7月27にちまで行われていたロードバイクの世界競技ツール・ド・フランスでは、個人総合2位に入ったオーストラリアのカデル・エバンス選手が、「FREE TIBET」(チベットに自由を)という文字を編みこんだ靴下を履き、ジャージの下にチベット旗がプリントされたシャツを着て走ったという。その姿勢に感動した。
表彰台に立つ、第95回ツール・ド・フランスで個人総合2位に入ったオーストラリアのカデル・エバンス(7月27日)。(ロイター/アフロ)
ロードバイクの世界競技ツール・ド・フランスが、7月27日に終了した。この日曜日、21日間かけてバイクでアルプスの山々3,500kmを走り抜けてきた選手達が、パリ凱旋門を通り抜け、シャンゼリゼを走りぬけてゴールに達した。
21日間の大会中は、事故がつきもので、タイヤのパンクや転倒事故などのアクシデントを幾度も繰り返しながらの競技が続いた。100km/h近くのスピードで山を下る途中、勢いあまって山道から転げ落ちたり、道路を横断していた犬にぶつかって自転車を壊されたり、道路わきの応援の人に妨害されてスリップしたり、転倒に巻き込まれて、何十人もが通行不能になったり。また、せっかく凱旋門を目前としたところでタイヤがパンクして、走るのを断念せざるを得なかった選手もいたし、自転車の座席がはねとんで無くなって ずっと立ち姿で走破した選手もいた。手足の骨折は言うに及ばず、頭蓋骨骨折の負傷者まで出ている。
ツール・ド・フランスはそんな21日間を耐えながらスピードを競う、ものすごく過酷な競技だ。例えば、個人総合で2位に入ったオーストラリアのカデル・エバンス(31歳)は、途中、報道陣の車にひっかけられた転落事故で怪我をしたため、走りながら止血スプレーを使っていた姿も見られたし、また他国の攻撃的なチームによる 露骨な妨害にあったりしながらの競技となった。
この大会でエバンスは「FREE TIBET」(チベットに自由を)という文字を編みこんだ靴下を履き、また表からは見えないけれど、ユニフォームのジャージの下にはチベット旗がプリントされたシャツを着て走ったという。そして、その姿で表彰台に登ってくれた。第1位のスペインのカルロス・サストレとの時間差、58秒。
カデル・エバンス、あなたが誇らしい。チベットの旗をパリの表彰台に乗せてくれて ありがとう。うれしくて、言葉もない。
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