●いまだに抜本改革できず(大阪市裏金問題)

以下は読売。わたしもコメント。
裏金が発覚し、調査が進む中、正直に言えという市長の指示を無視して証拠隠滅をした職員がいる。さらに驚いたことに裏金作りを続けた職員がいる。非常識な職員はどこにでもいるかもしれない。しかし、問題は「それでも停職一ヶ月」という処分の甘さ。背景にはよほど根深い事情があるに違いない。あるいは市長も含めて完全に狂っている。ふつうの役所なら、こういうことをしたら懲戒免職だろう。この感覚そのものが大阪市役所の体質を如実に示す。ところで最近は大阪市役所記者クラブも仕事をサボっている。いや、役所と同様におかしくなっている?読売以外の各紙はいったい何を恐れてこれを問題視しないのだろうか。

「大阪市 繰り返す大量処分:悪しき慣行根深く・・カラ残業、ヤミ専従、学歴詐称そして裏金」
  裏金問題を受け、31日に職員351人の処分に踏み切った大阪市。平松邦夫市長は記者会見で深々と頭を下げ、「この問題を乗り切らないと、市を立て直すことはできない」と顔をこわばらせた。カラ残業、ヤミ専従、学歴詐称と、繰り返されてきた大量処分。「組織を守るためだった」「引き継ぎ通りにやってしまった」。今回、処分を受けた職員の声からも、市役所を覆う悪(あ)しき慣行の根深さが浮かび上がった。「先輩や部下に迷惑をかけたくなかった」。停職1か月となった経済局の課長は、隠ぺいしてきた理由をそう説明する。2006年末、部下に通帳破棄を指示し、以来、残金245万円を自宅で保管していた。この日、上司から処分を言い渡されると、「これまで精神的につらかったが、肩の荷を下ろせてほっとしている」と複雑な表情を見せた。出入り業者に架空請求分の代金を保管させる「預け金」があった市教委学校保健担当。昨年4月に部下から相談を受け、残額を使い切るよう指示した前課長は、減給2か月の処分を受けて「一刻も早く残額をなくしたかった」とうなだれた。市教委は8年前にも預け金が問題になった経緯があり、「処分の重みをずっと背負い、職務に取り組むしかない」と語った。7月中旬に旧税務担当部署で145万円の裏金が新たに見つかった浪速区役所。調査継続中のため、自らの処分が保留された東谷茂樹区長は「全容が明らかになった段階で、甘んじて処分を受ける覚悟」と神妙な面持ちだった。
一方、市役所で記者会見に臨んだ平松市長は「処分は一つの節目だが、長い年月の慣行がこれほど根深かったのかという思い。二度と(裏金が)起きないよう再発防止に取り組む」と決意をのぞかせた。

厳罰を科すべき
   3月まで大阪市の市政改革推進会議委員長を務めた上山信一・慶応大教授の話「調査開始後も裏金を支出するなどの行為は市民への重大な裏切りで、懲戒免職を含む厳罰を科すべきだった。市長には、『ダメなものはダメ』という決意で不祥事に対処してほしい。甘いか、厳しいか。トップの姿勢を職員は見ている」

(2008年8月1日 読売新聞)

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登録日:2008年 08月 01日 22:27:06

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プロフィール
上山信一
(男)
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慶應義塾大学総合政策学部教授、改革コンサルタント。専門は大企業・行政・NPO等の経営刷新。近年は地域再生も手がける。大学では「経営戦略」「公共政策」等を教える。旧運輸省、マッキンゼー共同経営者等を経て現職。大阪市生まれ。50歳。中央省庁・自治体の各種委員、企業顧問等を兼務。京大法、米プリンストン大修士。趣味は登山、鉄道、料理。メール:ueyama@pm-forum.org
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