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信越放送ヘリ墜落:記者ら死亡、あす賠償訴訟判決 遺族「再発防止を」 /長野

 ◇相次ぐ取材ヘリ事故に胸痛め

 南木曽(なぎそ)町で04年3月、信越放送(SBC)の取材ヘリコプターが送電線に接触して墜落、4人が死亡した事故で、SBC記者、三好志奈さん(当時26歳)の両親が、国、中部電力、SBCなどに賠償を求めた訴訟の判決が31日、東京地裁(鶴岡稔彦裁判長)で言い渡される。両親は6日に起きた青森朝日放送の取材ヘリ事故にも胸を痛め「再発防止につながる判決を出してほしい」と願っている。

 ◇調査委、送電線に標識なかったことを原因の一つに

 ◇「成長」矢先の事故

 志奈さんは01年、「素晴らしい文化や魅力的な人々のドキュメンタリーを作りたい」との希望を胸に入局した。3人兄妹の末っ子。「甘ったれで何もできない」と案じていた母由子(よしこ)さん(64)は事故後、娘の成長していた姿を取材先から聞いて知った。

 休日返上で取材に没頭し、高齢者や障害者に光を当てた。医師の活動を追って完成間近だったドキュメンタリーは、同僚が引き継ぎ、系列局内の大賞も受賞。父政寛さん(70)は「これからという時だったのに」と唇をかむ。

 ◇SBCなど責任否定

 裁判では、ヘリを運航した中日本航空だけが過失を認め、国と中部電力、SBCは責任を否定している。

 事故は、機長が送電線に気付かず接触して起きた。国土交通省の航空・鉄道事故調査委員会は、衝突を防ぐために航空法が定めた「昼間障害標識」が送電線になかったことを事故原因の一つに挙げた。中部電力は「当時の規定の解釈では設置義務はない」と反論し、指導する側の国も「標識を設置させる義務はなかった」との構えだ。

 ◇きちんとした「安全対策」を

 青森朝日放送の取材ヘリ事故でも、同じ20代のアナウンサーが行方不明に。地理など取材地の安全を確認しなかったとしてSBCの責任を追及する両親は「若い人は『乗りたくない』と断れないでしょう」と胸を痛める。「事故後にきちんとした安全対策があれば、次の事故はなかったのでは。志奈の死を無駄にしてほしくない」。政寛さんは祈るように語る。

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 ■近年の主な取材ヘリ事故■

90年 8月 NHKのチャーター機が沖縄県勝連町(現うるま市)沖の海上に墜落。4人死亡

94年10月 朝日新聞と毎日新聞のヘリが大阪府泉佐野市で接触し、朝日のヘリが墜落。3人死亡

   11月 フジテレビのチャーター機が鹿児島県の奄美大島で墜落。2人死亡

96年 4月 長野放送とテレビ信州のヘリが長野市で接触し墜落。6人死亡

04年 3月 信越放送が取材飛行を依頼した中日本航空ヘリが南木曽町の木曽川河川敷に墜落。4人死亡

07年12月 オールニッポンヘリコプター所属のNHK取材用ヘリが静岡市葵区で墜落。2人死傷

08年 7月 青森朝日放送のチャーター機が青森県大間町沖の海上に墜落。2人死亡、2人行方不明

毎日新聞 2008年7月30日 地方版

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