大阪放送局

2008年7月31日 18時16分更新

裏金で大阪市が351人処分


大阪市は、先の全庁調査で明らかになった4億8000万円の裏金問題で、きょう、平松市長と2人の副市長を1か月、3分の1の減給とするとともに、ねん出などにかかわった15人を停職にするなど計351人の職員の処分を発表しました。

大阪市の裏金問題では、先の全庁調査で、27の局と区役所で、過去10年間に計4億8000万円の裏金が発覚し、弁護士などをメンバーとする調査委員会は、このうちの3億円を不適切な支出として、返還を求めると共に、市長をはじめ、関係した職員の処分を求めていました。
これを受けて、大阪市は、きょう関係者の処分を発表しました。
それによりますと、▼組織全体の監督責任があったとして平松市長と2人の副市長を1か月の3分の1減給。
▼市の施設を安い賃料で貸し出す事業で回収できなかった家賃を裏金を使って補てんした上証拠隠滅のため部下に通帳を破棄させた経済局の課長級職員と、▼裏金を職員同士の飲食などにあて、ことし2月に問題が発覚し、市長が全庁的な調査を指示した後も、裏金から不適切な支出を行っていた大正区の係長級の職員の2人を、停職1か月とするなど、停職が15人。減給が78人。戒告が92人。また166人を文書訓告と口頭注意とし、処分をうけた職員は29人の局長級を含め計351人にのぼっています。
一方、前の教育長や東住吉区長などすでに退職している6人については、責任はあったものの、給与の返還までは求めないとしています。
今回の処分について大阪市は、申告した時期や、裏金の管理や支出に直接関わったかどうかなどを基準とする一方、市役所内で長年続いた慣例だった点も考慮して、それぞれの処分を決めたと説明しています。
一方、調査委員会から返還を求められた3億円については、関係した職員や退職者、それに管理職全員から集め、きのうづけで全額が市に返還されました。
今回の処分について、大阪市の不正を追及している市民グループ「見張り番」の松浦米子代表世話人は「裏金を作り流用していた不正の重さに比べてあまりにも処分が軽く、市民は絶対に納得しない。市長が、これでけじめをつけたともし考えるのならば、それは大間違いで、これからも同じような不正が出てくるだろう。
過去を見ても、職員厚遇問題をはじめ、大阪市の処分はいつも軽く、悪いことをした職員が特をする組織風土になっている」と批判しました。
処分の内容について記者会見した平松市長は「今回の処分は6月に出た報告書に基づいて厳正に行ったものであり、妥当であると思う。きょうを一つの節目だと位置づけているが、市民の信頼を取り戻すのも容易でないことは承知している」と述べました。
また、全庁調査の後も、裏金問題が次々と発覚したことについて、「非常に残念で、裏切られた思いでいっぱいだ。今後は懲戒免職を含めて厳正に処分する」としたうえで再発防止策については、「職員の意識改革が一番だと思う。事務処理のルールを見直して一つずつ実行に移すとともに、私が、先頭になってこの危機を乗り切り職員が前向きに仕事ができるように取り組んでいきたい」と決意を述べました。
大阪市の裏金問題の処分を受けて平松市長は、幹部職員を集めた緊急の所属長会を開き、「健全な組織を確立するため再発防止策を徹底していく」と述べ、今後、新たな裏金が見つかった場合は、懲戒免職を含めた厳罰で臨む考えを示しました。
所属長会には2人の副市長や局長、区長ら63人の幹部が出席し、平松市長は、「こうした不正を招いた原因を1日も早く取り除き、職員の意識改革を図りたい。健全な組織を確立するため再発防止策を徹底していく」と述べました。
そのうえで平松市長は、「職員の懲戒処分の指針を改正した。新たに裏金が発覚した場合は、懲戒免職を含め厳しく対処する」と述べ、今後、新たな裏金が見つかった場合は、改正した指針に基づいて、厳罰で臨む考えを示しました。
さらに、平松市長は、「職場の制度に問題があるのなら、制度自体を改めるよう工夫するなど、職員を指導して欲しい」と述べ、不適切な会計処理につながる要因がないか、職場ごとに見直すよう指示しました。