世界的に注目を集めている日本のホラー&スプラッター映画界だが、国内では暴力描写の規制が年々厳しくなっているのが実情。『片腕マシンガール』は規制の緩い米国のDVDマーケット向けということで、井口監督がサディスティックな才能を全開させた作品なのだ。
「現実社会で次々と猟奇的事件の起きている日本では、製作サイドも過激な描写は自主規制するようになってきて、流血シーンを描くことも難しくなってきているんです。ホラーファンから『血が流れないので物足りなかった』とか言われ、悔しい思いをしたこともありました。もちろん、ただ残酷に描けばいいとは考えていませんが、今の日本では自由な表現が難しい状況なんです。その点、『片腕マシンガール』はまったく規制がなかったんです」
メディアブラスターズ社からは“忍者”と“手裏剣”を出すこと以外は、一切注文はなかった?
「正確には2つだけNGがありましたね。人間はどんどん殺していいけど、動物は殺しちゃダメだと(笑)。米国は動物愛護団体がうるさいので、動物虐待シーンはフェイクを使ってもダメということでした。あと、中学生以下の子どもをいじめるのもダメ。それ以外はフリーでした。面倒な規制がなく、クリエイターとしては、気持ちよく取り組めましたね」
弟を殺された女子高生・アミ(八代みなせ)が復讐に燃え、いじめっ子やその両親たちに怒りのマシンガンをぶち込むというストーリーだが、どんな残酷場面も井口監督が撮ると、キッチュでチャーミングなシーンに仕上がるから不思議だ。観ていて嫌悪感が湧いてこない。そのことを告げると、井口監督は小学生のような純真な笑顔を見せた。
「本当ですか? うれしいなぁ。ボク自身、子どもの頃はいじめられっ子だったんです。『片腕マシンガール』はボクなりのメッセージを込めたつもり。人をいじめると家族が悲しむよ、憎しみが憎しみを呼ぶんだよと。そういう思いをアクション娯楽作の中に盛り込んだんです。教育映画のつもりで撮ったんで、できればR指定なしで日本でも上映されるとうれしいんですけどね」
全米での人気を受けて、日本でも8月2日より全国ロードショー公開が決まった。表現の規制から解き放たれた井口監督の奇才ぶりを堪能あれ!
(長野辰次)
『片腕マシンガール』
監督・脚本/井口昇
特技監督/西村喜廣
出演/八代みなせ、亜紗美、穂花、諏訪太朗ほか
配給/SPOTTED PRODUCTIONS
8月2日より池袋シネマ・ロサ、シアターN渋谷にてレイトショー公開。以下、全国順次ロードショー。
片腕マシンガール OFFICIAL SITE
(c)2008 FEVER DREAMS
井口監督も俳優として「中野の友人」の回に出演。
【関連記事】 セクシータレント・Rioの願望 「襲われるよりは襲いたい!」
【関連記事】 “隠れ名優”柳ユーレイ流の「役づくりしない」演技論とは?
【関連記事】 「深夜ドラマ番長」に聞く! 『週刊真木よう子』のつくりかた