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パン屋で従業員と客ら倒れる 一酸化炭素中毒か

2008年7月30日12時15分

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写真酸素マスクをあてられ、救急隊員に抱かれて運ばれる女の子=30日午前8時54分、大阪市東住吉区、上田潤撮影

写真空気ボンベを背負い、店内を調べる消防隊員ら=30日午前8時31分、大阪市東住吉区、上田潤撮影

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 30日午前7時50分ごろ、大阪市東住吉区山坂3丁目のパン製造販売店「ベーカリーファクトリー ゴッホ」(新井尊文(たかふみ)店長)で「パンを窯で焼いていたら、バタバタと人が倒れた」と同店の関係者から119番通報があった。大阪市消防局の隊員が駆けつけたところ、客の女児(4)を含む男女計12人が倒れたり、気分の悪さを訴えたりして病院で治療を受けた。全員意識はあるが、2人が重症という。いずれも一酸化炭素(CO)中毒の疑いがあるといい、府警が業務上過失傷害の疑いで調べている。

 同消防局や東住吉署によると、12人は客の女児と母(34)のほか、18〜54歳の同店の従業員10人。このうち18歳と28歳の女性従業員が重症だが、命に別条はないという。消防局の隊員が駆けつけた際、店内に従業員7人が倒れており、付近にいた母子と従業員3人が「気分が悪い」と訴えた。

 同署などの調べでは、同店はこの日、午前4時半ごろからパン作りの準備を始め、午前6時ごろから店内に設置した石窯でパンを焼き続けていた。午前7時に開店した後、突然、石窯からパンを運んでいた従業員の女性(19)が「気分が悪い」と言って石窯の前に座り込み、直後から従業員らが調理室やレジ付近で次々と床に倒れ込んだらしい。当時、店内には従業員約10人と客数人がいたという。

 石窯ではガスを使っていたが、店側は消防局に対し、「換気扇は回っていない」と説明したという。

 現場はJR阪和線南田辺駅の東南約400メートル。周辺では救急車のサイレンが鳴り響き、一時騒然となった。

 同店の従業員らによると、店は昨秋にオープン。テレビ番組でも紹介された人気店という。毎週水曜日は石窯でパン焼きを担当する男性店員が休みで、店長が代わりを務めていた。

 昨年から働くアルバイト店員は「出勤してきたら、消防車がたくさん来ていた。倒れた人が何人かいると聞いて、混乱している。何が原因かはわからないけど無事でいてほしい」と声を震わせた。

 別のアルバイト店員は「いつも通りに作業をしていたはずなのに、何があったんだろう」と涙ぐんだ。

 店の近くに住む主婦(66)はサイレンの音で家から飛び出すと、パンが焦げるようなにおいがしていた。「普段はしない、いやなにおいだった。赤い制服を着た従業員が店の外でぐったりと倒れていて、1人ずつ救急車で運ばれていった」と不安そうな様子で話した。

 この日朝に店にパンを買いに来たという専門学校生の女性(33)は「パンは焼きたてでおいしく、昼休みにはレジに行列ができるほどだった。いつも買う店でこんなことが起きて、残念です」と驚いていた。

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