副作用死を多く出した肺がんの抗がん剤「イレッサ」(一般名ゲフィチニブ)について、厚生労働省の薬事・食品衛生審議会安全対策調査会は1日、輸入販売元のアストラゼネカ社による市販後の臨床試験などの報告を受け、「臨床的に有用である」との意見をまとめた。
イレッサは02年の承認時に、市販後に臨床試験の実施を義務づけられていた。この日は、同社が人種や性別、薬剤投与後の治療の影響などを考慮した調査結果を報告。既存薬との比較試験の一部で延命効果が劣らないことが確認されたことなどから、調査会は「有用性を否定する理由は見あたらない」と結論づけた。
イレッサの副作用報告は08年3月末までに1916件あり、うち734人が亡くなっている。結果について、薬害オンブズパースン会議事務局長の水口真寿美弁護士は「なぜ有用性を認めるのか、十分な議論が尽くされておらず、拙速だ」と話した。