4.交流工夫しトラブル防ごう
トラブルを未然に防ぐのも、問題が発生した時に摩擦を最小限に食い止めるのも、最大のカギはふだんからの近所つきあい――。マンション問題に詳しい専門家はこう口をそろえる。
上の階の足音が気になった時、「今走ったのは○○くん」と思えは我慢できたり、下の階の女性が妊娠中と知っていれば「深夜は静かにしよう」と、自然な配慮につながったりする。
それは分かっていても知り合うきっかけ作り自体が難しい。
そこで、マンションのコミュニティー作りを手がける「メルすみごこち事務所」代表の深山州さんが提案するのは、管理組合主催のイベントだ。
昨夏、深山さんが顧問を務めるマンションは花火見物を催した。最上階で見物し、1階エントランスは食事会を兼ねた「交流の場」に。女性の集客を意識したミニバーも功を奏し、35世帯のマンションで、20世帯の40人が参加した。
注意したいのは「無理に全員を巻き込もうとしないこと」という。人付き合いが苦手など、事情のある人もいるからだ。ただし、終了後には不参加者を含め、騒音や建物の汚れなど迷惑行為はなかったかを聞く。次回の教訓になるし、意見を言うことでコミュニティーの一員という意識を持ってもらえる。
数百のマンションの取材経験がある不動産ライターの高田七穂さんは「防災訓練はお互いを知り合う絶好の機会」と力説する。防災は家族構成や世代に関係なく関心が高い。救護班などの役割分担や連絡網整備を通じて「助け合い」意識が生まれ、
会話も自然にできるという。管理組合の広報紙や回覧板も効果的だ。広報紙に理事の似顔絵や出身地、特技を盛り込めば親近感が増すし、会話のきっかけを提供できる。
高田さんは「住み心地のいいマンションの条件は、居住性能が高いだけでなく、住み続けたいと思う住人が多いこと。マンションは、もとは見知らぬ人同士が一つの財産(建物)を共有する『運命共同体』。だから、戸建てよりむしろお付き合いが大切なのです」と話す。
|