宇宙で最初にできた天体が、太陽の質量の100分の1ほどの光輝く星だったことが、名古屋大や国立天文台などによるコンピューターを使った初期宇宙のシミュレーションで明らかになった。宇宙最初の天体は、輝く星かブラックホールか、長く謎だった。研究チームは「輝く星が最初に産声を上げ、暗黒に包まれていた宇宙に光を放ったとみられる」と説明する。米科学誌「サイエンス」に掲載された。
研究チームによると、宇宙最初の星は、宇宙誕生時の大爆発「ビッグバン」の約3億年後に生まれた。質量は太陽の100分の1程度だが、中心部の温度は1万度以上、直径は約1000万キロで太陽の7倍あったとみられる。その後、数万年で太陽の100倍の大質量の星に成長したことが分かった。
研究チームは、薄いガスや未知の暗黒物質が分布するビッグバン後の初期宇宙から、宇宙がどのように進化するのかをコンピューターで再現した。その結果、ガスの中心部が、重力によって圧縮され、星ができていく詳細な過程が明らかになった。
名古屋大の吉田直紀助教(宇宙物理学)は「同じ時期に、宇宙のあちこちで第一世代の輝く星が誕生し、それらの光があたりを照らし出し、宇宙の暗黒時代に終わりを告げたと考えられる」と話している。【下桐実雅子】
毎日新聞 2008年8月2日 12時00分(最終更新 8月2日 13時28分)