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ダライ・ラマ実兄 「暴力からは何も生まれない」 胡錦濤主席との直接対話訴え
チベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世の実兄で、チベット亡命政府の外相やダライ・ラマの対中交渉グループの責任者などを務めたギャロ・トンドュプ氏(80)は30日、都内で産経新聞と会見し、現在のチベット情勢について、「中国との交渉は成果がなく、チベット自治区など中国内のチベット人ばかりでなく、インド在住のチベット人の間で不満が高まっている」と述べ、再び大きなデモが発生することもあり得るとの見方を示した。
トンドュプ氏は「そうならないためにも、中国政府は、ダライ・ラマ14世と胡錦濤中国国家主席との直接対話を実現すべきだ。真剣な対話はお互いの誤解を解き、理解を深めることになるからだ」と強調した。
日本政府に対しては「特にアジアにおいて、非常に重要な国だ。チベットの実情を理解したうえで、日本の持つ発言力を生かして、チベットと中国との対話を促進するよう国際社会を通じて働きかけてほしい」などと訴えた。
チベット社会の一部に北京五輪を妨害するような行動をとるよう求める声があることについては「これまで五輪の聖火を奪い取るような妨害行動があったが、そうした暴力的な行動からは何も生まれない。われわれは真剣な対話から成果を生み出すべきだ」と述べて、力による抵抗運動に否定的な見方を示した。
インド在住のトンドュプ氏は30日、政界など日本各界のチベット支援の輪を広げるため結成された「チベット自由人権日本100人委員会」の発足記念シンポジウムに出席。委員会の最高顧問には衆院議員の平沼赳夫氏らが就任した。シンポジウムには評論家の櫻井よしこさんらが参加し、チベット問題を中心に、会場の聴衆も議論に加わり白熱した討論が展開された。(相馬勝)