脳卒中連携搬送、受け入れネットワーク構築へ―東京都
東京都の脳卒中医療連携協議会(座長・有賀徹昭和大学病院副院長)は7月30日の会合で、脳卒中急性期医療を行っている医療機関に対し、8月中にも救急受け入れ態勢についてのアンケートを実施することを決めた。新しい保健医療計画に盛り込んだ脳卒中の救急搬送体制を来年3月から開始するため、脳卒中の急性期患者の受け入れネットワーク態勢を構築することが目的。対象となる286医療機関に配布して結果を集計し、9月に開く次回会合に結果を示す予定だ。
【関連記事】
脳卒中連携搬送、患者の行き場は?
脳卒中連携搬送に向け議論開始―東京都
都が脳卒中連携搬送、来年3月開始へ
脳卒中連携パス、診療報酬で評価
「脳卒中患者の行き場がない」
全都道府県が新しい医療計画に盛り込む脳卒中の医療連携体制について、都は患者を適切な急性期医療機関に搬送するための体制を、来年3月1日から一斉に開始する。このため、救急隊が脳卒中の疑いがある患者を、いつでも適切な医療機関に搬送できるようにするため、地域の医療機関の受け入れ態勢をネットワークで構築する必要がある。
アンケートは、医師や院内設備など病院の体制を問うものと、曜日ごとの受け入れ態勢を問うものの2種類。病院体制のアンケートの内容は、▽医師について、日本脳卒中学会などの専門医や、t-Pa(血栓溶解薬・アルテプラーゼ)講習を受講済みの医師の勤務体制▽脳外科的処置の体制▽放射線技師の配置▽臨床検査技師の配置▽ICUやSCUの設置▽CT、MRIなど脳画像撮影、診断の可否▽薬剤師の配置▽脳血管疾患急性期リハビリテーション体制―など。曜日ごとの受け入れ態勢では、一週間を曜日ごとに日勤帯と夜勤帯に分け、それぞれの枠で患者の受け入れが可能かどうかなどを問う。このほか、今年4月から6月にかけての脳卒中急性期患者の受け入れ総数と、そのうちt-Pa治療や脳外科的処置が必要だった件数も調べる。
対象は脳卒中急性期患者を受け入れる態勢がある173医療機関と、262の指定二・三次救急医療機関(149医療機関は重複)。
■救急隊と医療機関の受け入れマッチングも
また、救急隊による脳卒中の疑いと、実際の医療機関での診断が間違っていなかったかどうかの検証・評価にも着手するとした。7月30日の会合で、野口英一委員(東京消防庁救急部長)は、「この際、脳卒中だけでなく、都内の全搬送と受け入れ医療機関とのマッチングを行ってもいいのでは」と提案し、賛同を得た。
■超急性期の流れ見えるパスを
このほか、既に各医療機関や地域などで使用している地域連携クリティカルパスを基に、都としての標準的なパスの作成に着手することも決めた。近藤太郎委員(東京都医師会理事)は、パスに必要な点として、▽患者・家族や各病期の医師に、全体的な治療の流れが分かる▽治療、看護、介護、家族の情報など、各職種に必要な情報が入っている▽119番受信時などから超急性期への流れが把握でき、検証にも使える―を指摘。超急性期への流れを検証することで、脳卒中の後遺症の患者の減少につなげ、将来的に要介護者の数を減らしていくことが重要との認識を示した。
更新:2008/07/31 15:18 キャリアブレイン
新着記事
熱中症が全国で急増(2008/07/31 15:33)
脳卒中連携搬送、受け入れネットワーク構築へ―東京都(2008/07/31 15:18)
社保費の「機械的削減」撤回へ新たな活動―日医(2008/07/30 20:00)
過去の記事を検索
キャリアブレイン会員になると?
専任コンサルタントが転職活動を徹底サポート
医療機関からスカウトされる匿名メッセージ機能
独自記者の最新の医療ニュースが手に入る!
【第21回】洛和会音羽病院院長・松村理司(まつむら・ただし)さん 救急を断らない―。京都市の洛和会音羽病院は、ER型救急医療を実践する民間病院。年間5000件の救急車を受け入れている。一般病床428床に医療療養型、認知症病床、回復期リハ病棟を合わせて588床で、150人を超える医師を抱える。その総指 ...
1人ひとり 個別の条件を大切に東京勤労者医療会「東葛(とうかつ)病院」(千葉県流山市)ママさん看護師も多数活躍 看護師の厳しい労働実態が指摘され、離職率が新卒で9.3%、全体では12.3%に達するなど、看護師の離職を避ける取り組みが看護現場の重要な課題になる中、「長く働き続けられる病院」が、千葉県流 ...
WEEKLY
埼玉県戸田市の戸田中央総合病院には、今年もたくさんの新人ナースが仲間入りしました。人に寄り添う日々の業務は、緊張の連続でもあります。新人ナースの一日に密着しました。