鳥取市覚寺のウェルフェア北園渡辺病院が、日本看護協会が進める看護師の勤務形態多様化のモデル事業に選ばれた。同病院は、看護師が離職せずに働ける環境を目指して柔軟な勤務形態を既に取り入れており、モデル事業では制度化を目指す。【宇多川はるか】
全国的な課題になっている看護師の離職は県内でも深刻。県医療政策課によると、県内43病院の本採用の看護師の離職率は06年度に9・5%に上る。結婚・育児・介護・家事を理由にする離職が約3割を占めている。
同病院を経営する医療法人は、看護師定着のため98年ごろから個人の事情を考慮して柔軟な勤務形態を取り入れている。
通常は月6~8回の夜勤を月4回以内にする「夜勤免除」▽勤務を週4回にする「勤務日数短縮正社員」▽介護などの理由で平日でも特定の曜日が休める「勤務曜日選択」▽「二交代勤務」と「三交代勤務」の選択--などを既に導入。医療法人全体の常勤看護師約240人のうち約30人が利用している。
課題は人件費がかさむことと現場の理解。人員が増えるため人件費が高くつき、経営を圧迫する可能性がある。同病院では、勤務制限の有無で賞与に差をつけることで経営と現場のモチベーションの両立を図っているという。
モデル事業には全国から13件の応募があり、5病院が選ばれた。期間は9月から来年2月まで。同病院は、多様な勤務形態を制度化することで介護や育児などによる離職ゼロを目指す。
同病院の竹中君夫人事主幹は「看護師は患者さんのために働きたいという純粋な動機を持っている。働き続けられる環境作りが定着に必ず結びつく」と話している。
毎日新聞 2008年8月2日 地方版