少し順序が前後しましたが価格のお話です。
自然化粧品市場において後発参入であったアグロナチュラボディケア製品は、平行輸入品ではないオリジナル製品のため価格について自ら設定が可能でした。
原料調達、パッケージ購入、生産、ダンボール等の副資材、イタリアからの輸送、日本での保管等のコストも当然ありますが、それを踏まえた上で当ブランドとして本当に適切な価格をそれぞれのアイテムで入念に考えて決定していきました。
競合商品から競争優位性を得られる価格、消費者が当該アイテムとして受容できる価格、コストをカバーし利益を得られる価格、、それはいくらがもっとも適切なのか??
というわけで現場に何度も行って調査し、シュミレーションしていきました。
そして、今までの輸入品の様にメーカーからの出し値に利益を乗っけて算出していたコストプラス法ではなく、マーケティング戦略に基づいた価格設定を自ら行い、その指値で工房に開発をお願いするという方法を採りました。
価格設定の方法には、マーケティング的には大きく3つの方法があります。
①コストに基づいた設定方法、②需要(消費者の知覚)に基づいた設定方法、③競争に基づいた設定方法、です。
この中でどの方法を採るかということではなく、これらのそれぞれを組み合わせて最適なターゲット価格を導き出すということが肝心です。
特に、消費者主導の現代においては、メーカーサイドでこれだけコストがかかったから日本の商社はそれに利益を乗っけた対価を消費者に要求しようという、プロダクトアウト的な手法はなかなか通用しなくなってきました。
ターゲットをしっかり定めて、その人の性別・年齢・住んでいる所・職業・着てる服・読む雑誌、使えるお金、いままで当該製品に使ってきたお金、現在使っている競合製品の価格、その人が高い・安い・買いたいと感じる価格等々を徹底的に調べて、自分もそのターゲットになりきって価格を設定していくことが重要です。
また、どこで売るのかという、そのターゲットにあわせた流通チャネルを当初に設定し、その商流に載せられるような建値の設定も必要です。
アグロナチュラの場合は、コンセプトを「自然化粧品の内容成分にこだわる本物志向の日本人女性をターゲットに、世界基準のオーガニック認定を取得した、日本人女性にとって使い勝手の良い製品を、リーズナブルな価格で、洗練された形で提供する」というものでした。
ここの「リーズナブルな価格」というのが微妙な感じで良いですね。
つまり、「この製品カテゴリーで、決して安さを感じる価格ではないが、この内容にしては競合製品に比べても高すぎず、納得できる価格」というわけです。
では何を根拠に納得価格は決まるのか?
結局、消費者があるカテゴリーの製品の高い安いという知覚を決めるのは、出回ってる類似商品の物価というか、時価によるものが多いと思います。
例えば、ヨーロッパ車のワゴンタイプで4人乗り以上、革シートにナビを装着した新車は、いくらが高くていくらが安く、いくらだったら買うのかということです。
となると、例えばフォルクスワーゲン400万円、アルファロメオ450万円、BMW500万円、ボルボ600万円、ジャガー650万円、メルセデス700万円。。。
そのスペックで、150万円でも高いと感じる人はそもそもターゲットではないし、700万円でもぜんぜん安いよねという人もターゲットになりえないです。
これらの比較の中で、細かいスペックの違いやブランドロイヤリティを考慮して悩む人がターゲットです。
よく、商品開発で価格を設定するときに社内の人を集めて、高いか安いかを聞いたりして「高~い!、安~い!」などと品評会で言い合ったりしてることもありますが、結局その人がターゲットであり、ターゲットとして設定した服を着て、雑誌を読み、お店に出入りする価値観を持ち、買えるお金を持ち、その当該製品の違いを知り、実際にお金を出して買うはずの人でないと、社内の人の顔を立てることと、売れない理由を責任分散する口実をつくる保身のみで、商品開発は失敗に終わることがよくあります。
そして、ターゲットを特定できず、チャネル戦略としては直販と卸販売かを統一する決断ができないため掛け率のレンジを幅広く取ろう、メーカーからの出し値がいくら、それに自分の利益を乗っけるとこう、だから販売価格はこれが常識、状況が変われば値上げしちゃえばいいや、などと思いつきでやってる場合もファンの離反が早いと思います。
また、ターゲットと人同じ価値観を持つリアルショップにて、日の光の下お店のスタッフの方から買っていただくよりも、ターゲットでない人が敷居をまたぎやすく、買いやすいネットチャネルや量販店などで販売した場合、クレーム等が増える現象と同じです。ターゲットにあわせたチャネル選択も非常に重要です。
製品は設定したターゲットのものであってそれ以外の人のものではなく、提供する側も受け取る側もお互いにハッピーになりにくいからです。
最終的に自分がターゲットとなりきってあらゆるブランドの内容成分や価格に熟知し、そのスペックで高い安いがすぐわかるようになることが最も良いと思います。
消費者は何でも情報が手に入る時代になっています。
EX.価格コム
http://kakaku.com/
ヨーロッパ自然系シャンプーだったら、オーガニック認定を取っているものでA・B・CのブランドがあってAはビン入りポンプ付で200ML1680円、Bはプラスチック容器入りで250ML1400円、Cはプラスチック容器入りで1200円、ちなみにアパレルショップやインテリアショップで売られている洒落た非オーガニックシャンプーは、プラスチック容器入りで800円、ネットで一番売れ筋と呼ばれているメガブランドの高級シャンプーは250ML2400円。。。。
それでは、すべての競合ブランドを凌駕する成分スペック・認証をとって、すべての競合ブランドを凌駕する価格とはいくらなのか?
その絶対的な価格を、数百円の差という微妙な範囲の中で悩みながら決めていきました。
シャンプー250MLプラスチック容器入り1470円
コンディショナー250MLプラスチック容器入り1470円
ボディシャンプー250MLプラスチック容器入り1470円
シャンプー500MLプラスチック容器入り2730円
コンディショナー500MLプラスチック容器入り2730円
ボディシャンプー500MLプラスチック容器入り2730円
シャンプー500ML詰め替えアルミ容器入り2520円
コンディショナー500ML詰め替えアルミ容器入り2520円
ボディシャンプー500ML詰め替えアルミ容器入り2520円
ハンドソープ250MLプラスチック容器入り1260円
リップクリーム5MLビン・箱入り1050円
ハンドクリーム75MLチューブ・箱入り1260円
アロマウォーター100MLプラスチック容器入り1260円
ポケットレメディ10MLビン入り1260円
バラシリーズ
シャンプー250MLプラスチック容器入り2520円
コンディショナー250MLプラスチック容器入り2520円
ボディシャンプー250MLプラスチック容器入り2520円
ハンドソープ250MLプラスチック容器入り2310円
ボディ乳液250MLプラスチック容器入り3990円
ハンドクリーム35MLチューブ・箱入り2520円
リップクリーム5MLビン・箱入り2100円
ローズウォーター100MLプラスチック容器入り1680円
シャンプー500ML詰め替えアルミ容器入り4830円
コンディショナー500ML詰め替えアルミ容器入り4830円
ボディシャンプー500ML詰め替えアルミ容器入り4830円
ハンドソープ500ML詰め替えアルミ容器入り4410円
基礎化粧品
スキントナーノーマルスキン125MLビン・箱入り3675円
スキントナードライスキン125MLビン・箱入り3990円
クレンジングミルク125MLビン・箱入り3675円
モイスチャーミルク50MLビン・箱入り3990円
セラム30MLビン・箱入り8400円
ナイトクリーム50MLビン・箱入り5400円
これが現状考えうるベストな価格設定でした。
かなり悩んでうまくいくように設定した価格なので、今後すぐに値上げ等しないように祈っています。
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