長崎市は1日、9日の平和祈念式典で「平和への誓い」を読み上げる被爆者代表に、県平和運動センター単産被爆者協議会連絡会議の森重子さん(72)を選んだと発表した。森さんは1日、長崎市役所で会見し「戦後、日本人は1人も戦争で死んでいないし、誰も殺していない。これは平和憲法の力。憲法を守る必要性を訴え、世界中に広げていきたい」と語った。
森さんは9歳の時、爆心地から4.1キロの自宅近くの防空壕で被爆。自身は爆風や熱線を浴びなかったが、爆心地近くにいた兄は被爆死した。爆心地周辺で兄を捜し続けた両親も被爆の翌年から相次いで他界。生き残った姉妹5人は、親族の家に別々に預けられ、寂しい生活を送ったという。
森さんは「原爆が無かったら私たちの生活は全く違ったと思う。それが根底から崩れてしまう戦争はよくない。核兵器の廃絶や平和憲法の擁護を言い続けることが大切だ」と述べた。
また、式典の司会役は長崎西高2年の小土井唯華(ゆいか)さん(16)と同1年の谷田雅大(まさひろ)さん(15)に決定。森さんとともに会見した谷田さんは大阪府出身で昨年8月、県内に転居。「長崎に来て、平和教育を受け、原爆の悲惨さを知った。平和の大切さを全国の人に伝えたい」と語った。
=2008/08/02付 西日本新聞朝刊=