【エルサレム前田英司】イスラエルのオルメルト首相は30日夜、エルサレムの首相公邸で演説し、9月に実施される自党の中道右派カディマの党首選に出馬しないと表明、さらに新党首の選出後に首相職を辞任すると明らかにした。首相は自らの汚職疑惑で捜査当局の追及を受けており、引責辞任を決断した形だ。首相は退任時まで中東和平の進展に努力する姿勢を強調したが、重要な政治判断を示すのは事実上困難で、交渉が足踏みする可能性もある。
オルメルト首相は、自身の汚職疑惑について「首相を辞めた後、無実を証明する」と述べた。
カディマは29日、党首選を9月17日に実施すると発表した。オルメルト首相の退陣を迫る圧力は、連立政権の最大のパートナーである中道左派・労働党のほか、カディマ内部でも高まっていた。カディマとしては党首交代による体制刷新で混乱を乗り切り、国会の解散・総選挙は避けたいのが本音だ。次期党首候補にはリブニ外相、モファズ運輸相らが名乗りを上げている。
ロイター通信によると、アッバス・パレスチナ自治政府議長の側近は、オルメルト首相の辞任が「和平交渉に悪影響を与えないよう望んでいる」と述べた。パレスチナ側は、イスラエルに保守的な新政権が誕生して、交渉が仕切り直しになることを警戒している。
オルメルト首相は捜査当局から、過去15年間に米国人実業家から約15万ドル(約1600万円)以上の現金を不正に受け取っていた疑いや、出張費を着服して家族旅行などに充てていた疑惑を追及されている。
毎日新聞 2008年7月31日 10時47分(最終更新 7月31日 12時25分)