小児科医の不足で鳥取市立病院(同市的場1)は今年10月以降、小児科診療の休止に追い込まれる見通しだ。新生児の治療ができないことから産科の休止も危ぐされている。市立病院は5社の民間医師紹介業者に登録して医師確保に奔走しているが、めどは立っていない。
同病院の小児科医は鳥取大医学部から派遣されている3人。うち1人が開業のため9月末での退職を申し出ており、残る2人は鳥取大医学部が県立中央病院(同市江津)に異動させる方針を固めている。
同大医学部付属病院の豊島良太院長は「2人では1人当たりの負担が大きく、疲弊を招くことが危ぐされる。医師の集中化はやむを得ない」としている。
市立病院小児科の07年度の外来患者は延べ1万4561人、入院患者は延べ7098人。病院は7月下旬から患者に事情を説明し、近隣の小児科を紹介し始めた。患者の約7割は市南部や旧八頭郡からで、武田行雄事務局長は「県立中央病院は多くの患者にとってアクセスが悪く、不安を感じる人も多いだろう」と気をもむ。
医師2人の異動先になる県立中央病院は、市立病院の患者の受け入れを急きょ迫られることになった。県病院局によると、全8病棟のうち1棟を小児科病棟にすることも検討するという。軽症の場合は近くの診療所に行くよう保護者に働きかける。
さらに危ぐされるのが産婦人科の休止。開業医と異なり、総合病院には異常分べんの受診者も多い。新生児の診察や治療が保証できなければ、産科医を引き上げられる可能性があるという。
県は7月下旬、県立中央病院の小児科医を派遣し、新生児の診察や診療を行う方針を決めた。緊急対応が必要な場合は県立中央病院への転院を勧めるという。【宇多川はるか】
毎日新聞 2008年8月1日 地方版