腹六分のつきあい
美輪 あの人が死ぬ前に、お別れに私の楽屋に来てくれたとき、「何で十八年間もの長い間つきあわせていただいたんでしょうね」という話をしたんです。
美輪 そしたら、「膝の上に上がるから頭をなでてやったら、いい気になって肩まで登ってくるやつがいる。それを放っておくと今度は頭まで登って、顔までなめ出すやつがいる。おれはそういうやつが大嫌いなんだ。君は、そういうところがなかったからね」と言ったんですよ。
私もそういう人は大嫌いなんですよ。私には、親子であろうと、兄弟であろうと、夫婦であろうと、他人であろうと、腹六分でつきあうべきだという信念がありますからね。「腹六分でつきあっていれば、親しき仲にも礼儀ありで、見られたくないところは人に見せなくてすむし、また見なくてもすむ。近親憎悪で大変なことになることもなくなる。助けを呼ばれれば出ていけばいいんですよ。それが人間の一番基本的なつきあい方だと思いますよ」と言ったら、「撲もそれをモットーにしているから、君とはつきあってこれたんだよ」と、三島さんは言いましたね。
三島さんと私は公私ともにつきあっていたけれども、ナアナアのベタベタな関係ではなかった。二人ともそういうのが嫌いだったんですよ。
瀬戸内寂聴×美輪明宏『ぴんぽんぱん ふたり話』集英社2003年
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