ロサンゼルス(CNN) 米国におけるエイズ患者ならびにエイズウイルス(HIV)感染者数を、黒人だけに注目すると、世界でも最も被害が大きいアフリカ並みに深刻な現状が浮かび上がった。調査結果を31日までにまとめた黒人エイズ協会はこの現状を広く知らしめるとともに、世界各国のエイズ対策へ支援する政府に対して、国内にも目を向けるべきだと訴えている。
黒人エイズ協会は国連合同エイズ計画(UNAIDS)や米疾病対策センター(CDC)、米国勢調査の結果などを基に黒人のエイズ患者ならびHIV感染者数について、独自に分析。
その結果、米国におけるエイズ患者とHIV感染者、約100万人のうち、半数が黒人だと判明した。
米国の人口のうち、黒人が占める割合は8人に1人だが、エイズ患者とHIV感染者の2人に1人が黒人となる。
また、首都ワシントンでは人口の5%がエイズ患者ならびにHIV感染者で、これはウガンダや南アフリカに匹敵。患者の80%が黒人であることも判明した。
さらに、もしも米国の黒人だけでひとつの国を作れば、エイズ患者ならびにHIV感染者の数は、アフリカでもエイズ被害が深刻なエチオピア(推定患者数42万人)を上回り、コートジボワール(同75万人)を少し下回るという。
エチオピアとコートジボワールは、いずれも米国が重点的にエイズ対策を支援するアフリカの15カ国に含まれている。米国はこの15カ国に対し、過去5年間で150億ドルの支援を行っている。
しかし、米国内のエイズ感染拡大防止に向けた2009年度予算は、2008年と同額の8億9200万ドルと小規模だという。
黒人エイズ協会は、25─34歳の黒人女性の最大死因がエイズであることからも、米国内における感染拡大防止、ならびに患者への支援対策が急務だとして、国内の現状を直視するよう訴えている。