セミの大合唱が暑さを募らせる。中四国地方の七月の平均気温は記録的な高さだったが、気象台は八月も「気温は高め」と予報する。
厳しい夏に耐えるためのリフレッシュの場といえば夏休暇だろう。岡山県内の主要製造業では九日間が主流で、長いところでは十二連休の企業もあるという。
だが、この夏はガソリンや食料品など相次ぐ物価の高騰が休暇の計画に影を落としそうだ。すでに高速道路などでは車の通行量が減少する一方で、公共交通機関の利用者が増えるなど明暗を分けた形となっている。
電通リサーチ(東京)は、東京から三十キロ圏内の十五―五十九歳の男女を対象に行った「夏休みに関する調査」結果を発表した。それによると、理想の過ごし方として最も多かったのは海外旅行、次いで国内旅行だった。
ところが、現実にはトップは「帰省」。「なるべく家にいる」も伸びを示して倹約ぶりをうかがわせる。特に二十代の未婚OLは、海外旅行が昨年より半減した一方で帰省は大幅に上昇した。「燃料費で高くなる海外旅行より滞在費がかからない実家へ」ということか。
物価高の洗礼だが、悪いことばかりではなかろう。家族やふるさとの良さを見直し、気にとめなかった身近なものにも関心が向く機会となり得るかもしれない。