サウンドチェックの間に『崖の上のポニョ』のテーマソングを口ずさんで、お茶目な面を見せていたが、ステージに登場した瞬間から危険で猥雑で、それこそロックなオーラを発していた椿屋四重奏。またLAKEの表情がガラッと変貌した瞬間だ。メジャー・デビューを飾ったシングル“LOVER”で始まった彼らのセット。ステージ・パフォーマンス自体は非常に淡々としていて、クールでストイックなものだったが(安高の「エロス!」コールは別として)、1曲1曲展開していく艶かしいドラマにとにかく幻惑される。特に「こんな白昼の中、堂々とおれたちの卑猥な歌を聴くか?」という中田の挑発で始まった“恋わずらい”は、「キャバレー」や「ロマンポルノ」といった言葉を思い起こす、混沌とした昭和の空気がプンプン漂っていて、真昼間の野外ステージだってことを本気で忘れさせられるほど。“螺旋階段”、“幻惑”と初期の定番ナンバーで幕を閉じた椿屋四重奏のセット。フェス独特の空間に惑わされることなく、独自の世界観を貫いて、最後までダークで官能的なグルーヴを鳴らした彼らの揺るぎないスタンスは本当に感動的であった。(内田亮)