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【コラム】ウォール街のリングに上がった韓国(下)

 世界金融の勝負を実況中継しているアナウンサーは、韓国代表が序盤に大きな損失を出し後退するとき、同じリング上のシンガポール代表のことを「序盤に勝機をつかみ、大攻勢をかけている」と伝え、興奮していることだろう。

 米国のサブプライムローン問題に端を発する今年の「金融大乱」は、興行の決め手となる要素をもう一つ提供した。これまで姿を見せなかった悪名高い米投資ファンド・ローンスターが突然、リングに登場したのだ。ローンスターは同じ日、メリルリンチの不良債権306億ドル(約3兆3000億円)分を67億ドル(約7213億円)で買い取った。1ドル(約108円)の債権を22セント(約24円)で買ったのだ。しかも、買い取り代金のうち75%はメリルリンチが貸し、損が出ればその損失分もメリルリンチが引き受けるという仕組みだ。廃墟でカネのにおいをかぎつけるローンスターは、1990年代後半のアジア通貨危機に乗じ、韓国市場を食い荒らした後、再び本拠地に戻り「狩り」を始めたのだ。投資家は競ってローンスターのファンドに資金を投入、ローンスターがこのほど売り出した二つのファンドは目標額を達成した。米メディアは「リスクが高い不良債権を扱うプロであるローンスターは決定的な瞬間に登場した」と報じた。

 まだ試合終了のゴングは鳴っていないため結果は分からないが、序盤の勝負では明暗がはっきり分かれた。カネをめぐりカネを食うウォール街のマネー・ゲームは結果だけがモノをいう。アジア通貨危機直後、外国資本の餌食になり激怒した韓国金融は、今や餌食を求めて立ち上がるほどになったが、実力不足は否めない。

 こうした結果はあまりにも当たり前のような気もする。ローンスターが合法の範囲内でどのように金をもうけてきたのかは知らないが、歯を食いしばって実力をつけてきた。だが、その一方で韓国はむなしい「捨て値売却論争」を続け、目の上のたんこぶのために大損をしたのではないだろうか。

ニューヨーク=朴宗世(パク・ジョンセ)特派員

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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