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政府(厚労省他)


消えた「ER型救急のモデル事業」

 厚生労働省は7月30日、「救急医療の今後のあり方に関する検討会」(座長=島崎修次・日本救急医療財団理事長)の会合で、前回会合で提示したER型救急医療機関の「モデル事業」実施を事実上、先送りすることや、一定の診療体制や活動実績のある二次救急医療機関を評価することなどを盛り込んだ中間取りまとめ(案)を示し、大筋で了承された。近日中に中間取りまとめの内容を確定させ、来年度予算の概算要求に反映させる方針だ。

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 今回提示された中間取りまとめ(案)は、前回から大幅に書き換わった。
 ER型救急医療機関について、前回の中間取りまとめ(案)では、「モデル事業として、一部地域において試行的に実施し、徐々に全国的な支援を行っていくのが適当」としており、検討会の委員も実施に賛成していた。しかし、今回は「試行事業を実施する等の前に、正確な実態把握を行う必要があり、その上で必要性等を検討することが妥当」とするにとどまった。実態把握の内容として、▽ER型救急医の負担▽救急搬送患者の受け入れ▽診療待ち時間▽専門診療科との連携▽入院担当科との連携―を挙げている。ER型救急の課題については、「各診療科の医師が当直医として労働を提供することにより維持されてきた時間外外来業務を、現時点でも不足しているER型救急医と呼ばれる医師のみに委ねることは不可能であり、無理に行えば重症患者の治療を担う医師の不足を招く恐れがある」としている。

 前回、「モデル事業でやり始めると、皆さんのコンセンサスが一定の方向に向かう」との見方を示していた島崎座長は一転、「ER型救急は何十種類ものパターンがある。実態把握が必要ということはその通り」と述べ、今回の案に賛同した。

■一定の実績ある二次救急を評価へ
 また、中間取りまとめ(案)は、二次救急医療機関の機能の充実を図るため、一定の診療体制や活動実績のある二次救急医療機関に対する支援策を、現在の救命救急センターに適用されている「充実度評価」を参考に、今後検討するとした。これについて厚労省の担当者は検討会終了後、記者団に対し、前々回の検討会で示していた、救急医療の拠点となる医療機関をイメージした「地域救急拠点病院」(仮称)とは異なるものとの見解を示し、「救急医療を拠点化しようとは考えていない」と述べた。

■救命センターに新しい評価項目
 「充実度評価」ついては、2006年度と07年度にすべての救命救急センターが最高の評価を得るなどの問題点が指摘され、見直しを求められていた。このため、中間取りまとめ(案)は、新しい「充実度評価」を提案。医療従事者の労働環境改善に係る項目に、▽医師事務作業補助者の有無▽転院・転棟の調整員の配置▽医師の負担軽減の体制▽休日及び夜間勤務の適正化―を、第三者の視点・検証が可能な評価に係る項目に、▽都道府県・地域メディカルコントロール協議会への関与、救急患者受け入れコーディネーターへの参画▽救急医療情報システムへの関与(都道府県による評価)▽ウツタイン様式調査への協力状況(消防機関による評価)−をそれぞれ加えるとしている。

 また、29日にまとまった、社会保障に関する「5つの安心プラン」に盛り込まれた、「夜間・休日の救急医療を担う医師」に対する財政的な支援も検討すべきとし、「安心と希望の医療確保ビジョン」に盛り込まれている、病状に応じて患者を適切な医療機関や診療科などに振り分ける「管制塔機能」のシステム整備を進めるなどとしている。


更新:2008/07/30 17:23   キャリアブレイン


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