韓国政府は、しきりに竹島領有を誇示する動きを強めている。すぐに解決できない問題で対立をあおるのは「実利」にもとるのではないか。両国にとっても利益にならない。自制してほしい。
韓国は政治を軸とする同心円社会だとあらためて思う。
駐日大使の一時帰国にはじまり大統領が実効支配強化を指示、首相が初めて訪問上陸、海空軍による防衛訓練を実施・公開…。韓国政府は竹島をめぐり、かつてないほどの強硬姿勢を見せている。
これに同調するように、韓国紙は「仮想・独島(竹島の韓国名)戦争、韓日もし戦わば」などと、両国の軍事力比較も載せ、戦争前夜のような特集まで組んだ。
過熱する動きを受けて、夏休みを利用した青少年交流や行事など百件余が中止・延期になった。こうしたときこそ、政治以外の交流の意味が増すはずだ。
日本が中学校社会科の新学習指導要領解説書で竹島の領土問題に触れたのがきっかけだが、それにしては過剰反応だ。政府にあおられるかたちで社会全体が反日感情に動くのは残念だ。
韓国の歴代政権は、失政で国民から強い批判を受けると、反日を政権浮揚に利用してきた。
李明博政権も米牛肉輸入問題で窮地に追い込まれていた。これもあって、日本に対しより厳しい対応になったのだろう。
実利政治・実利外交を掲げ、発足から約半年にして、公約の「日韓新時代」が揺らいでいる。これも残念なことだ。
周辺を見渡すと、北朝鮮の核問題は核計画の検証で難関に差しかかり、中国経済の台頭は各分野に影響を与えている。
北東アジアに安定した秩序をつくるため、いまほど日韓両国の連携が必要なときはない。
短期的に解決できない問題で対立していては、日本だけでなく韓国にも不利益を招くだけだ。
それにしても、米国はご都合主義が過ぎる。政府機関の「地名委員会」は、先に竹島の帰属先を韓国から「主権未指定」に変更したが、韓国に戻したという。
五、六日に予定されるブッシュ大統領の訪韓を考慮してか。「米国は特定の立場を取らない」というが、定見のないことだ。
一九五一年のサンフランシスコ講和条約で、日本が放棄した「朝鮮」に竹島は含まれない。当時、米政府から韓国政府にあてた書簡に明記されている。念のため。
この記事を印刷する