米ジョージア州アトランタ(AP) 炭水化物の摂取を抑えることに重点を置く「低炭水化物ダイエット」は、カロリー制限を中心とする通常のダイエット法に比べ、減量やコレステロール低下の効果が大きいとの研究結果を、イスラエルの研究者らがこのほど発表した。低炭水化物ダイエットは数年前から米国を中心に大流行したが、コレステロールへの影響などは疑問視されてきた。
イスラエルのネゲブ・ベングリオン大、米ハーバード大の専門家らによる共同研究で、米医学誌「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」の最新号に結果が掲載された。
対象となったのは、イスラエルにある核関連研究施設の従業員ら322人で、大半が男性。3つのグループに分け、(1)脂肪を摂取カロリーの30%以下に抑えて、カロリーとコレステロールを制限する「低脂肪食」(2)脂肪、カロリー、コレステロールを制限し、鳥肉や魚、オリーブオイル、ナッツ類を重点的に取る「地中海食」(3)カロリーは制限せずに炭水化物を抑え、植物性の脂肪、たんぱく質の摂取を勧める「低炭水化物食」――のいずれかを割り当て、2年後に効果を調べた。従業員らは比較的隔離された環境にあり、1日の食事の中心となる昼食は職場の食堂で取る。朝食、夕食についても細かい指示を受け、食事内容の記録を義務付けられた。運動量のレベルは、どのグループもほぼ同じだったという。
その結果、対象者の体重は低脂肪食グループで平均3・0キロ、地中海食グループで4・5キロ、低炭水化物グループで4・7キロ減少。コレステロールの数値も、低炭水化物グループが複数の指標で最も大きな改善を示した。善玉コレステロール(HLD)に対する総コレステロールの比率は、低脂肪食グループで12%、地中海食で16%低下したのに対し、低炭水化物食では20%も下がっていた。
ただし、対象者のうち糖尿病患者36人のケースでは、血糖値を下げる効果が地中海食グループで最も大きく表れた。また、女性45人の中でも、最大の減量効果を挙げたのは地中海食グループだったという。