さすが、イチロー選手。日米通算3000安打に王手をかけた注目の試合、一回表第1打席で、初球をとらえた打球は左中間へ。記録達成の瞬間はプレーボール直後だった。
電光掲示板に快挙が表示され、球場内から拍手が沸き起きる。一塁ベースで、ヘルメットを軽く取って応えるイチロー選手。敵地での試合ということもあったのか、待望の一打にも控えめな喜びようが好ましく映る。
「四球を増やすより、どうやってヒットに結びつけるのかを考えたほうが生産的だし、打者としての能力もあがります」。かつてチームメートが「四球を増やせば四割も夢ではない」と言ったことに対するイチロー選手の言葉だ(『未来をかえるイチロー262のNextメッセージ』ぴあ発行)。
ヒットへのこだわりが数々の金字塔に結びついた。日本で210安打、大リーグでも262安打のシーズン最多記録を持つ。今季も200安打を達成すれば、八年連続200安打の大リーグ記録に並ぶ。
「あっぱれ!」とたたえるのは3085安打の日本のプロ野球最多安打記録を持つ張本勲氏だ。イチロー選手の次なる目標が視界に入った。そして大リーグのピート・ローズ氏の4256安打。
壁のように立ちはだかる記録だ。イチロー選手の挑戦は続く。