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社会

井戸知事「思い上がりだ」 橋下氏の大阪空港廃止発言 

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関西空港の活性化を求める陳情活動の前に、与党国会議員の会合で発言する大阪府の橋下徹知事(中央)=東京・永田町(撮影・足立 聡)

 大阪府の橋下徹知事が大阪(伊丹)空港の廃止も視野に検討する方針を打ち出した三十一日、兵庫県や伊丹市などから一斉に反発の声が上がった。国も含め、関西と伊丹、神戸の三空港併存が既定路線の中での唐突な発言。空港の廃止権限は国にあるため、現実的な影響はなさそうだが、地元自治体の関係者らは「あまりに無責任」と不快感をにじませた。

 「伊丹空港の利用者を無視し、関西空港の浮上だけを考えた思い上がった発想」。兵庫県の井戸敏三知事は憤りをあらわにした。

 井戸知事はこの日午後一時半ごろ、車で移動中に橋下知事から電話を受けた。「伊丹廃止も含めた三空港のあり方見直し」を打診され、「あなたの言っていることはおかしい。三空港を一体的に管理運営して最適活用することが今の課題だ」と返したという。

 昨年八月の関西空港の二期滑走路稼働前は、伊丹、関西とも年間離発着回数は十三万回程度。関空は現在、上限が二十三万回で、単純計算しても伊丹の廃止で三万回分があふれることになる。

 大阪国際空港周辺都市対策協議会(十一市協)会長の藤原保幸伊丹市長は「大阪(伊丹)空港は今後も、国直轄の基幹空港としての役割を果たすべき。三空港が連携して航空需要に対応するのが重要で、国の考えも同じと理解している」とのコメントを出した。

 伊丹市は午後四時半ごろ、報道機関からの問い合わせで初めて橋下知事の発言を知り、真意を探ろうと国や大阪府などへの情報収集に追われた。同市空港室の下山恒美室長は「いまさらなぜこんな話が出るのか」と不満をのぞかせた。

 神戸市の矢田立郎市長も関西、伊丹、神戸の三空港を一体的に運用する枠組みの早期創設を求めており、「利用者の立場や関西の国際競争力強化の観点からも一体運用が望ましい」との考えをこれまでに示している。今回の橋下知事の発言について同市空港事業室の後藤範三室長は「神戸空港の利便性向上が図られる運用を期待する」とコメントした。

 また、大阪国際空港ターミナルの岡澤元大会長は「議論を起こそうとの趣旨だと理解する。航空業界は競争が激しく利用者の要求を考えて慎重に議論すべき」と話した。

国「検討段階にない」

 橋下徹大阪府知事が大阪空港の廃止も視野に入れた検討を府庁内に指示したが、最終的に存廃を判断する国土交通省では「地元には存続を求める声も強く、現実に廃止は難しい」(幹部)との受け止め方が大勢だ。

 大阪空港は大阪府の豊中市と池田市、伊丹市にまたがり、国交相が設置・管理している。関西空港の完成後に廃止する予定だったが、地元経済の地盤沈下の懸念などから存続を希望する声が拡大。国と地元自治体は一九九〇年、国内線の基幹空港として維持する「存続協定」を締結している。

 国交省の春田謙事務次官は三十一日の記者会見で、橋下知事の発言について「(関西空港の減便、休止に)地元は相当危機意識を持っており、関空の利用をもっと高めていくという趣旨だと思う」と述べ、廃止の是非には触れなかった。

 国交省幹部は、関西空港より交通アクセスが便利なことを挙げ、「利便性や歴史的な経緯を考えると、廃止となれば存続運動が起きるのではないか」と指摘。同省航空局の担当者も「廃止は無理な話で、対応を検討する段階にもない」と言い切った。一方、別の担当者は「廃止を検討する姿勢を見せて、(関空、大阪、神戸の)三空港の役割分担について議論を巻き起こしたいのではないか」と話していた。

(8/1 08:47)

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