化石燃料の将来に不安が広がっている。
先月は全国の漁業者が一斉休漁して原油高の影響の深刻さをアピールしたが、備後では今年に入ってフェリー航路の廃止も相次いでいる。バスやトラック業界も苦境を訴えている。原油に比べて埋蔵量にゆとりがある石炭は、地球温暖化の主因とされる二酸化炭素の排出がより多いという。
そんな中、中国電力福山営業所から電力供給ビジョンについて説明を受ける機会があったが、「安価で安定供給するには原子力を推進する必要がある」と強調した。
島根原発3号機と、山口県・上関原発の整備を進め、現在全発電量の12%の原子力のウエートを、近く40%に引き上げる目標だ。
しかし、地震や事故時の放射能漏れの恐れや、核廃棄物保管の膨大なコストなどを思うと、個人的には不安や疑問をぬぐい去れない。
期待したいのは、太陽光や風力、バイオマスなど自然エネルギーだ。とりわけ木質バイオマスは暖房や発電に使え、バイオエタノールの生産試験も行われている。
資源は、例えば備後から備前まで古里の吉備高原を覆っている雑木林。昔の段々畑や赤松林をのみ込んで荒れ果てているが、緑豊か。コスト高などを克服できれば産業になり、過疎対策になる。
先月東京で全国バイオマスタウンサミットが開かれ、近隣からは庄原や真庭市が参加。事業への国の支援を求めた。
エネルギー問題を逆手に、荒れた山が再び宝の山になる夢を、見られないものだろうか。
(福山支社・柏原康弘)