【第3回】 2008年08月01日
負けるのが怖い――若手男性に増殖する「女性がうらやましい症候群」
――女はホントに「得」なのか?
男性学の研究で知られる社会学者、伊藤公雄氏が挙げる男性心理の特徴とは、「優越志向」「権力志向」「所有志向」の3つ。男性にとって、社会的な成功がいかに重要かがわかる。
それなのに、格差が拡大している現代日本は、昔に比べ「負け組意識」が色濃くなっている。カルチャースタディーズ研究所がおこなった調査では、20代後半の男性の49.4%、30代前半の男性の46.3%が「自分は下流である」と回答した。
ちなみに、厚生労働省の平成19年賃金構造基本統計調査によると、大企業の非正社員の平均賃金は23万4600円。正社員の月40万8900円に比べ、かなり見劣りすることがわかる。また、従業員が100人以下の小企業では、正社員の平均賃金は月30万1700円。ボーナスも含めた年収ベースでは、大企業正社員との差は相当大きくなる。「負け組意識」は、契約社員や派遣社員だけでなく、正社員にもありそうだ。
なお、電通の調査によると、女性で自分を「負け組」と考える割合は約1割だったのに対し、男性は2割超だった。女性のように玉の輿結婚によるリベンジがしにくいだけに、男性の「負け組意識」は深刻なのかもしれない。
今こそ「男らしさ」を
見直すとき?
もちろん、女性の中にも「負けず嫌い」はいる。たとえば企業の女性CEOのテストステロン量は、女性の平均値を超える高い値を示すそうだ。だが、それでも男性の平均的なテストステロン量には到底至らない。
つまり、女性の書く『負け犬の遠吠え』はベストセラーになっても、男性の負け組は“しゃれにならない”のだ。男性としてのプライドを傷つけられ、うつを病んだ挙句、自殺に至る例もある。社会から「敗者」と否定された若者たちが、別の形で攻撃欲を満たそうとすることだって考えられる。
男女雇用機会均等法が施行されて以来、女性を取り巻く差別は少しだが薄らぎつつある。だが、男性に対する差別はどうだろう?「いい会社に入り、妻子を養ってこそ一人前」という昔ながらの価値観を見直さない限り、「女性がうらやましい症候群」はまだまだ増えそうだ。
第3回 | 負けるのが怖い――若手男性に増殖する「女性がうらやましい症候群」 (2008年08月01日) |
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西川敦子
(フリーライター)
1967年生まれ。上智大学外国語学部卒業。編集プロダクション勤務を経て、独立。週刊ダイヤモンド、人事関連雑誌、女性誌などで、メンタルヘルスや介護、医療、格差問題、独立・起業などをテーマに取材、執筆を続ける。西川氏の前作「『うつ』のち、晴れ」は、ダイヤモンド・オンラインで人気No.1連載に。
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