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トップエッセイ(リスト)第52回:「フィアット500」のLPG仕様車登場! これからは「エコかっこいい」の時代 (08.08.02)
エッセイ

マッキナ、アラモーダ!
スペアタイアのスペースに収まったガスタンク。実測で約350km走行可能。
カタログにガス仕様がないグランデプントだが、販売店で「無料でガスタンク付けます」。
 いちばん身近なハイブリッド
LPG仕様に乗る方法はふたつある。ひとつはメーカーのカタログに載っているLPG/メタン仕様を購入する方法。もうひとつは、自分のクルマ(構造上ガソリン車に限られる)を指定工場に持ち込み、改造してもらう方法である。
改造費用はLPGが円にして約30万円で、メタンはそれより若干高い。

なお日本のタクシーと違い、カタログバージョン、改造物ともにガソリンタンクはそのままにガスタンクを追加してある。したがって近隣にガススタンドがなくても普通のガソリンを入れれば走り続けることができる。いわばイタリアでいちばん身近な「ハイブリッド」と言える。

写真の「オペル・アギーラ」オーナーのアドリアーノさん(56歳)も、ヒッピー的放浪のときに愛用していた「フォルクス・ワーゲン・タイプ3」以来、ずっと好きなクルマを購入してはLPGに改造して乗ってきた。

ボク自身も、燃費の悪いガソリン車に乗っているとき、本気でガス仕様に改造しようと考えたときがあった。しかし、一旦ガス仕様にすると、あとでガソリン仕様に戻すことは容易ではないし、中古に出すときも査定価格はガクっと下がってしまうのだ。

また、以前出した著書の中で、「ガス仕様車に改造することは、ボク自身にタトゥーをするのと同じような勇気が要る」と書いた。さらにLPGの場合、地下駐車場に入れなかったり、フェリー予約にも事前告知が必要なのである。
もしボクがガス仕様車のユーザーだったら、プールや温泉ランドに「タトゥーのある方お断り」と書いてあるのと同じ心境に陥るに違いない。

ちなみに、空気より軽いメタン仕様にすればそうした規制は受けない。だが、搭載するタンクはLPGよりかなり重くなり、またメタンスタンドの数はLPGに比べて少ないので、見知らぬ土地では困ることが予想された。

同時に、その頃ちょうどディーゼルがブームとなり、月間登録台数の半分以上を占めるようになった。いくら前述のようにLPGスタンドの数が多いからといって、普通のガソリンスタンドの数には敵わない。人々はより給油所を見つけやすいディーゼルに乗り換えていったのだ。

それに合わせて、ボクのガス仕様車への関心も薄らいでいったのを覚えている。



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大矢アキオ
コラムニスト。国立音楽大学卒。二玄社SUPER CG編集記者を経て、96年からイタリア 在住。現在、雑誌Webのほか、ラジオ・テレビでも活躍中。とくにNHK『ラジオ深夜 便』における、0時過ぎの公共放送に相応しくない賑やかな語り口は、ここ数年ヘ ビーリスナーの間で話題となっている。主な著書に『Hotするイタリア』(二玄社)、 『イタリア式クルマ生活術』、訳書に『ザ・スピリット・オブ・ランボルギーニ』(いずれも光人社)がある。

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