まず、上田さんが一番最初に音楽を始めた頃の楽器を教えてください。
上田(以下U):家に足踏みオルガンがあったので、それを気がついたら触っていました。

では、バンドを始めようと思った時にもキーボードを?
U: 中学の時にギターを買ったんだけど、親父がクラシック・ギターならいいと言ったので(エレキギターと)似たようなもんかなぁと思って買ってみたら、シールドを挿すところがなかった(笑)。どちらもやっていましたが、しばらくはキーボードのほうが多かったですね。

サックスも演奏されますが、いつ頃から始められたんですか?
U: レピッシュを始めてからですね。ずっとサンプリングでホーンの裏打ちを入れていたんですけど、裏打ちくらいなら自分でも吹けるだろうと。でも、甘い考えはいけないですね、凄く苦労しました。楽器だから当然、知れば知るほど難しくなるじゃないですか。今では一番苦手な楽器ですね。鍵盤やギターは弾いていて運指が目で見えるから将棋みたいなもんで、次はああしてやろうこうしてやろうって頭で考えられるんです。だけど、サックスは運指が見えないし、キーが決まっていますよね。でも与えられる曲のキーが必ずしも合っている訳ではないから、ものの考え方を12通り考えないといけないわけです。全ての音階に対応していないぶん、演奏者は深くハマリ込んでいくんだろうけど、僕にとっては凄く不自由な楽器ですよ(笑)。

いろんな楽器を演ってみようと思うきっかけは何だったのでしょうか?
U: 「この音が欲しい!」って思ってシンセで出してみて、「イヤ、この音じゃなくて…」って思った時に、場合によっては自分で出した方が早いんじゃないかって思ったからなんですよ。一番近そうに見えて一番遠い道を選んでしまう(笑)。最近も1年くらいモンゴルで馬頭琴を勉強してきたんですけど、恐ろしいくらい才能がなかった(笑)。西洋楽器と全く違うものだから、逆に知識があるぶん、ついアタマで考えちゃって上達しなかったんです。

作詞/作曲を行なう時のモチーフはどんなところから浮かぶのですか?
U: できるだけ、キーボードに向かって考えながら作るのはやめようと思うんですが、現実には期日があって、レコーディングに間に合わせるようにしなくちゃいけない。プロとして、全く音楽と関係のない普段の生活から浮かんでくるものと、キーボードに向かって考えて作るものとのバランスをうまく取るようにすることは大事だと思いますね。どっちかに片寄ると失敗するような気がしますから。

8/21に1st「コリアンドル」2nd「森の掟」の2枚のアルバムが再リリースされますが、どういう部分に重点を置いてリマスタリングされたのでしょう?
U: やっぱり何か手を加えたかったんですよね。どうしたいという明確なビジョンはなかったんですが、向き合ってみると結局一枚13時間くらいリマスタリングの作業をしてしまいました。中音や低音の処理の仕方もコンプのかけ方も、全体的な音に対する考え方が当時とずいぶん変わっているんですよ。時代の流れやみんなの好みもあるだろうし、無意識に流れができているんです。その流れから外したいと思う曲と、流れに寄せたいって思う部分が曲によって違うので、主にその辺を修正しました。



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