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H17 ITアドバイス事例 (株)山本工作所
1.企業概要
 
企業名(株)山本工作所
業種 製造業
資本金1,000万円
所在地高知県
取扱商品タイミングプーリー他
従業員数16人
 

(1)企業活動状況・業界動向

  タイミングプーリー(歯付きプーリー)、橋梁用伸縮継ぎ手(SPジョイント)、各種精密機械部品加工、マシニング加工(MC加工)、フライス加工、NC旋盤加工、キー加工、溶接・製缶、平面研削、歯切り加工、試作部品加工を行う精密機械部品製造業である。『短納期・高品質・低価格』をモットーに多品種、少量ロット部品加工はもとよりサブアッセンブリー組立品から完成品まで、お客様の要望に応えられるように、常に技術の向上に努めている。また、ロット数は1個でも注文可能で、試作品加工も行い小回り性にも優れている。

(2)経営上の問題点
  受注先は大手2社を中心に安定受注を維持している。この大手2社で国内には5億円弱/月の需要があり、全国の協力会社20社程度で請負っている。現在の自社の受注状況は生産能力を上回っており、能力の130%程度の受注量に対して、残業等により対応している。CNCホブ盤などのハイテク設備がフル稼働しているが、他の機械については生産能力には余裕があり、受注量の増加には対応も可能である。
  納期・品質の厳守を一番に取り組んでいるが、最近は、受注先からの納期・品質ともに要求がより一層厳しくなっている。また、受注量も毎月一定化していないため、繁閑の差があることも経営上の問題となっている。

(3)情報システムの現状
  主にWebEDI(Electronic Data Interchange)の受注情報・図面情報ダウンロードや生産指示書・納品書の印刷や取引先とのメール連絡用のADSLによるブロードバンド接続しているデスクトップパソコン1台、同ブロードバンド接続している専務様の研鑚用のノート型パソコン1台、経理用のデスクトップ型パソコン1台を利用している。

 
2.相談内容  
 

  現在、受注先企業からの受注データをWebEDIによって、受注先企業サーバーからCAD図面データ、受注データ等をダウンロードし、その受注データ等に基づいて作業指示書を作成している。作業指示書の作成については、専務様が、翌日分の作業指示書を作成しているが、深夜まで受注データの処理を行っている。
  この作業指示書作成工程、いわゆるペーパーリードタイムを短縮するために、受注デジタルデータをそのまま有効活用できれば、大幅な作業改善が図られ、専務様に余力も生じ生産性の向上が期待できる。
  そこで、作業指示書作成の工程をITの活用によって、改善できればと考えるに至った。IT投資コストを抑えながらすぐに活用できる実践的なアドバイスを希望している。

 
3.アドバイスの内容、アドバイスにあたって留意した事項  
 

(1)アドバイス方針
  IT投資コストを抑えながらすぐに活用できる実践的なアドバイスを希望されているため、毎回、何か役に立つことをアドバイスし実践して頂けるようにした。

(2)アドバイス内容(第1回目)
  初回は、受注情報の確認から製造現場への作業指示に至るまでの業務分析を実施した。WebEDIでのデジタルデータの有効活用による受注処理から作業指示までの業務効率化を図るためのアドバイスを行った。具体的な内容は、WebEDIによる注文情報を作業指示書に転記する作業の見直し→図面情報をPCによりDB化する方法→受注情報、図面情報の修正作業を手書き修正からパソコン処理に移行する方法などのアドバイスである。これにより、受注情報確認から作業指示までの業務プロセスの改善が図られ、大幅な作業効率の向上と省力化が期待できる見通しが立った。

【1】業務の流れと現状の問題点の把握と一部改善策の検討
  午前中は、受注から作業指示書の流れと現状の問題点を把握した。WebEDIについては、注文情報がある旨のメールが届き、ホームページで認証・ログインを行い、注文書兼納品書の印刷、受注情報ファイルのダウンロード、インポート、作業指示書の印刷を行う作業と図面情報のダウンロード、印刷の作業があり、出力した作業指示書に必要事項を書き加え、図面をコピーして完了する。
  WebEDIの受注情報の誤り、図面情報の誤りや必要事項の追加も必要であり、転記作業に加えてチェック作業も伴い、相当時間を要する原因ともなっている。また、WebEDIについてはホームページ操作が必須となっており、メール連絡をトリガーとする自動化は困難と判断した。来年にはWebEDIシステム変更の予定もあり、協力企業として迅速な業務処理の遂行のために受注処理の自動化が不可欠であり、メール連絡時に暗号化した受注情報や図面情報ファイルの添付を要望するようにお願いした。
  今回は、現在、印刷して紙ベースで保管している図面情報をパソコン上で保管・検索できるようにすることを目標とした。

【2】図面管理システムのプロトタイプ作成と操作指導
  午後は、パソコンに最初からインストールされているペイント等は操作性が悪く、図面情報の修正が可能な操作性の良いソフトがないかインターネット検索して、あるシェアウエアを試用し、一部不都合があるが、後日、作者に改善を要望することや別のソフトを探すことをお約束して、操作指導を行った。
  図面に必要な図面番号などのテキスト情報については、画像ファイルのプロパティにあるコメント等の欄を使うことで一元管理して、入力及び検索することが安価で簡単である。そのようなファイル検索ツールをインターネットで探したが見つからなかったので、後日、探してメールにて連絡することをお約束して、入力についての簡単な操作指導を行った。
  また、パソコンで管理する上でバックアップが大切であることをご理解いただき、当面はフォルダ単位で別のパソコンにコピーすることや、USBメモリやCD-RW等の外部媒体にコピーしたうえで他の離れた場所に保管することをお勧めした。

(3)アドバイス内容(第2回目)
  2回目は、前回集中してアドバイスを行った図面管理のシステムを最終目標まで完成させると共に、受注の入り口で非効率となっている作業指示書作成業務の具体的な改善策のアドバイスを行った。具体的には、WebEDI図面情報の取り込み→パソコン内保存→図面ファイル名変更→図面修正・保存、図面検索→図面印刷の一連の作業により、図面情報をパソコンで管理する体制を確立した。

【1】WebEDI図面情報の取り込み→パソコン内保存→図面ファイル名変更→図面修正・保存、図面検索→図面印刷の一連の作業により、図面情報をパソコンで管理するシステム運用支援
  午前中、まず、前回の指導で選定したシェアウエアの不具合を改善したバージョンを再インストールして、動作の確認を行った。そのうえで、無償提供したアドバイザーのシェアウエアに変更を加えたバージョンを新たにインストールした。この2本のソフトウエアの利用により、比較的簡単に図面管理データベース構築が可能になる。
  これらのインストールの後、WebEDI図面情報の取り込み→パソコン内保存→図面ファイル名変更→図面修正・保存、図面検索→図面印刷の一連の作業手順を説明し、各作業について操作方法を確認しながら、専務様ご自身の手で操作して頂いた。そのうえで、お一人で一連の作業を操作していただいた。

【2】スキャナーより図面情報の取り込み→図面修正→図面ファイル名を付けて保存の一連の作業により、図面情報をパソコンで管理するシステム運用支援
  午後は、財団法人高知県産業振興センターよりスキャナーを借用して、これまでB4サイズの紙にてファイリングされている図面情報を取り込むべく、そのセッティングを行った。最新版のドライバのダウンロード、解像度の調整など多少時間を要したが、スキャナーより図面情報の取り込み→図面修正→図面ファイル名を付けて保存の一連の流れを確認し、専務様ご自身の手で操作をして頂いた。
  これらの操作により、市販のシェアウエアの購入費用2400円、2400dpi程度のスキャナーの購入費用2万円未満で、本格的に図面情報データベースシステムが構築できることをご確認頂いた。図面情報については、月に数百枚と大量であることや操作に慣れる必要があることなどから、次のステップに入る前に、まずは、図面情報データベースシステムに図面情報を移管し、A4用紙等にてファイリングしているバインダー類を整理することを第一目標として、その目標をクリアした後で、WebEDI受注→納品書印刷→作業指示書印刷→図面情報印刷の流れの改善に着手することにした。

 
4.アドバイス後の改善状況・成果  
 

  安価かつ短期間で図面情報データベースシステムが構築できた。これにより、受注の都度、A4用紙又はB4用紙の図面情報を綴じてある大量のバインダーのなかから探し出してコピーする作業が、パソコンで図面番号の一部を入力して検索し、画面上で確認した後に印刷するだけで済むようになった。1つの受注に対して2分から5分程度かかっていた作業が1分以内で印刷できるようになった。
  また、新たな図面情報についても、これまではWebEDIからダウンロードし印刷して必要事項の追記や不要事項を修正液で消したうえで、所定のバインダーに綴じる作業が必要であったが、ダウンロードして、直ちに画面上で画像修正し、図面番号にファイル名を変更して保存するだけで済むようになった。5分から10分かかっていた作業が、2分から5分程度に短縮された。
  また、追加したソフトウエアは画像処理をするシェアウエア2400円、これに加えてアドバイザーが無償で提供したソフトだけである。また、これまでバインダーに綴じてある図面情報を入力するために2万円未満のスキャナーを購入する予定であるが、すべて1日程度の操作指導で理解できる範囲の易しい操作方法で実現できている。
  当初の希望通り、IT投資コストの掛からないすぐに活用できる実践的なアドバイスとなった。過去の図面データを移行中の現段階では専務様は多忙を極めている状況であるが、完全移行後には大幅に労力は軽減され、自動化に向けてさらに前進する原動力になると考えている。

 
5.アドバイザーから見た今後の課題、アドバイス後の感想  
 

  図面情報については、月に数百枚と大量であることや操作に慣れる必要があることなどから、次のステップに入る前に、まずは、図面情報データベースシステムに図面情報をすべて移管し、A4用紙又はB4用紙にてファイリングしているバインダー類をなくすことを第一目標として、その目標のクリアののちに、WebEDI受注→納品書印刷→作業指示書印刷→図面情報印刷の流れが自動化できるようなシステムへと発展させることが望まれる。
  なお、現在のWebEDIの多くは、受注企業側に個々の発注企業の異なる方式のアクセスとダウンロード作業に伴うパソコン操作を強いる状況にある。受注企業側が高度に情報化を進めていくと、暗号化された添付ファイルなどのメールによる受注データ取り込みは業務処理の自動化には不可欠である。多くの中小製造業にとって共通の重要なテーマであり、今後、国として何らかの対応をすることも必要と考えている。

 
6.アドバイザーに対する企業の評価(IT推進アドバイザー利用アンケートより)  
 

  図面管理・図面修正作業を全て手作業でおこなっていた。図面保管は一枚ごとにコピーし、A4のファイルに綴じていたので大変な手間と時間がかかっていた。これらの作業をパソコンで行うことにより、作業負担が軽減し担当者以外でもデータの閲覧が可能となり、作業効率が格段とよくなった。
  アドバイザーは、素人の者にもわかりやすく話してくれ、質問にも懇切丁寧な対応で、大変満足している。

 
7.中小企業基盤整備機構 経営支援専門員からのコメント  
 

  受注から作業手配するまでの工程を効率化すれば、生産リードタイムが短縮でき、得意先に対するサービスを向上することができる。今回は、受注した図面情報を、紙ベースでの保管からパソコン上で保管・検索できるようにして、一部効率化を実現した。これをさらに進めて、作業指示書作成までIT化すれば大幅な作業効率の向上が期待できる。
  大きな投資をせずに、すぐ活用できる実践的なアドバイスを実施したもので、中小製造業の企業にとって参考となる事例である。

<経営支援専門員:大島 秀一郎>

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