「火星に水があった」とした米航空宇宙局の発表は、21世紀に入ってから最大級の科学ニュースと言っていいだろう 水は生命の誕生にかかわる「海」の素である。火星には海の跡のような地形が多く確認されている。地球以外の天体に存在する生命体探査の夢をふくらませた。「水と海と生命」をつなぐ壮大なナゾに対するひとつの答えになっただろう その世紀の大ニュースを紙面脇に押しのけたのは内閣改造という平成の「政海」記事である。「政界」と書くのが正しいが、明治のころはしばしば「政海」と書いた。海千山千が泳ぎわたる世界だからこう書いたわけでもなかろうが「海」のほうが「界」より正確な感じがしないでもない ともかく、比較的波静かだった平成の「政海」は、内閣改造によって解散総選挙をにらんで波乱含みとなった。政治は生々しい現実である。半面、未来社会を描くロマンでもある。宇宙科学も人はどこから来てどこへ行くのかを探る仕事である 両者のロマンに軽重はないが、今の政界からロマンや夢が感じられないのは間違いない。改造すべきはそこではなかったか。
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