江戸時代の鎖国中も韓国との窓口となった長崎県対馬市で3日、恒例の「対馬アリラン祭」のメーン行事として、朝鮮通信使の行列が再現された。今年は竹島問題が影を落とし、韓国側行政関係者が参加を辞退したが、舞踏団などは予定通り来島。両国の約400人が歴史絵巻を繰り広げ、友好を確かめ合った。
行列は1980年に始まった。今年の正使役は姉妹都市の行政官を招く予定だったが、新学習指導要領解説書に竹島(韓国名・独島)が明記されたことに伴う「世論の悪化」を理由に参加を取りやめた。同祭関係者は急きょ、相互訪問を続けていた韓国の民間団体に代役を依頼。先祖が正使だった金佖漢(キムピルハン)さん(78)=ソウル市=が決まった。
行列は羽織はかま姿の対馬藩士が先導。約15年前から参加している釜山市のペギンセ舞踊団やベクヤン高校など韓国側約100人も加わり、楽人役として太鼓やラッパを鳴り響かせ約1.7キロを練り歩いた。金さんは「民間交流が続けば、問題は自然に解決する。韓国と対馬の未来は明るい」と笑顔。朝鮮通信使行列振興会の山本博己会長(46)は「国政の問題と民間交流は違う」と強調した。
=2008/08/04付 西日本新聞朝刊=