地域の中核病院に勤務する医師の4人に1人が36時間以上の連続勤務を行い、今の仕事について半数近くが「忙し過ぎる」と感じていることが、現役医師らでつくるNPO法人(特定非営利活動法人)「医療制度研究会」(理事長・中澤堅次済生会宇都宮病院院長)がまとめた「医師の勤務状況調査」で分かった。
調査には、関東、東北地方の救急指定、研修指定などの17病院に勤務する489人の医師が協力した。
過去1週間で最も長かった連続勤務時間については、「36時間以上」が25%、「30時間以上36時間未満」が26%と、過半数の医師が30時間以上の連続勤務をこなしていた。しかし、連続勤務の代休を「取れる」はわずか4%にとどまった。
一週間の労働時間でも、「70時間以上」が26%、「60時間以上70時間未満」が28%などと、過半数の医師が長時間勤務をしていることが明らかになった。週休については、「取れない」が29%に上った。
こうした勤務実態の中、仕事が「忙し過ぎる」が46%と半数近くに達し、「限界に近い」も14%あった。
自由意見では、▽「忙しい仕事の中で、手術件数は増やせ、医療事故は起こすなには無理がある」▽「年々、仕事がきつくなっており、せめて当直明けはゆっくり休みたい。現在の当直は、夜間勤務に近い」▽「仕事には誇りを持っているが、今の生活が続くと、自分の体が壊れてしまうのではないかと心配」▽「心臓外科を2人でやっており、定例の手術に緊急手術が加わると、週の平均勤務時間が80時間を超えることもある。2人で行う仕事量としては限界」-など、労働実態の改善を求める声が相次いだ。
国に対しては、「医療費抑制のみにとらわれず、本当に必要な医療の需要と供給の均等化、適切な人材、診療報酬の確保に努め、そのために予算配分をしてほしい」という要望が寄せられた。
同研究会では、「医療現場の過剰な忙しさは、サービスの低下につながり、患者への“危害”になる可能性があることを考えなければならない。現場の考えが、なぜ政策に反映されないのか。患者に対する医師の責任として真剣に考えよう」と呼び掛けている。
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