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<赤塚不二夫さん死去>「人生はギャグ」なのだ

8月2日22時16分配信 毎日新聞


<赤塚不二夫さん死去>「人生はギャグ」なのだ

赤塚不二夫氏=1997年11月撮影

 「人生はギャグ」を信条に生き、酒を愛した自由人でもある漫画家の赤塚不二夫さんが2日、その天真らんまんな生涯を閉じた。97年末に食道がんとわかっても、「ストレス解消の薬だから」と酒もたばこもやめなかった。がんを公表した時も、焼酎のお湯割りを飲みながら、「シェー」のポーズをするなど、ギャグに生きギャグに死んだ人生だった。

【写真特集】ありし日の赤塚不二夫さん

 デビュー作は少女漫画。徐々にギャグの本領を発揮し出し、62年「少年サンデー」に連載を始めた「おそ松くん」が大ヒット。イヤミというフランスかぶれの変な人物が言う「シェー」がブームに。他にも「ケムンパス」「バカボンのパパ」などユニークなキャラクターを生み、「ニャロメ」は70年前後の大学紛争で反体制のシンボルとなった。作品は次々とテレビアニメ化され、「ニャロメ」「レレレのレ」などの流行語を生んだ。

 65年にブレーンを務める長谷邦夫さんら仲間と「フジオ・プロ」を設立。長谷さんや編集者らとギャグを徹底的に練る「アイデア会議」で作品を作り込む作業を続けた。アシスタントから古谷三敏さん、北見けんいちさんらを輩出した。

 人気漫画家になってからの遊びっぷりは破天荒だった。東京・新宿を足場に大いに飲み歩き、ジャズの山下洋輔さん、作家の筒井康隆さん、映画監督の山本晋也さんなど幅広い交友関係を持った。そんな中からタレント、タモリさんを見いだした話は有名だ。ジャズ・フェスティバルのプロデュースやテレビ番組の司会、ミュージカル・コメディーの演出など多方面に才能を見せ、前夫人公認のもとで再婚するなど話題にも事欠かなかった。

 98年10月、紫綬褒章が決まった時の会見では、電話で連絡がきた際に「何でオレみたいなバカにくれるの?」と聞いたという。「だって酔っぱらって警察のお世話になったこともあるしさあ」などと説明した後、「これでいいのだ!」とバカボンのパパのセリフを言って笑わせた。ギャグ談議はとぎれることなく続き、「とにかくみんなを笑わせたいということから始まって、チャプリンやキートン、ダニー・ケイなどから学んだものを消化して作品に取り入れただけ」と自作を語っていた。【内藤麻里子】

 ◇死なない男だと…

 作家の筒井康隆さんの話 ギャグのセンスはハリウッド的で日本人離れしていた。実験的な小説を理解できる文学性もあり、僕の小説「家族八景」を漫画化してくれた。医者に酒を止められてもがぶがぶ飲み、病気を治していたので、死なない男だと思っていた。

 ◇喪失感ひしひし

 「社長 島耕作」を連載中の漫画家、弘兼憲史さんの話 (がんを公表後)イベント会場でお会いした時、医者にお酒を止められているのに「ビールぐらい大丈夫だよ」と飲んでいた。「らしいな」と思った。漫画家にとってストーリー漫画の手塚治虫先生と、ギャグ漫画の赤塚不二夫先生は別格。喪失感をひしひしと感じている。

 ◇明るい酔っぱらい

 「丸出だめ夫」などの漫画家、森田拳次さんの話 覚悟はしていたがショックだ。出身が同じ奉天(現・瀋陽)で、ちばてつやさんらと一緒に「中国引き揚げ漫画家の会」をつくって、子供時代の思い出を絵にしたり年に一回集合していた。いつも明るい酔っぱらいで仕事の話は全然しなかったけど、一度だけ「残り少ない人生をどうする」という話をした時、二人とも「目が見えない人のための漫画を描きたい」と同じことを考えていた。赤塚さんは点字付き絵本を1冊出した。元気だったらもっと出せたのにと思う。

 ◇面白いこと大好き

 トキワ荘時代から40年以上のつきあいがあり、一緒にアニメ「おそ松くん」を作った杉並アニメーションミュージアム館長で漫画家の鈴木伸一さんの話 トキワ荘時代はおとなしかったが、ある時期から吹っ切れたようにギャグ漫画を描き、大ブレークした。漫画も行動もユニークで、面白いことが大好きな人。最近、病院へ行かなくてはと思い娘さんに手紙を書いた。彼を越すギャグ漫画家は今後なかなか出ないだろう。「お疲れさま」そして「安らかに」。

 ◇まぶしい存在

 同世代の漫画家、松本零士さんの話 デビューがだいたい同じ時期の仲間です。具合が悪いことは聞いていましたが、さびしいですね。心優しい男でいつも励ましてくれました。明るい漫画でしょう。本人もそういう男ですよ。自分の体験を話して、「漫画に描いていいぞ」と言ってくれたこともあったなあ。ドライブで江の島に行ったり、互いの家を行き来した仲です。こんな切ない話はないけど、また互いに生まれ変わった時にきっと会えるでしょう。まぶしい存在でした。

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最終更新:8月3日0時44分

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