本日、何かネタはないかと外務省内をうろうろし、ある高官と雑談をしていて、7日のヒル米国務次官補(東アジア・太平洋担当)の来日の件が話題になりました。この高官はヒル氏の振る舞いについて、「マスコミは触れていないし、産経さんも怒っていないが、本来は怒るべき話だ。日本はなめられている」と言っていました。では何について怒るべきなのか。私は7日は安倍前首相取材で朝から山口入りしていたので、最初は何の件か分かりませんが、聞いてみるとなるほどその通りだと感じた次第です。
まず、北朝鮮を訪問したヒル氏は、トランジットのために降りた成田空港まで外務省の佐々江アジア大洋州局長を呼びつけるというやり方に問題があります。また、この際、ヒル氏は福田首相あてのブッシュ大統領の親書を携えてきたわけですが、そういう重要文書を首相官邸にも持っていかず、成田空港で「はい、これ」という態度(?)で佐々江氏に手渡したのも非礼だといえるでしょう。この高官は「テレビで、ヒルと並んでぶらさがりインタビューを受ける佐々江氏を見たが、その顔は憮然としていた」とも語っていました。
北朝鮮のテロ支援国家指定を早く解除したいヒル氏からすれば、拉致問題にこだわり続ける日本は煩わしいのだろうし、北朝鮮の核問題に関しては米朝が直接交渉するから日本の出る幕はないというわけかもしれませんが…。ただ、たかだか米国の役所の「局長級」の立場でしかないヒル氏が、こうまで日本に対して傲慢な態度をとれるのは、米国にとっての日本の重要性が相対的に低下し続けているからだろうなとも考えました。
この点は、今夏の米下院外交委員会による慰安婦問題にかかわる対日非難決議が採択にも似たような感想を持ちました。別の外務官僚は当時、「慰安婦決議の話は以前から何度も出たが、そのたびに歴代駐日大使や知日家の議員たちが『大切な日米関係に傷をつけていいのか』と立ち上がり、阻止してきた。しかし、今回はそういう動きがみられない。それだけ日本の重要度が落ちている」と指摘していました。外務省の努力が足りないか、方向性が間違っていたということもあるでしょうが。
まあ、確かに、日本はODAも減らしていますし(対中ODAがもう必要ないのは当然として)、国際テロ対策の表舞台からも姿を消しました。福田首相はもともとの性格・手法もあるでしょうが、何より衆参で与野党の議席が逆転する「ねじれ国会」の中で、国内政治に手一杯で内向きになっていて、とても積極的な外交を展開する余裕はなさそうです。今月1日に北京で開催された「日中ハイレベル経済対話」で合意した共同文書も、中国側に一方的に一部削除されていますし、東シナ海のガス田協議では、中国に「軍艦を出す」と言われるし、なめられっぱなしですね。
冒頭で紹介した高官は、「BBCなどによる好感度調査で、一昨年は日本は一位、昨年はカナダと同率一位だった。でも、来年3月に出る新調査ではおそらく一位の座を手放すだろう」と予測していました。日本は、日教組の言うなりに脳天気なゆとり教育などをやっているうちに、一人当たりのGDPも世界13位だったかな、これもどんどん落ちてきましたね。あまり悲観的なことばかり書きたくありませんが、危機的な状況にあるような気がします。このままではいけないと、焦りのような感情に囚われています。
あまり明るくないエントリとなったので、おまけに花の写真をどうぞ。日曜日に近くの公園で撮ったものです。季節にはさぞきれいだったろうと思えるひまわりが、なぜかとても気になったもので。
by 巴茶寮
とことん無内容となりそうな今…