【第3回】 2008年08月01日
負けるのが怖い――若手男性に増殖する「女性がうらやましい症候群」
――女はホントに「得」なのか?
もちろん、女性側にもおおいに言い分があるに違いない。業界によっては女性はまだまだ男性の補助役を押し付けられているケースも多い。仲間の倍働いてやっと認められ、どうにか昇進しても、同僚男性から激しいやっかみを受けたりする。だいたい、係長クラス以上の女性管理職の比率は1割以下と、ごくまれな存在だ。
非難される「ニート」と
羨望される「カジテツ姫」
だが、それでも一部の20~30代男性にとって、「今の世の中、男性として生きるのは不利」という思いは根強いようだ。理由は「生き方の選択幅が、女性に比べて狭いから」ということらしい。
もと製造業のAさん(39歳)は、病気が原因で2年前に勤め先を辞め、親と同居している。これまでに何度か再就職を試みたが、体調がすぐれずうまくいかない。しかたなく、現在はアルバイトをしている。
「家族や世間の目線はかなり厳しいものがあります。自分は自分なりの生き方がある、とは思っているけど、正社員でもなく結婚もしていない男を、世間は一人前と見なさないですからね」
女性なら同じような立場でも批判されないかといえば、そうとは限らないが、少なくとも風当たりは男性ほど強くないだろう。
「派遣社員を数年続け、結婚して専業主婦になる」という女性にありがちのコースは、男性には用意されていない。学校を卒業後、定職につかず親元で暮らす若い女性を「カジテツ姫」と呼ぶそうだが、彼女たちは家事すらしていないうえ、ファッション誌で読者モデルになったりして、同世代の羨望のまなざしを浴びている。同じことを男性がやれば、「ニート」と呼ばれるだけだろう。
根の深い
男性の「負け組意識」
男性ならではの生きづらさはまだある。それは、おそらく男性が「勝ち負けにこだわる生き物」だからにちがいない。
「テストステロン」という、攻撃性をつかさどる男性ホルモンがある。男性がサッカーやプロレスを見て興奮したり、競馬場でわめいたりするのは、このホルモンのせいだ。「成功したい」という欲望が高まるのも、テストステロンのなせるわざ。実際、イギリスのケンブリッジ大学が金融トレーダーを対象に調査を行ったところ、月平均値よりも利益をあげた日のトレーダーの唾液は、テストステロン濃度が高かったという。
第3回 | 負けるのが怖い――若手男性に増殖する「女性がうらやましい症候群」 (2008年08月01日) |
---|---|
第2回 | こんな部下に注意!「自宅で昼寝する営業マン」と「サボれないE型女」 (2008年07月25日) |
第1回 | 徹底検証! 上司を困らせる「職場で泣く女」と「逆ギレ男」 (2008年07月18日) |
【子供を襲うネット・ケータイの罠】
子供の携帯電話の所持率が増加する中、携帯電話やインターネットでのトラブルが増加の一途を辿っている。犯罪に巻き込まれることも少なくない。その実態を追った「週刊ダイヤモンド」編集部総力特集
PR
- IT&Business
- セカンドライフ失速で転機を迎える仮想空間ビジネスの「現実」
- China Report 中国は今
- 北京五輪観戦ツアーが予想外の不人気 大地震の影響だけでない本当の理由
- 働く男女の「取扱説明書」
- こんな部下に注意!「自宅で昼寝する営業マン」と「サボれないE型女」
- 働く男女の「取扱説明書」
- 徹底検証! 上司を困らせる「職場で泣く女」と「逆ギレ男」
西川敦子
(フリーライター)
1967年生まれ。上智大学外国語学部卒業。編集プロダクション勤務を経て、独立。週刊ダイヤモンド、人事関連雑誌、女性誌などで、メンタルヘルスや介護、医療、格差問題、独立・起業などをテーマに取材、執筆を続ける。西川氏の前作「『うつ』のち、晴れ」は、ダイヤモンド・オンラインで人気No.1連載に。
出産後も辞めないアラフォー女、3年で辞める腰掛け男 etc・・・、時代が変われば、働くルールも様変わり。働く男女にまつわる悲喜こもごものケースを多数紹介。男女が共存共栄していくための新たな職場のルールを提案します。