« いざ!丸岡 | トップページ

2008年8月 3日 (日)

丸岡ロードレース

辛くも完走する事が出来ましたが・・・。

少し文章が長くなるかも知れません。

既に、ご存知の方もいらしゃるかと思いますが、今回、BR-3の選手が、単独落車により亡くなると言うあってはならない事故が起こってしまいました。

僕は、彼が、電柱に激突するまでの一部始終を目撃しました・・その時、彼は、僕の横にいたんです。

丸岡のコースは、25キロ/周で、14キロほど上り基調で、峠には、長くて暗いトンネルがあり、出口から5キロ程、一気に下り、後は、平坦と言うコースです。途中、道幅が狭くなったり、広くなったりと、イメージ的には、伊勢原から宮が瀬ダムに上って、トンネルをくぐると言う感じです。

事故が起こった場所は、平坦で、見通しも良く、左側には、農業用用水路が流れ、右側は、水田が、黄緑色の稲をたわわにっと言った感じののどかな、田園風景が広がっている場所でした。

道の両側には、数百メートル置きに、電柱が立っているだけで、ガードレールも無く、コースアウトをしたら、そのまま、田んぼに落ちると言った感じでした。事実、過去には、この田んぼに落ちた選手が沢山いたと後で聞きました。それくらい、コースの中では、安定した場所だったんです。

僕は、偶然、上りも下りも僕の前を走る一人の選手を何となくマークしながら走っていました。今回、BR-3は、247名と出走人数が多く、課題としていた前の方にいると言う事を意識しながら走っていたら、偶然、その選手の背後に付いて走っていたと言う感じでした。

緊張感溢れる下り坂を大集団で、一気に駆け下りて来て、あのちょとのんびりした風景に魅入られ、あの時、僕も少しリラックスしていたと思います。

そんな時、一人の選手が、僕の右側から上がって行き、僕の前に入りました。

その選手は、僕が、付いていた選手と同じチームで、やっと追いついたで!と言うと平走しながら二人で、笑顔で、何かを話していました。やたらと左側ばかり見て、話しながら走っていたので、(前見て走れよ)と心の中で、思っていたので、印象に残っていました。

暫くすると、僕がついていた選手が、集団の真中から前の方に上がって行ったんです。するとその選手は、上がって行った選手の後ろに付きたいのか、また、左側を気にしながら集団の右端を走っていました。

僕は、真後ろにいたので、また、(だから!前見て走れって!)と思いながら走っていました。

すると・・何でもない路面のへこみに、バランスを崩したかと思うとバウンドして、サドルからお尻が浮き、ハンドルを持つ手が滑ったかと思うとハンドルが右に大きく曲がりました。

その時の集団の速度は、52キロくらいだったと思います。

(あっ・・落車する)と思った瞬間・・身体は、前を向いていましたが、自転車が、身体と反して、右側に大きく曲がって行ったので、今にして思うと、その時、既に、コントロールが出来ない状態だったんだと思います。猛スピードで旋回した自転車は、吸い寄せられるように、電柱に向かっていました。

あの電柱が無ければ、路肩の草むらか、水田に落ちるだけだったのに・・

本当に、引き寄せられるかのように、電柱に激突して行きました。その時、小さく(あっ・・・)と言う声が聞こえ、次の瞬間、乾いた、バシッ!と言う音と共に、電柱を抱きかかえる形で、真正面から顔面と胸を打ち付けサングラスが割れ、電柱の右側に、ゆっくり倒れ込むように、崩れて行く姿が視界に入りました。

その瞬間、僕自身、うわぁ~と声を上げてしまう程、強烈な光景でした。

あの映像、あの音、あの声・・・次の周回、トンネルの手前で、先頭集団から遅れをとってしまい、小集団で、ローテをしながら走っていると、その場所には、自転車だけが放置されていたので、何か大変な事が起きてしまった事が想像出来ました。

その後、その事も忘れ、とにかくレースを完走したい一心で夢中で足を回しました。その小集団で、ゴールスプリントも出来て、笑顔でゴールする事も出来ました。

そして、計測チップとゼッケンプレートを返却し、実業団登録証を受け取る為、テントの前に並んでいると落車をした選手が何人も目につきました。漏れ聞こえる声に耳を傾けると3回程、大きな落車があったそうで、今回は、前の方にいたからか、巻込まれなくて良かったと思いながらも、ゴールスプリントでも落車があったと聞き、あの狭い下り坂なら有り得ると、ちょっと集団ゴール出来なくても良かったかな?なんて思いながら、並んでいました。

その時、あの訃報が大会本部からアナウンスされたんです。直感的に、あの人だ。と直ぐに思いましたが、一部始終を目撃していたので、本当に、ビックリして暫く、放心状態でした。余りにもショッキングで、ゴール後、BR-1の補給の手伝いをしようとしていたのに、それも出来ず、何故か涙が流れてしまうほど、衝撃的な出来事でした。

大好きな自転車ロードレース中に、人が、亡くなって行く瞬間を目にしてしまい、正直、今は、レースは、おろか、自転車にも乗りたくない心境です。ちょっとキツイですね。

あの音、あの声・・。トラウマにならないよう注意したいと思いますが・・

とにかく、ご冥福をお祈りいたします。

|

「趣味」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く