外務省経済局の事務官が昨年4月までの約10カ月間にわたって東京都内のホテルのセミスイートルームに宿泊したにもかかわらず、代金を払っていないことが分かった。事務官はホテルから1538万円を請求されたが、支払うことができず、29日、同省に事態を報告した。事務官は「ホテル側のご厚意に甘えてしまった」と話している。
関係者によると、この事務官は06年6月から07年4月まで計293泊にわたってホテルに宿泊した。部屋は、広さ45平方メートルで、セミダブルベッドが二つあり、料金は1泊5万2500円だという。しかし、代金はいまだに払われていない。
この事務官によると、もともとホテルの経営者と知り合いで、「いていい」と言われたため、ホテル側の勧めでセミスイートルームに泊まった。当時は個人的な事情もあって帰る家がなかったが、07年4月、職員寮に入れることになったため、ホテルから退去したという。宿泊代金は払わなくていいと思ったと、この事務官は説明している。事務官は29日夜、「何年かかるか分かりませんが、払いたい」とホテル側に謝罪した。
ホテルの経営者は「10カ月もいたのに、あいさつもない。人の道に反する。これはたかりだ」と怒っている。
外務省人事課では「基本的には、職務の外の、職員の個人的な話」とし、「当事者間で解決するよう指導したい」としている。国家公務員倫理規程では「職員は、社会通念上相当と認められる程度を超えて供応接待または利益供与を受けてはならない」と定められている。(奥山俊宏)