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髄液漏れ:事故で発症と推認 東京高裁

 交通事故で脳脊髄(せきずい)液減少症(髄液漏れ)を発症したかが争われた民事訴訟で東京高裁は31日、事故と発症との因果関係を認めた横浜地裁判決(1月)を支持し、加害者側の控訴を棄却した。原田敏章裁判長は「事故と髄液減少症との間に相当な因果関係を肯定できる」と指摘した。「事故によって髄液漏れを発症した」と認定した民事訴訟判決は地裁で4件明らかになっているが、高裁は初めて。

 判決によると、事故は横浜市内で04年2月に発生。自営業の40代の男性が運転する乗用車が交差点を直進中、前から右折してきた乗用車に衝突された。男性は当初、頸椎捻挫(けいついねんざ)などと診断されたが、立っていられないほどの頭痛が続いた。髄液漏れと診断されて「ブラッドパッチ」という髄液漏れを止める手術を受け、治った。

 この日の判決は(1)横になると頭痛が和らぐといい、髄液漏れの典型的な症状の一つとされる起立性頭痛の症状と符合(2)症状は事故前にはなく、事故後に発症するような出来事もなかった--ことを挙げ「発症は事故の衝撃や外傷によると推認できる」とした。

 横浜地裁は、加害者側に治療費など676万円余の賠償を命じていた。

 髄液漏れは発症のメカニズムに未解明な点が多く、診断基準が定まっていない。患者や家族らが研究推進を求め2月、34万7500人分の署名を舛添要一厚生労働相に提出している。【渡辺暖】

毎日新聞 2008年8月1日 2時30分

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