テレビ通販業者、そして自社小売店舗というマルチな販売チャネルを持ち、約40名の社員のうち約半数が営業員の、販売・営業に非常に強い会社でプッシュ戦略に強みがあります。

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中国の雑貨展示会にて

一方、化粧品ブランドとしては、多くの営業マンが全国のあらゆる物販業を回ってバイヤーにお願いして買ってもらうというプッシュ戦略よりは、良いものを作ってイメージを高めそれを伝え、消費者に愛顧して買ってもらうというプル戦略が重要です。

良いブランドイメージの構築には、綿密な仕掛け作りが必要となり、自然にブランドができたり、偶然に信頼が生まれるものではありません。
ユーザーとの信頼関係の中で醸成されていくものです。

特に化粧品は、お肌にかかわる重要なものであり、思いつきやテクニックに任せてどんどん売り場にはめ込んで終わり、消費者ではなく小売業のバイヤーに製品を売り切って終わり、いろいろな価格帯別ブランドや用途用ブランドを作って小売店に導入したら売り上げが一時的に上がって終わりというものではなく、ユーザーとの信頼関係の中で、長い間買い続けもらい、それを継続させていくという非常にデリケートなものです。

マーケティング用語としては少し古くなりましたが、ライフタイムバリュー(LTV)という考え方があります。
コンピューターが進展して「顧客」が「個客」として把握・管理できるようになった今、一時的に何人が買ったというおおまかなシェアではなく、ある人の一生のうちで使うお金の中のシェアを如何に上げるかというより具体的な取り組みが重要になってきました。

ある人が、一生のうちで家や保険、車や雑貨、化粧品に使うお金の中で、如何に自社の製品の購入の割合を、その人の一生に関わって増やしていくかということです。

そして、そのターゲットにリーチし、信頼関係の中でブランドを作り上げていき、マーケットを生み出していくには戦略とその実行が必要です。

たとえば、ブランド品の卸売り販売の場合のチャネルマネジメントについて重要なのは、自分が担当しているお客さまの中で売りやすいところに製品を選んでもらってちょっとずつ売るのではなくて、絞り込んだ売っていただきたいターゲット店舗に売っていただきたいものを売るというようなことです。

導入店舗数に広がりを求めるなら順序も重要です。お洒落な店の順しか入っていかない現実があります。

街の中でいろいろな店舗が同じブランドを扱っている、扱っているけど全アイテムではなく少しずつで欲しいものが買えないという消費者の不便さ。

すぐ近くの店舗やネットモールなどで同じブランドを扱っていて、わざわざ自分の店で売らなくても良いよという店舗スタッフさんのモチベーション低下。

薄く広くたくさんのお店に販売して、その結果欠品や不良品対応に追われるメーカーの非効率性。

このようなマーケティングミスを避けるためには、しっかりと戦略を立て、それをしっかり実行していくことが重要です。

しかしなかなか徹底統制できず、一時はいろいろなところに少しずつ商品が並ぶという状況になりました。

一般的な会社に存在する要素、たとえば株式上場を目指すための売り上げの急速拡大という使命、大きな金額が稼げる量販市場へのボディケアブランドの投入課題と専門店流通ブランドとの両立、各営業員の月次の予算目標とブランドマネジメント上のチャネル制限、そもそもの事業の存在意義について共通の考えを持つこと等々。

一つのブランドを作り上げていく中で、それぞれの想いや得たい利益などを調整しながら、役割分担をうまくこなしていくハーモナイズ、チャネルドリヴンの既存商品と新規事業のマーケティングマネジメントとの調整は、非常に難しいことと実感した時期もありました。

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2006年9月 8日 (金)

アグロナチュラブランド開発ストーリー12 プロモーションについて

さて、どうやってこのブランドを多くの人に知ってもらい、買ってもらうのか?

プロモーション戦略はどのようにしていくのかいろいろと考えてきました。

まず、このブランドの強みはその背景にあるストーリーの壮大さと、日本人向けにこだわった製品としての新規性、そして小規模で手作りで手間隙をかけて誠実にものづくりをしているというリアル性です。

そこで、徹底的にそれらの内容をオープンにすることで、競合ブランドとの差異化を図ることにしました。
ものづくりへのディスクローズとトレーサビリティの最大露出をプロモーション戦略の核としたのです。

自分自身、ハーブや化粧品ってどんなところで、どうやって作られているのか全く知りませんでしたし、なんとなくその裏側って見てみたいとも思ってました。

それがわかると結構好きになりますよね。
ビール工場見学→出来立てビール飲む→そのブランド好きになる
みたいな。

そこで行ったのは、カタログやホームページに製品のこだわりや、原料・化粧品の作り方などの情報をテンコ盛りにのっけるということでした。

製品的な唯一の強みは、日本のド素人が識者と共に一から疑問をぶつけながら、本場ヨーロッパの自然化粧品のプロと作った成分へのこだわりと、本物の内容・使用感でありながら洗練された姿で価格も高くないということです。

これをしつこいぐらいにアピールしました。(ちょっとくどすぎましたね。。)

そして、さらにイタリア現地での日々の生情報を伝え、ユーザーの方との双方向性を得るためのブログの開設、ホームページ上のメッセージ欄の開設等でした。

これによって、このブランドがどんなものなのか、どうやって作られているのか、わからないところは確認できリクエストもできる等、ユーザーも巻き込んでブランドを作り上げていくという、ものづくりに力点をおいた家族的少量生産ブランドならではの強みが生かせる仕組みができたのです。

そして、商品力を高めることで少ない宣伝費をカバーすることにしました。
注力する経営資源をものづくりに特化することで、壮大な宣伝費を使わなくても認知が広がっていくという仕組みです。
得意分野での身の丈分担の考え方です。

こだわりの認められる製品にすることで、媒体価値のあるショップ店頭での露出から始めて、イノベーター層への認知と口コミの醸成、その後スタイリストさん等に取り上げていただき雑誌掲載開始、その後プレスリリースを各出版社に送付し、パブリシティとして取り扱っていただくという流れです。

すごく素敵なお店においてあってよく見る、すごくお洒落なファッションリーダーが使っている、雑誌にも出ている、ネットや店舗にあるカタログを見てみると中身はすごくこだわった本物である、この化粧品という媒体を通じ何か良いことに参加できることを知る、さらにブログ等を見てみるとその背景のストーリーや活動がわかっていく、そしてユーザー自身も参加していく、といったスパイラルを作りたかったのです。

ホームページやカタログの準備後、素敵なお店への取り扱いの営業活動からはじまり、ブログの運営、MIXIへの書き込み、、イベントへの参加、雑誌社へのプレスリリース等、地道な活動を続けていました。

そして、ブログやホームページのメッセージ欄には多くの方からメッセージをいただきました。
本当にありがとうございます!
そのメッセージで、モチベーションを保ちやってこれました。

発売して9ヶ月、昨年の9月には想像もできないことです。

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2006年9月 5日 (火)

アグロナチュラブランド開発ストーリー11 たすけられて

ブランドの発表前、不安の入り混じる不思議な緊張感でした。

販売チャネルは、メインチャネルとしてライフスタイルを提案する高感度なライフスタイルショップとして、ブランドマネジメント上店舗リストおよび導入順序まで綿密な計画を持っていました。

しかし、すでに飛び込み等でアプローチしていたBPQC、OPEQE、CIBONE、CONLAN、CASSINA、バーニーズ等は玉砕という感じで雲行きは怪しくなってきていました。

アグロナチュラボディーケアシリーズの多くの方へのお披露目は、東京インターナショナルギフトショーという展示会への出展でした。

雑貨がメインの展示会でターゲットも違い、はじめは出なくてもよいかなと思っていました。

しかし、この展示会が多分このブランドの運命を変えることとなったのです。

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雑貨ブースの中にあって異色のボディケア製品ブースは、デザインの得能さんが担当しました。

3日間にたくさんの人に来ていただきましたが、あまり興味を持たれることもなく終わりが近づいていました。

最後の最後、ベイクルーズ社でプロモーションとデザインを担当されている黒田さんが現われたのです。
ちょうど、スピックアンドスパンフレームワーク用のアイテムを探していたとのことでした。

後日バイヤー担当の方に働きかけていただき、その後トントン拍子に話が進み、フレームワークと限定アイテムをコラボレーションさせていただいたり、雑誌に載せていただいたりと、本当にいろいろ助けていもらいました。

その時のことを考えると、実績も名もない謎のブランド、しかも中身はカラのサンプルだけのものを、よく思い切って採用していただけたなと思います。

無名の新人を、見つけてくれて表舞台に引き上げてくれた恩人です!

晴れ間が広がってきました。

その後、雑誌に初登場できたり(12月発売のSPUR)、全国のフレームワークの店頭に並んだり、ノベルティとして使ってもらえたりすることで一気に認知が広がりました。
また、無名の謎のブランドでしたが、フレームワークにセレクトされるということで一定の信頼感を得ることができ、他のお店への導入も急加速しました。

デビュー当時に助けていただいた恩人として、青山のIDEE社もあります。
前職の同僚の清水さんが新規事業部長をされていて、ショップでの展開やテイクアンドギブニーズ社とIDEEのコラボレーション引き出物カタログにも取り上げてもらったりしました。

また、雑貨の仕事で以前からお世話になっていたタイムレスコンフォートの嶋本社長には全国の全店に全アイテムを導入していただけました。

お洒落なインテリアショップ、BALSTOKYOの川名さんにも全アイテムを導入いただき、また六本木のAXIS・LIVINGMOTIFさんにも発売と同時にお店に並べていただきました。

関西のお洒落ショップといえばGRAFですが、香西さんにお力添えをいただいて全アイテムを導入していただきました。

そして、得能さん紹介で飛び込みで置いていただけたらと思って回っていた、とてもお洒落なソニアパークさんお店、アーツ&サイエンスにも店長の近江さんのお力添えにより置いていただくことになりました。

その他、自然化粧品チャネルとしてはクレヨンハウスの小倉さんに全アイテムを採用していただき、多くの自然化粧品ファンの方に紹介していただけました。

また、雑誌ではいち早く「SPUR」、「家庭画法」、「RELAX」、「ななむいびと」、「M」、「MEMO」、「RAY」、「EYECO」等の各誌に記事を掲載していただくことで、多くの人が知る機会をいただいたのです。

こうした、皆様のお力添えにより全く無名のインディーズブランドが、この世に出て行くきっかけとなったのです!

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2006年9月 4日 (月)

アグロナチュラブランド開発ストーリー10 問題発生!

この新事業の開発は平坦な道は少なく、あらゆる局面でさまざまな問題が起こりました。

特に大きかったのが、こだわった自然化粧品であるために起こる品質の不安定化です。

飛び込み営業を始め、いくつかのお取引先が決まった10月に一部の製品がイタリアから届きました。

そのとき、特にこだわっていたハンドクリームが全部廃棄処分となったのです!

合成の界面活性剤と乳化剤を使わないで、クリームを作ろうとしていたため、油分と水分の完全な乳化は難しく、高速攪拌でクリーム状にするという方法をとっていました。

しかし、日本に着いたときは完全分離していて溶けたバターみたいになっていました。
内容は同じでも、これでは売り物にならないということで泣く泣く捨てました。

そして、今後もこのようなことが発生しないために、合成の乳化剤を入れてしまおうかと悩みました。

海外の自然化粧品には、多くレシチンを乳化剤に使っています。レシチンは卵黄や大豆に含まれる天然のものですが、化粧品に多く使われるものは「水素添加レシチン」というものらしいです。
化粧品成分の本には、合成界面活性剤として載っています。
このレシチンについての体への影響は少ないと思いますが、DEMETERの自然化粧品認定では使用が禁じられていますので、今回は外すように作っていました。

これらを入れて品質の完全に安定した製品にするか?入れないで世界初の乳化剤無しのハンドクリームに挑戦するか?、アグロナチュラパパさんと悩んでいました。

中目黒のイデーに向かう途中のタクシーで、アグロナチュラパパさんとアントス叔父さんとの国際電話での大声での打ち合わせの時、皆で決断しました。

後者で行こう!

ハンドクリームのストーリー
http://www.idea-in.com/blog/archives/000044.html

また3月のブログでは、皆様にたくさんの意見を伺い最終的な方向を定めました。ありがとうございました!
http://www.idea-in.com/blog/archives/000091.html

皆様の話をアントス叔父さん伝え、彼のあくなき品質安定への挑戦により後者でいけることになったのです。

おかげさまで、シリーズナンバーワンのヒット商品となりました!

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2006年9月 3日 (日)

アグロナチュラブランド開発ストーリー 9 価格の設定

少し順序が前後しましたが価格のお話です。

自然化粧品市場において後発参入であったアグロナチュラボディケア製品は、平行輸入品ではないオリジナル製品のため価格について自ら設定が可能でした。

原料調達、パッケージ購入、生産、ダンボール等の副資材、イタリアからの輸送、日本での保管等のコストも当然ありますが、それを踏まえた上で当ブランドとして本当に適切な価格をそれぞれのアイテムで入念に考えて決定していきました。

競合商品から競争優位性を得られる価格、消費者が当該アイテムとして受容できる価格、コストをカバーし利益を得られる価格、、それはいくらがもっとも適切なのか??

というわけで現場に何度も行って調査し、シュミレーションしていきました。

そして、今までの輸入品の様にメーカーからの出し値に利益を乗っけて算出していたコストプラス法ではなく、マーケティング戦略に基づいた価格設定を自ら行い、その指値で工房に開発をお願いするという方法を採りました。

価格設定の方法には、マーケティング的には大きく3つの方法があります。
①コストに基づいた設定方法、②需要(消費者の知覚)に基づいた設定方法、③競争に基づいた設定方法、です。

この中でどの方法を採るかということではなく、これらのそれぞれを組み合わせて最適なターゲット価格を導き出すということが肝心です。

特に、消費者主導の現代においては、メーカーサイドでこれだけコストがかかったから日本の商社はそれに利益を乗っけた対価を消費者に要求しようという、プロダクトアウト的な手法はなかなか通用しなくなってきました。

ターゲットをしっかり定めて、その人の性別・年齢・住んでいる所・職業・着てる服・読む雑誌、使えるお金、いままで当該製品に使ってきたお金、現在使っている競合製品の価格、その人が高い・安い・買いたいと感じる価格等々を徹底的に調べて、自分もそのターゲットになりきって価格を設定していくことが重要です。

また、どこで売るのかという、そのターゲットにあわせた流通チャネルを当初に設定し、その商流に載せられるような建値の設定も必要です。

アグロナチュラの場合は、コンセプトを「自然化粧品の内容成分にこだわる本物志向の日本人女性をターゲットに、世界基準のオーガニック認定を取得した、日本人女性にとって使い勝手の良い製品を、リーズナブルな価格で、洗練された形で提供する」というものでした。

ここの「リーズナブルな価格」というのが微妙な感じで良いですね。

つまり、「この製品カテゴリーで、決して安さを感じる価格ではないが、この内容にしては競合製品に比べても高すぎず、納得できる価格」というわけです。

では何を根拠に納得価格は決まるのか?

結局、消費者があるカテゴリーの製品の高い安いという知覚を決めるのは、出回ってる類似商品の物価というか、時価によるものが多いと思います。

例えば、ヨーロッパ車のワゴンタイプで4人乗り以上、革シートにナビを装着した新車は、いくらが高くていくらが安く、いくらだったら買うのかということです。

となると、例えばフォルクスワーゲン400万円、アルファロメオ450万円、BMW500万円、ボルボ600万円、ジャガー650万円、メルセデス700万円。。。

そのスペックで、150万円でも高いと感じる人はそもそもターゲットではないし、700万円でもぜんぜん安いよねという人もターゲットになりえないです。

これらの比較の中で、細かいスペックの違いやブランドロイヤリティを考慮して悩む人がターゲットです。

よく、商品開発で価格を設定するときに社内の人を集めて、高いか安いかを聞いたりして「高~い!、安~い!」などと品評会で言い合ったりしてることもありますが、結局その人がターゲットであり、ターゲットとして設定した服を着て、雑誌を読み、お店に出入りする価値観を持ち、買えるお金を持ち、その当該製品の違いを知り、実際にお金を出して買うはずの人でないと、社内の人の顔を立てることと、売れない理由を責任分散する口実をつくる保身のみで、商品開発は失敗に終わることがよくあります。

そして、ターゲットを特定できず、チャネル戦略としては直販と卸販売かを統一する決断ができないため掛け率のレンジを幅広く取ろう、メーカーからの出し値がいくら、それに自分の利益を乗っけるとこう、だから販売価格はこれが常識、状況が変われば値上げしちゃえばいいや、などと思いつきでやってる場合もファンの離反が早いと思います。

また、ターゲットと人同じ価値観を持つリアルショップにて、日の光の下お店のスタッフの方から買っていただくよりも、ターゲットでない人が敷居をまたぎやすく、買いやすいネットチャネルや量販店などで販売した場合、クレーム等が増える現象と同じです。ターゲットにあわせたチャネル選択も非常に重要です。

製品は設定したターゲットのものであってそれ以外の人のものではなく、提供する側も受け取る側もお互いにハッピーになりにくいからです。

最終的に自分がターゲットとなりきってあらゆるブランドの内容成分や価格に熟知し、そのスペックで高い安いがすぐわかるようになることが最も良いと思います。

消費者は何でも情報が手に入る時代になっています。

EX.価格コム
http://kakaku.com/

ヨーロッパ自然系シャンプーだったら、オーガニック認定を取っているものでA・B・CのブランドがあってAはビン入りポンプ付で200ML1680円、Bはプラスチック容器入りで250ML1400円、Cはプラスチック容器入りで1200円、ちなみにアパレルショップやインテリアショップで売られている洒落た非オーガニックシャンプーは、プラスチック容器入りで800円、ネットで一番売れ筋と呼ばれているメガブランドの高級シャンプーは250ML2400円。。。。

それでは、すべての競合ブランドを凌駕する成分スペック・認証をとって、すべての競合ブランドを凌駕する価格とはいくらなのか?

その絶対的な価格を、数百円の差という微妙な範囲の中で悩みながら決めていきました。

シャンプー250MLプラスチック容器入り1470円
コンディショナー250MLプラスチック容器入り1470円
ボディシャンプー250MLプラスチック容器入り1470円

シャンプー500MLプラスチック容器入り2730円
コンディショナー500MLプラスチック容器入り2730円
ボディシャンプー500MLプラスチック容器入り2730円

シャンプー500ML詰め替えアルミ容器入り2520円
コンディショナー500ML詰め替えアルミ容器入り2520円
ボディシャンプー500ML詰め替えアルミ容器入り2520円

ハンドソープ250MLプラスチック容器入り1260円

リップクリーム5MLビン・箱入り1050円

ハンドクリーム75MLチューブ・箱入り1260円

アロマウォーター100MLプラスチック容器入り1260円

ポケットレメディ10MLビン入り1260円

バラシリーズ

シャンプー250MLプラスチック容器入り2520円
コンディショナー250MLプラスチック容器入り2520円
ボディシャンプー250MLプラスチック容器入り2520円
ハンドソープ250MLプラスチック容器入り2310円
ボディ乳液250MLプラスチック容器入り3990円
ハンドクリーム35MLチューブ・箱入り2520円
リップクリーム5MLビン・箱入り2100円
ローズウォーター100MLプラスチック容器入り1680円

シャンプー500ML詰め替えアルミ容器入り4830円
コンディショナー500ML詰め替えアルミ容器入り4830円
ボディシャンプー500ML詰め替えアルミ容器入り4830円
ハンドソープ500ML詰め替えアルミ容器入り4410円

基礎化粧品

スキントナーノーマルスキン125MLビン・箱入り3675円
スキントナードライスキン125MLビン・箱入り3990円
クレンジングミルク125MLビン・箱入り3675円
モイスチャーミルク50MLビン・箱入り3990円
セラム30MLビン・箱入り8400円
ナイトクリーム50MLビン・箱入り5400円

これが現状考えうるベストな価格設定でした。

かなり悩んでうまくいくように設定した価格なので、今後すぐに値上げ等しないように祈っています。

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2006年8月25日 (金)

アグロナチュラブランド開発ストーリー 8 夜明け前

最終的な製品開発の工程は、製品の内容成分の精査とボディコピーの作成でした。

化粧品の説明には、薬事法に基づいた表記の制限があります。

化粧品は「何々に効く」といった具体的なことを書いてはいけません。

また、使ってはいけない成分などの制約等もあるのですが、まったくわからなかったので都庁の薬務課というところに何度も通い、教えてもらいながら成分チェックやコピーを仕上げていきました。

セルフ販売を志向していたボディケア製品ですので、多くのこだわりを店頭にて伝わればと考えた、テンコ盛りのボディコピーになってしまいました。

情報量が多すぎて小さい文字で読めない!

これは、不安と自信のなさの現われです(笑)。

薬事法に準拠した化粧品コピーは、おかげさまでだんだん進化してきて今では結構うまく作れるようになりました。
これは手に職みたいな感じですね。

今後は認知も上がったので、思い切ってりシンプルにしていこうと思っています。

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8月になってやっと日本側の一通りの作業が終わりました。

化粧品業者の免許も取得でき、最終的なボトルラベル、コピーのデータも完了、そこから現地での生産にかかって、9月末にジェノバの港を出ることに。

発売前は自信と不安が入り混じる不思議な気分でした。

がんばって作ったけど果たして多くの人に支持されるのか、まったく売れずすぐ終わるのか、、

イタリアでは本格的な生産に入り、パパさんが毎日工房に通う日が始まりました。

日本ではデザインの得能さんと中身の入っていないサンプルを持って、ぜひこの事業のパートナーとなってこのブランドを置いて欲しいと思うお店に飛び込みで回る日が始まったのです。

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2006年8月21日 (月)

アグロナチュラブランド開発ストーリー 7 化粧品の成分について

さてさて、2005年の初夏、製品のスペックを決める段階になってきました。

化粧品の製品開発には個別のアイテムのコンセプトを設定しながら、その内容成分を精査していくタスクが必要でした。

化粧品についてまったくの素人であったためその内容成分についての研究が必要で、いったいどんなものを体や顔に使っているのかはまったく未知の領域でした。

日本には多くの主張があり、化粧品成分についての本があり、またネット上にも関連情報がたくさんあります。

また人間の体や皮膚のメカニズムについての文献を読み漁り、何が良くて悪いのか、ニュートラルな立場で情報を集めていきました。

たくさんの危険視成分は存在しましたが一般的には、保存料や合成着色料等には発癌物質が含まれており、使用によって危険性が危惧されるとのこと。
また、自然界から取れるものでも太陽光に作用してシミの原因になるもの等もある等々。

一方調べていくうちに、外国製の自然化粧品でも「この成分さえ入っていなければ日本人にとってはより良いのに」と思う製品もいくつかありました。

今回アグロナチュラ製品は、せっかく新しく作るので、一つ一つ成分を調べて日本にて分かり得るだけの情報から、もっとも安全だと思われるものを作ろうとしたのです。

そういうこだわりの化粧品が一つくらいあっても面白いかなと思いました。

成分は代表的なもので、保存料のパラベン、安息香酸、ソルビン酸、フェノキシエタノール等、エタノール等のアルコール類、タール系着色料、合成香料等は避けようとしました。

しかし、石鹸以外に泡立ち体の汚れやあぶらを除去、また水分と油分を乳化させる界面活性剤については少々悩みました。

使い勝手を考えると特にヘアシャンプーなどは合成界面活性剤を外せません。一方合成界面活性剤は皮膚の上部組織を壊し穴を開けるために、使わないほうが良いという意見も多くあります。

いろいろ悩みましたが、ビオリーブスシリーズの洗浄系アイテムに薬用サボン草というハーブの絞り汁から取れるサポニンという天然の界面活性剤をメインで使い、補助としてヤシ油から得られる合成の界面活性剤を用いることにしました。

ビオリーブスシャンプー類は泡立ちよく、髪を洗ってもギシギシになりにくい特徴があります。

一方、とことん成分にこだわる人向けに、アントス工房で石鹸ベースの洗浄系アイテムを作ったのです。

特に今までの石鹸シャンプーは、ミニマムな原料のみを使った「守りのケアアイテム」といったイメージでしたが、アントスシリーズでは石鹸ベースでありながらお肌や髪に有効に成分が働きかける「攻めのケアアイテム」を、石鹸ベースで世界初のオーガニック認定付のものを作ってみようと考えました。

それがアントス石鹸シャンプー、ボディシャンプーシリーズです。

皮膚に優しいように蜂蜜等の酸性成分を用いてペーハー値を弱アルカリにしたり、石鹸をヤシ油よりもオリーブ油石鹸の割合を増やしたりした結果、泡立ちが一般的な商品より少なくなってしまいました。

こちらの開発には、松沢さんや綿貫さんをはじめとした社内の女性に何度もモニターをしていただきました。本当に何度髪を洗っていただいたかわかりません。ありがとうございます!

改良を重ねてきましたが、通常の界面活性剤シャンプーより泡立ちを得るのが難しいですので、泡立つポンプに入れて使うと使い勝手が良いと思います。
ボディソープはタオルやスポンジを使わず、洗顔と同じように手で洗うのが良いです。

キサンタンガムという食用増粘剤以外は、まったくの化学成分フリーというこだわりのシリーズです。

さらにアントスシリーズについては、よく自然化粧品で使われる、いわゆる「レシチン」(本当は水添レシチンという合成界面活性剤)さえも含まないハンドクリームやリップクリームなど特徴のある製品を、なるべく危険視される成分を用いないで作るというコンセプトで工房に依頼して開発していきました。

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写真はアントスハンドクリームを界面活性剤入り・無しで開発していたときのサンプル。この時で48種類ぐらいのサンプルがありました。

実際にオーガニックがどれだけ体に良いのか、危険視される成分が体に悪いのか、本当のところはわからないのが真実と思います。

ただ、ブランド名も無名、資金も大手化粧品メーカーのように潤沢でなく、派手な広告も出来ない謎のインディーズブランドには、コンセプトとしてこだわりの成分で攻めるしかないと考えていました。

この何でもある日本市場の化粧品の世界にわざわざ無名の弱者が参入するコンセプトとして、また20年間もたいして儲からない有機農業を続けてきた農家の製品をプロデュースするためには。

常に作っているオーガニックの成分を使い有機認定までとること、せっかくなので危険視されている成分は極力入れないこと、またそういう成分にこだわる人をターゲットにして、安全性がより高いと声高らかに謳うことが、これしかないという製品上の競争優位の源泉だったのです。

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2006年8月20日 (日)

アグロナチュラブランド開発ストーリー 6 ブランド・サブブランドの設定

当初ブランド名を決めるときは少々悩みました。

ゼロからブランド名を決めていくので、無限の選択肢があります。

化粧品に「アグロ」という言葉の響きもどうかな~?と思っていたのでもっと洗練されたエレガントな名前にすることも出来ましたし、商品カテゴリーごとにブランドを分ける、香り等のシリーズごとにブランドを分ける、、、、無限です。

AGRONATURAは農業組合の名前です。

意味は、アグリカルチャー(農業)とナチュラル(自然)で、自然農業というベタな名前です。

どうかな~と思いましたが、ありのままを表現していこうということでこの「自然農業」という農協の名前を化粧品ブランド名にしようということには決めました。

次に考えたのは、全体ブランド、サブブランド等の設定です。

AGRONATURAは、他のブランド品のような企業名ではなく、組合企業(農家)を束ねる組合の名前です。
そして、組合企業(農家)はそれぞれ、アントスやビオリーブスのような個別の名前を持っています。

当初考えたのは、あまりブランド名を多くするとわかりにくいので、各工房が作ったものをすべてAGRONATURAブランドに統一してしまおうということでした。
そうしたほうが、ブランド認知も一つで簡単ですし、何個もあってわかり難いということがないと考えたからでした。

しかし、製品の開発を進めるにつれ、それぞれの個性を持つ工房の製品を、単一ブランドで展開することは難しいと考えるようになりました。
かなり製法や得意なところに個性の違いがあったのです。

また、それぞれの工房の個性を謳っていったほうが、より信頼性のある愛着の持てるブランドになるのではないかと考えました。

そこで、全体的なブランドとしてAGRONATURA、そしてサブブランドとして各工房が作ったもので分ける形で生産者別のサブブランドをシリーズとして設定したのです。

AGRONATURAブランドのアントスシリーズといった感じです。

これで、すっきりしました。

ついでに、現地での呼び名はアグロナトゥーラであり、アグロナチュラではありませんでした。

ここで、後半をナチュラにするかナトゥーラにするか迷いましたが、日本人にとってはナチュラルという
英語のほうが意味を理解しやすいと考えて、アグロナチュラにしました。

というわけで、「自然農業」と言う意味の「アグロナチュラ」という化粧品ブランドが誕生したのです。

その後こうして有名になりましたが、ベタな名前でもブランド展開のやり方によっては素敵に認知されていく良い例だったと思います(笑)。

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2006年8月 8日 (火)

アグロナチュラブランド開発ストーリー 5 デザインとデザイナー

洗練されたパッケージで自然派ラグジュアリーブランドを作るためには、そのデザインはとても重要なことでした。

そこで社内のデザイナーであり、以前から小物家具等のプロデュースで一緒に仕事をしていた得能正人(トクノマサト)さんにパッケージからグラフィック等全般のデザインをお願いしました。

よくアグロナチュラはイタリアでデザインしていると思われますが、実は日本人がデザインしていたのです。

彼はもともと広告代理店にてグラフィックデザインを中心にやってきましたが、最近はプロダクトデザインでも良いものを出していたりとマルチタイプのデザイナーに進化しています。

以前の得能さんの作品は、ロンドンの100%designでも好評を得た「TAKUMI*KIZUKI」等があります。

http://www.idea-in.com/takumi/taku_005.html

つい最近のプロダクトデザインは、今人気でよく売れているミュージックマグがあります。

http://www.idea-in.com/life/more_029.html

当初は、コンセプトをデザインに落とし込むのに、本を集めたりイタリア現地の薬局に行ったりといろいろと「らしさ」を考えていきました。

コンセプトはイタリアに古来から伝わるハーブの療法と先端技術の融合による日本人向けの製品ですので、イタリアのハーブ薬局に良くあるベタなデザインにしたいと考えていました。

イタリアにはハーブ薬局というのがあり、そこでたくさんの古い感じの化粧品類が販売されています。

日本には教会化粧品ブランドのサンタマリアノヴェッラぐらいしか輸入されていませんので、たまに事情通の方から「あのパッケージぱくったでしょ」と言われましたが、実はた~くさん同じようなのデザインの製品が、教会化粧品ブランドとしてフィレンツェの教会で売っていたり、アンティカエルボリステリア(アンティークハーブ薬局)で販売されているのです。

イタリアを象徴する雰囲気で、日本製、アメリカ製、イギリス製、フランス製やドイツ製の競合商品との差別化にぴったりでした。

また、デリケートな中身ですので遮光性などの機能もパッケージに必要でした。

しかも何でも揃う日本とは違い、イタリアは特におしゃれなボトルが皆無であり、個別にオリジナル容器を大量生産できない身には選択の制限がありました。

イタリア現地のパパさんにメーカーの探索、得能さんのデザイン、そして僕のコピーという連携でジャングルを進むといった感じで、ほとんど得能さんにお任せで進みました。

Img014
デザイン初期段階

最終的にパッケージはイギリスのメーカーで生産してイタリアに運ぶといった形がとられたのです。

実にパッケージの選定に3ヶ月以上も費やしてしまいましたが、納得のいくデザインのものになりました。

その他のカタログや広告等についてもアートディレクションは得能さんにやってもらっていますが、非常に高い評価を得て、このブランドの躍進に大きく影響しています。

コンセプトを具現化していくデザインの重要性が今回のブランドの立ち上げでよくわかりました。

また今度、気鋭のデザイナー得能さんにもこのアグロナチュラのデザインについて書いていただこうと思いますので、ぜひお楽しみに!

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2006年8月 3日 (木)

アグロナチュラブランド開発ストーリー 4 マーケティング着手

当初取り組もうと思ったカテゴリーは、ボディケア製品です。

シャンプーやボディシャンプー、ハンドクリームといった、顔に用いない体用の化粧品類から参入を考えました。

それは、外部環境・内部環境を把握、SWOT等を考慮し、今の現状の会社として取り組むべきドメイン(事業領域)を明らかにしていった過程で決めていきました。

外部の市場環境は、米国の新たな動きであるLOHASという言葉も出てきて、今までの健康志向にプラスして、環境志向やより洗練された形での自然に近い商品や営み、ヨガ等のスポーツが注目されてきているときでした。
雑誌も、ソトコトやエココロ、マイロハス、KU:NEL、天然生活、リンカランなど自然系のものも多数出ていました。
そして、多数の自然派ボディケアブランドも日本に定着し始めてきたところでした。
これらの機会と脅威がありました。

内部環境としては、イデアインターナショナル社の最も大きな強みは日本全国の雑貨・ライフスタイルショップへのチャネルカバレッジが挙げられます。
ほとんどの雑貨・ライフスタイルショップと取引を行っていて、その小売店に販売できる体制がありました。
そして、小さなトランザクションにも対応する受注・発送体制を有していました。

一方弱いのは、化粧品の経験が一切ないこと、化粧品が通常売られている百貨店や化粧品店、そして直営店といったチャネルを有していないこと。
また、アグロナチュラ自体のブランドはまったくの無名で、ブランド価値を持たないこと等です。
いきなり直営店を多数出店して運営していく資金力に制限があること等でした。

そしてやはり、顔に使う基礎化粧品は非常に高い品質と安全性、そしてブランド価値が要求され、またある程度カウンセリング販売が重要なのではと思いました。

一方、ボディケア製品であれば今までの取引先である雑貨・ライフスタイルショップのセルフ販売でも販売できるし、顔に使う基礎化粧品レベルのシビアな品質とカウンセリング販売はそれほど必要なく、はじめられやすいと判断しました。

また、ライフスタイルショップやセレクトショップには、現状の多くのシャンプーやハンドクリームが販売されているドラッグストアやスーパーと違って、ブランドロイヤリティ(ブランドに対するお客様の忠誠度)の非常に高いショップがあり、そちらで扱っていただくことで、無名のブランドの認知もロイヤリティも向上すると考えました。

そんな仮説を立てていました。

Img015
多くのマーケティング資料も集めたり作ったりして参考にしました。

ここから、現場100回の毎日が始まりました。

多くの海外ブランドの直営ショップやセレクトショップ、百貨店での他社製品の調査・購入・使用、ネットショップでの調査、ネット上の各製品の口コミ・成分の危険性を謳う書籍の乱読、、、

5月の連休明けから取り組みだしたリサーチ~ドメイン・ブランドコンセプトの設定~マーケティング戦略概要の策定~開発製品の決定~各商品コンセプトの策定といった流れでしたが、短期間にボディケア製品について非常に詳しい状況になりました。

そこで気がついたことは、まず外国製の輸入製品は日本の風土(軟水や湿度)、日本人女性の嗜好に完全に合っているとはいえないこと、そして内外価格差があり日本での販売価格が高いこと、オーガニック認定等の安全基準が明確になっていない自然風製品が多いこと、真面目で安全性の高い製品であればあるほどデザインが洗練されていないこと、そして洗練されたショップで売ってないこと、イタリア製のボディケア製品が少ないこと、、、

等々でした。

要は、日本人向けに作ってあって、安全性が高く第三者機関でも証明された、毎月買える安い、お洒落なものが、お洒落なところで売ってないということでした。

そして、ありあふれるこの日本市場のボディケア製品のなかで、アグロナチュラボディケア製品を競争優位性のあるユニークなポジションにするコンセプトを模索しました。

「健康と暮らしにこだわる日本人女性をターゲットに、日本の風土・日本人の嗜好にあった世界基準の安全性の高いボディケア製品を、洗練されたパッケージとリーズナブルな価格で、洗練されたチャネルとプロモーションにより提供する」

そんなコンセプトから開発は進められたのです。

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2006年7月31日 (月)

アグロナチュラブランド開発ストーリー 3 化粧品への取り組み

洗剤の発注を終えたあとに取り掛かったのは、化粧品を扱うための条件を満たすことでした。

化粧品の輸入販売には、薬剤師さんなどの技術者や保管倉庫等が必要となります。

雑貨メーカーであるイデアインターナショナルには倉庫はありますが、薬剤師さん等は働いていなかったので、化粧品業を行える資格がありません。

当初会社では、他の化粧品業を行っている会社と提携してやるか、当初ビジネスとして成功するかしないかわからない未知の事業に、専門の人材を雇用するという点での不安等があり、どうしようか~~という感じでした。

何かいい手はないかなと、都庁の化粧品業者登録の窓口に電話してみましたところ、薬剤師ではなくても、大学等で化学の専攻をしていた人や、化粧品会社で開発の仕事を一定期間していた人は、化粧品の薬事法上の会社の化粧品取り扱い責任者となり、会社も化粧品取り扱い業者となれることがわかりました。

そして、とても幸運なことに会社の営業部に大学時代に化学専攻であった営業担当者がいたのです。

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2006年7月24日 (月)

アグロナチュラブランド開発ストーリー 2 とりあえず洗剤

はじめにイデアインターナショナル社で取り組もうと決まっていたのは、洗剤です。

ビオリーブス社から紹介された洗剤には、既製品として食器用と住居用がありました。

化粧品を取り扱うには化粧品製造販売業者の登録が必要ですが、洗剤については免許も不要で、今までの雑貨ルートの小売店に販売することが可能です。

市場規模や競合調査などは行わない、「いけるかな?」という「思いつき」で、すでに会社として取り扱うことが決まっていました。

そして、2005年の1月14日から、市場や洗剤の界面活性剤の勉強、生分解性について、環境汚染の歴史や洗剤の競合調査などを開始しました。

日本の市場には、石鹸洗剤から合成洗剤、重曹などさまざまな洗剤が存在し、多くの書籍がありました。

多くの商品を実際試したりして使用感等も試したりしていき、徐々にアグロナチュラの洗剤としての差別的優位性を持つ商品コンセプトを作っていきました。

他社商品と比べての特徴は、珍しいイタリア製の洗剤、世界最高の生分解性、植物原料しか使わずオーガニック化粧品認定も受けている、香料も全て香かなエッセンシャルオイルを使用しており自然の香りが良い、高い安全性、
一方で価格が高い、洗いあがりは他の製品と劇的な変化はない、といったことです。

コンセプトとしては、
「ターゲットを健康や安全性をこだわる主婦層に対し、手肌も荒れにくく安全で使うことで豊かな自然の香りに包まれて家事が楽しめるといったニーズに対して、エッセンシャルオイルによるアロマ効果と何気ない家事の楽しさを提供するイタリア製手作りハーブ洗剤」
という感じで、

「こころを洗う洗剤」
ということにしました。

当初社内では、日本用のパッケージとして白地に黄色のグラフィックデザインで英語表記のかわいらしいPOPなパッケージラベルで進められていました。

理由は、なんとなくかわいらしいパッケージが売り場受けするであろうという判断でした。

担当者になってはじめに取り掛かった具体的な製品開発作業は、そのパッケージをイタリア版の元のパッケージに戻すことでした。

それは、イタリア製の有機原料などにとてもこだわった製品であり、価格差も一般的な洗剤とはかけ離れた高額品であったためです。

商品コンセプトを考えると、そのかわいらしくない価格のストイックなイタリアの洗剤の顔は、イタリアの顔であるべきであり、日本や中国でも作れてしまうかわいらしく受けのいい顔より固いまじめな生粋の顔のほうが合っていると考えたためです。

コンセプトとデザインは同一に考えるべきであるということです。

そしてその信念から、現在の洗剤のパッケージは半ば強引でしたがイタリア本国仕様に戻しました。

そのような紆余曲折を経て洗剤は、その6月に発売されることになりました。

当初発表時は、バイヤーさんや営業担当者から「パッケージのデザインが良くないから導入できません。」と言う声が多かったのを記憶しています。

しかし、雑誌にもよく登場し、売れてきた最近では「パッケージが良いよね~」という声が多く、よくわからないものですね。

結果的に、日本製の洗剤や他のドイツ製、ベルギー製の洗剤との差別化もできて、イタリア製本格自然派洗剤としては良かったのではないかと思っています。

「こころを洗うイタリア製手作りハーブ洗剤」

発売してから約1年が経ちます。

おしゃれなキッチン雑貨ショップでは良く見かけるようになりました。

つづく

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2006年7月20日 (木)

アグロナチュラブランド開発ストーリー 1 出会い

思い返せば、始まりはパパさん一家がアグロナチュラ農業組合を頼ってアックイテルメに引っ越したことからです。

ミラノを引き払い、田舎の暮らしに飛び込んだのです。

パパさんとは、以前ミラノ在住時に雑貨商品でイデアインターナショナルとお仕事をさせていただいていました。

かつて僕もイデアで家具や雑貨のマーケティングの業務をしている時に、どうしても世界の先端のインテリアショーの現場であるミラノサローネに一度行ってみたいと思っていました。

会社での出張がどうしても許可が出ず、有給を取って会社の出張者にくっついて行きました。

3年前の春です。

その時です。初めてパパさんのお家にお世話になったのは。

はじめて行った西洋の街並みやイタリアの暮らしは今までになかった、憧れを感じさせるものでした。

その時にすでに、イタリアでパパさん家族と何か一緒にお仕事ができれば嬉しいなと、帰りの飛行機で考え、家族にも「イタリアに行く!」などと宣言していたものです。


それから約1年、僕はイデアの会社でマーケティング戦略企画室という部署で、キッズブランドの立ち上げや香港倉庫の立ち上げ、仕入れ管理といったことを行っていました。

物流コストの圧縮を目的とした、香港での川上倉庫の設立を丁度終えた一昨年の12月に、このアグロナチュラの話が出ました。


そこには、イタリアから届いた洗剤の大瓶、謎のシャンプー、エッセンシャルオイル、蜂蜜、ハーブティーがありました。

門外漢の僕は、どうしたら売れるのかまったくわからず、またこれは売れないだろうなと直感で確信していました。


これの続きが以前ブログに書いたことです。
http://trife.jp/blog/2006/04/post_2.htm

そんなことを経て。


さてさて、やると決まったものの何からやるべきなのか?
調査したという会社の担当者が言うように化粧品業者になるには数千万円の設備導入と薬剤師の雇用が必要なのか?
「アグロナチュラ」なのか「アグロナトゥーラ」なのか?
他社にどんな商品があるのか?
そもそもピエモンテ州ってどこ?

というような分からないことばかりが山積みでした。

そんな感じで2005年の1月から、部員一名の新規事業開発室という部署が発足されアグロナチュラの事業はスタートしたのです。


つづく

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2006年7月12日 (水)

基礎化粧品の開発終了

先週行ってきたイタリアにて色々と仕事が進みました。

開発中であった基礎化粧品は最終サンプルの作成、および確認が終了です。

残りのパッケージ等のデザインコンセプトやデザイン案も確定させ、
いよいよといったところです。

この製品が、今後何年も多くの人に使ってもらえるヒットとなり、アグロナチュラブランドを引っ張っていくものとなれば、この事業のコンセプトメイキングや製品・チャネル開発、プロモーションを行ってきた作り手としてはとてもうれしいことです。

うまくいくことを祈っています。

そしてここで作り上げたものは、出来上がった瞬間から、ある意味過去の自分達の作ったものに変わります。

これからは、失敗してもうまくいっても、過去の全力をどんどん超えていく挑戦が絶え間なく必要と感じます。

10月の発売を予定しています。

皆様の反応を早くい聞いてみたいです!

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2006年6月23日 (金)

kurkku

昨日はお世話になっています、神宮前のkurkkuに行ってまいりました。

kurkkuはap bankがプロデュースするオーガニックカフェや、環境にコンシャスなモノを扱うお店です。

レストランとライブラリー、デザインショップとグリーンショップがあります。

ap bankは、音楽プロデューサーの小林武史氏、ミスターチルドレンの櫻井和寿氏の2名に、「Artists’ Power」の発起人でもある坂本龍一氏を加えた3名が拠出したお金をもとに環境に関するプロジェクトに融資をする非営利組織で、さまざまな活動をされています。
http://www.apbank.jp/index2.html

kurkku designのMDをしている栗田さんは以前IDEEのSPUTNIK PADでのMD時代からご一緒させてもらっていて、今回もこのデザインショップの立ち上げ時にお話をいただいておりました。

さて出来上がりのショップですが、素敵です。

エントランス部分は、自然な感じのディスプレイです。

さりげなく、アグロナチュラの蜜蝋アロマキャンドルが焚かれています。

店内はとてもゆったりしていながら、こだわりのデザイングッズが勢ぞろい。

そして、アグロナチュラもこんなにたくさん!
ありがとうございます。
感激しました。

僕らのブランドコンセプトのひとつとしてある、良いものを「洗練された形で提供する」ということが実現されていました。

アグロナチュラ事業のテーマである、有機栽培農業組合によるイタリア貧農地域の活性化や日本国内ハンディキャップのある人の雇用創出、世界の社会福祉をよりよくするお手伝いを、このような世の中の流れとともに、大きなうねりにしていければとてもすばらしいと思います。

それぞれかなり地道な活動ですが、こういった形で多くの人たちそして生活や生き方にこだわる人たちに知ってもらい、多くの人を巻き込んで継続可能な事業、仕組みを作っていくことが目標です。

レストランではオーガニックフードが振舞われていました。

このしゃれた内装は、こちらも大阪にてアグロナチュラがお世話になっているgrafのデザインです。
http://www.graf-d3.com/

そして、スタッフの方々がつけているキュウリのバッジ(kurkkuはフィンランド語でキュウリの意味)は、AVECの伊藤さん製作なんですよ!

いつもお世話になっている皆さんにもお会いできた素敵な夜でした。

ぜひ一度kurkku行ってみてください。

とても素敵なところです。

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2006年5月10日 (水)

セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン取材記 アフガニスタン編

本日はセーブ・ザ・チルドレン・ジャパンの事務所にお邪魔して、僕らの知らない、世界の子供達の困っている現状と支援活動の実際についてお伺いしてきました。

今回お話を伺ったのは、先日アフガニスタンでの1年半の活動より戻られた和田美穂さんです。

~女子は教育禁止!十代後半の女性は字が読めません~

まずは首都カブールの話

タリバンが政権を取っていた1990年後半から2001年にかけて、女子は教育はいらないということでこの国では女子教育禁止令が出ていたそうです。

ひどいですね。

やはり字が読めないと自信が出ない、社会参加も出来ないということです。
他の動物と違って字が読めるということは人間にとって非常に重要なことと思います。

その間学校に行けない結果、識字率がとても低く、地下学校で勉強を続けているか、海外に難民として行っていた人以外は、その年代のほとんどの女性は字が読めないとのことです!

そこで、セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンの活動として、
先生を雇い、昼に1時間授業で識字教室を開いています。

先生のお宅に2~30人の生徒がぎゅうぎゅうに集まって授業を受けているとのこと。

その昼の1時間以外は、また家に戻って絨毯織りや刺繍の仕事を続けるとのことですが、
皆とても一生懸命勉強するとのことです。

9ヶ月コースで読みと算数が小学3年生レベルになるとのこと。
昨年度で1200人が勉強したそうです。

カブールの識字教室

~先生の先生~

田舎のバーミヤンの話

カブールから車で10時間、国連プロペラ機で20分のところにあるバーミヤンでは、学校の先生への教育を行っているそうです。

アフガニスタンでは、高校を卒業すると先生の資格が得られますが、田舎では人材難のため小学校3年終了で先生をしている人もいるということ。

先生自身も分からないことは、ただ教科書を読んでいるだけという感じになっているの状況とのことなので、先生自体のトレーニングを行っているそうです。

カブールから先生の先生を手配して、冬休み中にぶっ続け3週間、雑魚寝合宿状態で研修するそうです。

また、「教育の重要性」を伝える演劇活動もバーミヤンでは行っているそうです。

バーミヤン高校の演劇部が、冠婚葬祭用のミュージシャンと共に、「外国に行ってる友達から手紙がきたけど読めなくて大変だよ~」というお芝居をして村を回るそうです。

いいですね~。

バーミヤンの子供

セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンからは、2名のスタッフが現地に赴き、教育を中心とした活動をしています。

重要なのは、学校建てたりというようなハードの支援より、能力開発のようなきめ細やかなソフトサービスとのことです。
寄付金は、日本人スタッフの人件費を除き、先生の雇用や教材費等に年3~4千万円が有効に使われています。

セーブ・ザ・チルドレンは、世界的な組織でありながら、このように直接日本人が支援計画して現地に赴き、子供達への支援活動を意思を持って、直接行うという特徴があります。
(多くの世界組織は日本ではお金を集めるのみで、我々日本人が現地活動に関わることは少ないそうです)

実際に今回のようにに、日本から寄付されたお金が実際どのように有効に使われているのかを、現地の実態の生の声を聞き、知ることが出来ます。

これはとても重要なことと思います。

実態を知ることが出来た今日は非常に良い経験でした。

これからも世界の困窮する子供を救う活動、是非頑張ってください!

より詳しい、僕らの知らないことがホームページで知ることが出来ます。

http://www.savechildren.or.jp/

次回は、和田さん談「不思議な迷信で子供が栄養失調になる!?」ミャンマー編を予定しています。

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2006年4月 5日 (水)

伊太利亜万歳!

イタリアに仕事で関係するようになってから、2年ぐらい経ちました。

いいですね~!イタリア!

まず、素敵な仲間が多い、景色がきれい、食事がうまい・・・

写真は夏のトスカーナ、シエナの広場の塔からの写真です。

初めてイタリアに行ったのは3年ぐらい前の「ミラノサローネ」というインテリアの展示会の時です。

4月ちょうど季節ですが、世界のお洒落なインテリアファッションがミラノに集まります。

街は、海外から来るバイヤーたちと、イベントで盛り上がり、毎日どこかでパーティーが行われています。

その後アグロナチュラ関連で何度も行ってますが、今でもミラノのマルペンサ空港に降り立った時はこうつぶやいてます。

アモーレ イタリア!最高!(笑)

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2006年4月 4日 (火)

これがスタートだったのです。

(前回の続き~)

2005年正月のルノワールにて


それはこう考えたのです。


「世界的にも品質の高い有機栽培原料を使って、
日本でマーケティング・企画した世界最高峰の品質の製品を、
その生産ラインの中に国内外のハンディキャップのある人なども介在させ、
世界に販売していき、その利益をさらに福祉事業に還元していきたい」


・・・・・・・


2001年。

当時私はコンサルティングの会社に勤めていました。

初めての子供ができ、3ヶ月たったある日。


息子に障害があることが分かったのです。

どのように成長していくのか、、


親が死んだらどうなるのか、、


その他いろいろなことも重なり、
将来への不安でいっぱいでした。


・・・・・・・・


時を経て、
2005年正月 茅場町のルノワールでの話題で。

「もうそろそろ、自分の使命というものを考えないといけない。」
「自分が存在して、自分がやるべき使命とは何なのか?」


色々なことが頭を巡りました。

今までの自分の経歴や、昔からやりたかったこと、そして将来の不安に向き合う活動、
運命的に自分しかできないこと、、、

ビジネスと福祉を融合できるような活動をライフワークとしたいきたい。


親としての何ともいえない将来への不安を、そのままビジネス活動につなげられ、
自ら不安をなくしていければ。


化粧品・ボディケア製品の世界では、福祉に向き合っていく
ねば塾や旧ボディショップといった事例もある。

自分の使命となりうるか。


「これだ」


それが私にとってはスタートだったのです。

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2006年4月 3日 (月)

はじめまして

今日からブログを始める事になりました。

ここでは、アグロナチュラのことや、アグロナチュラを通して実現していきたいこと、
その他を紹介していければと思います。


先ずはじめに自己紹介という感じで、、

2004年、年末の話。

私はイデアインターナショナルのマーケティングおよび仕入れの部署で、キッズブランドや香港倉庫の設立を終え一息ついていたところでした。

丁度その頃、ハーブ等に全く興味のなかった自分に、イタリアの雑貨・家具時代からのビジネスパートナーが始めたハーブティーや蜂蜜、洗剤についての商品についての取扱いをやってみるか、という話をイデアの橋本社長から貰いました。

当初は全く興味もなく、ハーブティー?洗剤?という感じでした。
しかもそれらの商品は売れそうもないと考え、わざわざ扱うのはやめたほうが良いとも考えていました。


それが、、

1月になって、まさにこれが自分のやるべきことと思う時が来たのです。


年が明けて。

良く刺激を受ける、中小企業診断士という資格を勉強していた時に知り合った先輩村田さんと昼食後のルノワールで話していました。

年初もあって将来についての話題になり、
「もうそろそろ、自分の使命というものを考えないといけない。」
「自分が存在して、自分がやるべき使命とは何なのか?」
などと熱い会話をしていました。


その時、

「これだ」

と閃光が頭に走りました。

今思い返しても確かに閃光だった気がします。


それはこう考えたのです。


つづく

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